南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

デフォルト

2013-10-09 17:12:19 | 経済
米国の政治的混乱はまだ収まっていない模様です。
まさか米国債がデフォルトするところまではいかないと思いますが、世界経済にとって大きなリスクになりそうです。

国債がデフォルトするということはどういう意味でしょうか?
1998年のロシア国債デフォルトから学んでみます。

80年代後半、ロシアがソ連と呼ばれていた時代のことです。
ゴルバチョフ大統領は「ペレストロイカ(経済改革)」と「グラスノスチ(情報公開)」という政策で、社会主義から脱却し資本主義化を図りました。
ところが1991年、経済改革に不満を持つ勢力によるクーデター(ロシア8月革命)が起こり、ゴルバチョフは失脚、代わりにエリツィンが台頭してきます。
結局このクーデターがソ連崩壊を招くわけですが、社会主義と資本主義の狭間でロシア経済は著しく混乱します。
凄まじいインフレに見舞われた国民は貧困の中で想像を絶する苦難を味わいました。

そして1998年1月、なんと1000分の1というロシア通貨ルーブルのデノミが実施されます。
高インフレに対する政策であるとともに、ロシア国債(借金)の実質的な棒引きであったわけです。
なにしろ1000円の借金が1円に化ける訳ですから…。
しかしルーブル通貨の信任が崩れたことで、新たなる国債発行などは叶いません。
ロシア国家の危機に対して、7月にはIMFや世界銀行から資金援助を受けますが、それでもロシア国債の暴落は止まりませんでした。

8月18日、万策尽きたロシア政府は国債のデフォルトを宣言します。
デフォルトの内容は、「90日間の債務支払いの停止」と「満期が近い短期国債の長期債への強制乗り換え」でした。
また同時に、ロシア国内の銀行ではすべての預金封鎖も行われました。
その後のロシアは、デノミとデフォルトにより救われ、原油や天然ガスの高騰により立ち直っていきます。
(余談ですが、その陰にはエリツィンに代わったプーチンの強権的な政治力もありますから、別のリスクが新たに発生しました)

まさかの“坂”は知らないうちにやってきます。
いつの世も最後に苦しめられるのは何も知らされない庶民です。

ピンチ!静岡県のものづくり

2013-07-10 21:12:02 | 経済
アベノミクスは好況ですが、現実的には県内各地の現場を歩いている実感とまったく異なります。
円安に振れても県内製造業の空洞化に歯止めがかかったり、逆回転で国内回帰しているような様子はまったく見えません。
しかも製造品出荷額をみると、全国や愛知県と比べ静岡県の反発力は弱く、国内他地域の製造業と比べて何らかの理由で競争力が弱い感じがします。
こうした変調の芽は、鉱工業生産指数の推移をみると平成18年頃から現れています。
日本企業全体が国際競争力を失いつつある中で、さらに静岡県のものづくりは優位性を低下させています。
待ったなしの構造転換に静岡県の経済界・産業界はどう立ち向かうのでしょうか?
それなかりせば静岡県内の雇用情勢はますます深刻化していきます。

労働組合もそろそろ覚悟を決めてかからなければならない時代に突入しています。
労働組合の存在意義は“働く場”を守ることであり、“働く人たちの生活を守る”ことです。
労働者の犠牲の上に企業が生き残っても、労働者の生活が壊れ、個人消費が低下するだけです。
そろそろ私たちも覚悟を決めなければいけません。
その覚悟が経営者を動かし、新製品や新技術などのイノベーションを産み出すのかもしれません。
事なかれ主義では未来が開けてきません。

そんなことを考えながら歓送迎会に出かけました。
A.B.O.A.B.A.O.A.O…?
これって何だか分かりますか?
参加メンバーの血液型です。
いろいろあって面白いんですね。
イノベーションは、その多様性を活かすことから生まれるのかもしれません。

出陣式しんば決意表明




シャブ漬けならぬカネ漬け

2013-06-20 12:44:35 | 経済
シャブ漬けとは覚せい剤などの薬にどっぷりと漬かって、抜け出せなくなった状態のことです。
アルコール依存症などと違いそこから抜け出すことは至難の技です。
抜けられないとどうなるか…自分の脳がカスカスとなり、廃人になってしまいます。

世界中でシャブ漬けならぬカネ漬けが発生しています。
中国の「影の銀行」も話題になっています。
そろそろ中国不動産バブルが崩壊するのではないかと真剣に心配したのは2010年5月のことでした。
県主催の友好訪中団の一員として5年ぶりの中国を見聞きし、あまりの急成長ぶりにびっくりしました。
よくこれだけの巨額なお金を調達できるものだと疑問に思い、知り合いの中国人にそのカラクリを教えてもらいびっくりもしました。
あれから3年、もうそろそろ限界を迎えるころです。

