南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

消去法

2011-07-23 21:14:58 | 経済
先進国で最悪の財政状況は歴然としているはずです。
しかしそれなのになぜ円は買われて、円高になるのでしょうか?
それがために自動車を中心とした日本の輸出産業は青息吐息です。

ギリシャの財政危機がユーロ全体に及ぼさないようにと、ユーロ圏首脳は21日にギリシャ支援策を決定しました。
昨年5月の1100億ユーロ(約12兆4千億円)に続く第2弾の支援です。
第1弾の支援も今秋には底を突く恐れが現実的になったからです。
第2弾の支援策は、まずEUとIMFの追加融資1090億ユーロ、金利減免や返済引き延ばしなどの民間金融機関の債権放棄370億ユーロ、そしてギリシャ政府による国債買戻し126億ユーロなど、計1590億ユーロ(約18兆円)という巨大さです。
この支援策を見てギリシャ国債の格付けが、一部格付け会社で「部分的デフォルト」扱いとされました。
もしこれほどの巨額の支援をしても、ギリシャの財政再建が進まなければ、次の不安材料であるポルトガル、アイルランド、そしてイタリアに危機が飛び火します。
そうなればユーロ全体が大暴落してしまいます。

一方の雄、米国ドルも財政赤字削減を巡る与野党協議の難航を受けて、危機的状況にあります。
米国では政府の借り入れ上限は議会が定めていますが、今年5月にはその上限まで達していました。
この上限を引き上げないと政府は新たな借り入れができなくなり、最悪の場合8月2日には米国債の利払いなどができなくなります。
もしそんなことになれば米国債のデフォルトという未曾有の混乱に陥ります。
そうなったのも日本の政治と同様で、野党共和党が下院で多数を握ったからです。
与党民主党が進めている富裕層の優遇税制廃止に対して強硬に反対する共和党と、どう折り合うのかが焦点です。
日本の自民党が「子ども手当」や「高速道路無料化」や「農家戸別所得補償」を撤回しない限り、特例公債法案を通さないという主張と似たようなものです。

行き場を失ったマネーは、こうして欧州と米国のリスクを嫌って、政府の財政は厳しいがまだまだ国民貯蓄の高い円に買いを入れるんですね。
経済の実力に見合わない円高は、首吊りの足を引っ張るようなものであり、心配でなりません。
20世紀に生まれたマネーゲームのつけや、政治の貧困が産み出した悲劇かもしれません。