あるバーで。
だいぶゴブサタしていたので、ちょっと顔を出していこうと立ち寄った。
ちょうど、2軒目になだれ込み、そろそろ帰るか次行くか、くらいの時間だったので、
店内はかなり混みあっていた。
いつもはすいている時間からゆっくりと呑むのだが、すでに3軒目になるので、
さっぱり軽めで1杯だけ下さい。とお願いする。
チャージのないショットバー。1杯だけ!という使い方が出来るのが嬉しい(あまりしないけど)
いつもとは違うバーテンダーさんが、グレープフルーツベースのロングを作ってくれた。
バスの時間があるので、あまりのんびりせず帰ろうと思いながら呑んでいると
ややドアを大きく押し開き、入ってきた……真昼の髪色の若い男性。
・・・。
やや遅れて入ってきた若い女性の髪色もかなりにぎやかだ。
・・・・・・。
おそらくバーには行き慣れてないのであろう様子はすぐに分かった。
店内をオロオロと眺め、長いカウンターではなく、窓際の4人テーブルに足を向けた。
ちょうど私の斜め後ろの位置で、やや騒がしく話している。
マスターがおしぼりを持って行き、注文を聞く。
呑みなれていないならば、酒の種類を聞くであろう。
または、居酒屋等で呑んでいるようなオーダーをするか。
はたまた、知ったかさんでカッコつけた注文をするか。
すると。
男性の方が口を開いた。
「ショット2つ下さい」
「・・・・・・。」
おそらく、彼らの近くの席の者は皆、聞くとはなしに耳に飛び込んだオーダーに固まった。
マスターは冷静に、何のショットにしますか?と尋ね、分からなさそうな彼らに説明をし、
そして結局普通のオーダーに落ちついた。
おそらく初めてのバーなのだろう。背伸びをしたいお年頃vだ。
いつかショットで呑む酒を楽しめるようになってほしいものである。