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裁量労働制は,手続さえ踏めばどのような労働者にも適用できますか?

2016年05月20日 | 労務管理

裁量労働制は,手続さえ踏めばどのような労働者にも適用できますか?


第1 回答

 裁量労働制が導入可能な対象業務は限定されています。

 したがって,その労働者の業務が対象業務に該当しない限り,裁量労働制を導入することはできません。

第2 説明

1 裁量労働制とは?

 業務の性質上,厳格な労働時間管理に馴染まないため,労働時間の具体的配分を労働者に委ね,実労働時間は労使協定等にて定めた時間を労働したとみなす制度を言います。労働を量ではなく質や成果に着目するものと言えます。

 裁量労働制には,①専門業務型と②企画業務型があります。

2 ① 専門業務型

 労基法規則は以下の業務等に限定しています。

(1) 研究開発

(2) 情報処理システムの分析・設計

(3) 取材・編集

(4) デザイナー

(5) プロデューサー・ディレクター

(6) その他厚生労働大臣が指定する業務

 コピーライター,システムコンサルタント,ゲーム用ソフトウェアの創作,証券アナリスト,大学での教授研究,公認会計士,弁護士,弁理士,税理士など

 ② 企画業務型

 対象業務は,事業運営に関する企画,立案,調査,分析の業務を言います。

(1) 対象業務となり得る業務の例

・経営企画を担当する部署において経営状態・経営環境等について調査・分析を行い,経営に関する計画を策定する業務

・営業に関する企画を担当する部署において営業成績や営業活動上の問題点等について調査・分析を行い,企業全体の営業方針や商品ごとの全社的な営業計画を策定する業務

(2) 対象業務となり得ない業務の例

・経営に関する会議の庶務等の業務

・個別の営業活動の業務

 その他の例については,労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針((平11.12.27)労働省告示第149号,改正(平15.10.22)厚生労働省告示第353号)をご参照ください。


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弁護士法人四谷麹町法律事務所

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