手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

こまめにしたい手指の手入れ その2

2011-09-03 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
以前、 「こまめにしたい手指の手入れ」では、掃除道や打鍵器の柄を使って手内筋の疲労をとる方法をご紹介しました。


今回はその続編、ストレッチの方法です。





やり方はかんたんです。


中指なら、中指だけ机の端に乗せて伸展し、他の指は握っておくようにします。



握れないなら無理をしないで、力を抜いておくだけでもかまいません。


このとき、手首を屈曲させる力を用いるのではなく、乗せた指に身体をあずけるようにしてストレッチします。


どうぞ試してみてください。





意外に伸びている感覚をもちませんか?





つづいて、中指を机の上で回転させて、橈屈・尺屈させます。


          ≪ 橈屈 ≫


          ≪ 尺屈 ≫

時間があるときは、回転させるときにゆっくり動かし、どの角度でどの組織が伸びているのか、じっくり感じ取るようにします。


もっとも伸びにくい組織に対して、そのままストレッチをかけ続け、組織の伸張性が回復していく様子を観察しましょう。


セルフケアをするのは、そのまま手技療法のトレーニングになります。

同じ方法で、示指・薬指・小指も行いましょう。





ちなみに、伸びにくい組織を弛緩させた状態で、反対の手で圧迫を加え、横方向に伸ばすようにフックして、ストレッチするとASTRになります。


ストレッチだけではなかなか伸びてこないときには試してみてください。





このストレッチによって中様筋などの手内筋はもちろんですが、指間部の根元にある水かきの部分(解剖学的には何と呼ぶのでしたっけ?どなたかご存知の方は教えてください)、にある皮膚や筋膜もストレッチされます。


調べてみると、この部分が短縮している患者さんは意外にいらっしゃいます。


先日、手の痛みでいらっしゃった寿司職人さんは、毎日長時間シャリを握り続けているために、指が完全に伸びなくなっており、また、この水かきの部分の伸張性も悪くなっていました。


私もASTRをつかって伸ばすようにお手伝いしつつ、仕事の合間にこのストレッチを、調理場の角を利用して行っていただくことで、指が伸びるようになり、痛みもよくなりました。





母指の場合は、基節骨を机の端に乗せて伸展すれば、長・短母指屈筋のストレッチとなり、



中手骨を机の端に乗せて伸展すれば、母指内転筋のストレッチとなります。



両者をよく比較して、伸び具合を感じてみてください。


母指内転筋が伸びている感覚は、なかなか面白いのではないでしょうか。


(面白いという感覚はおかしいかな?


他の指でも行ったように指を回転して、橈屈・尺屈させ組織のどのように組織が伸びるか感じましょう。







今回ご紹介したストレッチは簡単な方法ですが、ピアニストなど指を使う方にとても喜ばれます。


私も仕事の合間、カルテに目を通しているときや、次の患者さんが入っていらっしゃる間にちょこちょこと行っています。


それだけでも指の疲れ方がぜんぜん違ってきますよ。



「こまめにしたい手指の手入れ」でご紹介した方法と合わせて、役立ててください。


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