会社を悩ます問題社員の対応

会社を悩ます問題社員の対応,訴訟リスクを回避する労務管理

飲食店において、接客担当のスタッフに対し、お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが…

2022年04月27日 | 事務所のご案内

Q.飲食店において、接客担当のスタッフに対し、お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが、お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合、実際に仕事をしていない時間は「休憩時間」(労基法34条)として扱い、実際に担当業務に従事している時間だけを労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる労働時間として扱うことはできますか。

 


 飲食店において、接客担当のスタッフに対し、お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが、お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合は、実際に仕事をしていない時間も使用者から就労の要求があれば直ちに就労しうる態勢で待機している時間(手待時間)であり、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とはいえませんので、「休憩時間」(労基法34条)として扱うことはできず、実際に担当業務に従事している時間だけでなく手待時間を含めた時間全体が、労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる労働時間となります。
 休憩時間と手待時間との関係については、「労基法34条所定の休憩時間とは、労働から離れることを保障されている時間をいうものであるところ、原告らと被告との間の雇用契約における右休憩時間の約定は、客が途切れた時などに適宜休憩してもよいというものにすぎず、現に客が来店した際には即時その業務に従事しなければならなかったことからすると、完全に労働から離れることを保障する旨の休憩時間について約定したものということができず、単に手待時間ともいうべき時間があることを休憩時間との名のもとに合意したにすぎないものというべきである。」としたすし処「杉」事件大阪地裁昭和56年3月24日判決が参考になります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

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会社経営者のための労働審判対応


Q.飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

2022年04月26日 | 事務所のご案内

Q.飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。


 飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高い一番の理由は、飲食業では会社経営者が残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が低いことにあると考えています。飲食業の経営者に残業代(割増賃金)を支払わない理由を聞いてみると、
 「飲食業だから。」
 「昔からそういうやり方でやってきて、問題になったことはない。」
 「飲食業で残業代なんて支払ったら、店がつぶれてしまう。」
 「それが嫌なら、転職した方がいい。」
といった程度の理由しかないことが多く、当然ですが、訴訟や労働審判になれば、残業代(割増賃金)請求が認められることになります。上記のような認識を持っている飲食業の会社経営者は、これもまた自然なことですが、残業代(割増賃金)請求を受けると被害者意識を強く持つ傾向があり、そばにいて大変残念でいたたまれない気持ちにさせられます。
 2番目の理由としては、労働時間が長いため、残業代(割増賃金)の金額が高額になりがちな点が挙げられると思います。1日あたりの店舗の営業時間は8時間を超えるのが通常であり、仕込み作業が必要なこともあるため、少なくとも正社員については1日8時間を超えて労働させるケースが多くなっています。また、店舗物件の有効利用の観点から、店舗の休日が全くなかったり、週1日だけしかなかったりすることが多く、完全週休二日制で休日出勤無しのケースはむしろ珍しい部類に入ります。その結果、週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えて労働させることが多く、1日8時間超の残業代(時間外割増賃金)のみならず、週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)超の残業代(時間外割増賃金)を支払わなければならなくなることは珍しくありません。
 定額(固定)残業代制度を採るなどして、一応の残業代(割増賃金)請求対策が採られている会社もありますが、定額(固定)残業代制度に対して裁判所の厳しい判断が相次いでいる現状に対する認識が甘く、制度設計や運用が雑で敗訴リスクが懸念されるケースが数多く見られます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

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Q.運送業を営む会社を経営していますが、休日なしで長時間働いてお金を稼ぎたいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。

2022年04月25日 | 事務所のご案内

Q.運送業を営む会社を経営していますが、休日なしで長時間働いてお金を稼ぎたいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。


 運送業を営む会社を経営していると、休まずにもっと働いてお金を稼ぎたい、働かせてくれなければ辞めて他の会社に転職する、などと言ってくる運転手がいることに気づくことと思います。
 たくさん働きたいという意欲は素晴らしいのかもしれませんが、使用者には運転手の健康に配慮する義務(労契法5条)がありますので、本人が望んでいるからといって、恒常的な長時間労働を容認するわけにはいきません。ある程度までであれば、多めに運転させても構いませんが、度を超して働きたいという希望を押し通そうとする運転手については、断固として長時間労働を拒絶する必要があります。その結果、転職してしまうかもしれませんが、やむを得ない選択と腹をくくるべきでしょう。
 なお、時間外割増賃金は1日8時間を超えて働かせたときだけ支払うものではなく、週40時間を超えて働かせた場合にも支払う必要がありますので、週6日以上働かせた場合には朝から残業(時間外労働)扱いになり時間外割増賃金の支払が必要となる可能性があります。また、休日を定めなかった場合であっても、7日続けて働かせた場合には、7日目の日は法定休日として取り扱われることになりますので、休日割増賃金を支払う必要があります。残業代(割増賃金)請求対策という観点からも、恒常的な長時間労働を抑制する必要があるところです。

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代表弁護士 藤田 進太郎

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東京地裁労働部と東京三弁護士会の協議会

2022年04月13日 | 事務所のご案内

代表弁護士藤田進太郎が参加した東京地裁労働部と東京三弁護士会の協議会が労働判例に掲載されました。(産労総合研究所)
 


 

東京地裁労働部と東京三弁護士会の協議会 第19回

「労働判例」2022年4月15日1259号(産労総合研究所)

協議議題
・新型コロナウイルスの感染対策問題発生後,1年半以上が経過したが,労働問題に関し,発生し,あるいは増加している相談の類型・論点,今後どのような類型・論点の労働事件が増加するのかの見通し等について
・裁判手続・労働審判手続の迅速化,IT化等について
・労働審判全般に関する審理,調停,審判の最近の状況について

 

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