中国の「影の銀行」とは、銀行を介さないで資産運用を図っている「大手企業集団」のことです。
地方ではインフラ開発のためにこの「影の銀行」を利用するのですから、中央政府が金融引き締めを図ってもなんの効果もないはずです。
実際に融資の焦げ付きや延滞などが起こっているといいますから、下手をすると米国のサブプライム問題に類似した大問題に発展する恐れがあります。

米国の金融緩和政策の縮小も遠のき、日銀はこれからお札の大増刷、世界中まさにカネ漬け状態です。
シャブ漬けは人を廃人にしますが、カネ漬けはバブルを発生させ、子どもたちの未来を奪います。
いつか来た道がまた近づき始めています…

止まらない人材流出

2013-05-27 20:13:27 | 経済
「ここ数年来、
わたしは、いっそう確信を深めました。
それは、ひとりの人間が体験しうる最大の苦悩は、
見捨てられていると感ずることにあるという確信です」
マザーテレサの言葉です。
朝日新聞の特集「限界にっぽん」の記事を読んで、この言葉を思いました。

日本の大手電機メーカーに勤めていた社員が、サムスンをはじめとした海外企業へ転出する様々なケースを紹介しています。

「…あっさりと切り捨てられた。
そんな自分の技術をサムスンがまだ必要としてくれている。
そう思うと、やはりうれしかった」
新興国企業に追い上げられて日本企業はリストラに走り、不満を募らせた優秀な技術者たちに転職の誘いの手が伸びます。
転職に際して日本人社員は、報酬欲求よりも承認欲求や自己実現欲求に魅かれたとも言います。

三国志にこんな言葉があります。
「士は己を知る者のために死す」
日本の士(社員)を知るはずのリーダーたちはどうなってしまったんでしょうか?


追伸
27日現在の応援団登録数は「5181」。
みなさんの自発的な行動のみが頼りの選挙戦です。
どうぞよろしくお願いします。
ふじのくに県民の会」HPからWeb登録もできます。

心配性のわたし

2013-05-21 17:24:11 | 経済
日経平均株価が1万5千円を超えてきました。
今日の東証一部の出来高も過去2番目の高水準です。
本来なら喜んで拍手を送りたいところですが、心配性のわたしは心配で心配でなりません。

「異次元」の金融政策のおかげで、日本株は上昇を始めました。
誰が日本株を買っているのかを、東証の売買動向から追ってみました。
昨年12月からこの4月までの買い越し・売り越し状況です。
海外投資家:7兆9751億円買い越し
個人投資家:1兆4919億円買い越し
金融機関:4兆5703億円売り越し

世界的な金融緩和で「異次元」のリスクも高まっているのではないでしょうか?
過去も幾たびか新興国での通貨危機や経済危機が発生しました。
いずれも先進諸国の金融政策の転換によって引き起こされたものです。
経済のことなど素人の私ですから単なる心配性だけなのかもしれませんが…心配です。

心配と言えば県知事選挙も心配になってきました。
応援団の登録だけが頼りですが、まだ未登録の仲間も大勢いました。
21日現在の応援団登録数は「2300」です。
みなさんの自発的な行動のみが頼りの選挙戦です。
どうぞよろしくお願いします。
ふじのくに県民の会」HPからWeb登録もできます。



金儲けのコツ

2013-05-20 18:31:14 | 経済
土曜日のこと、露天風呂でお金持ちらしき人たちの会話です。

『日本の財政ももうじきパンクするから、若い人たちは大変だよね』
「老人も大変ですよ。おそらく10年もしないうちに年金支給年齢は70歳を超えるだろうし…」
『私は講演を頼まれて若い時から自己防衛すべきだと話しているが、講演を聞きに来る人たちは年金受給者ばかりでどうしたもんかねえ、と時々思うんですよ』
「どう自己防衛すればいいんですか?」
『とにかくお金を稼ぐことですよ。
お金を稼ぐにはふたつあって、ひとつは人を使ってお金を稼ぐこと。
もうひとつはお金を使ってお金を稼ぐことですよ』

延々と続くお金儲け談義、要するにこういうことでした。
人を使ってお金を稼ぐとは、できるだけ安く人を使って利益を出すこと。
お金を使って稼ぐとは、株式や外債などのマネーゲームのことです。
おそらく世界中の金持ちがこうした方法で稼いでいるんでしょうね。

大幅な金融緩和で世界中に“じゃぶじゃぶ”とマネーがあふれているのに雇用環境の改善が見られない理由がよく分かりました。
下図は若者雇用が世界中で深刻化しているというグラフです。


追伸
20日現在の応援団登録数は「2200」です。
みなさんの自発的な行動のみが頼りの選挙戦です。
どうぞよろしくお願いします。
ふじのくに県民の会」HPからWeb登録もできます。

円安の効果

2013-04-15 18:03:43 | 経済

日本社会は円高で苦しみながらもなんとか体質転換してきましたが、急激な円安の振れで庶民生活に悪影響がでそうです。
グラフ化されたものを参考にして社会の動きを見定めましょう。
なにごとも行き過ぎると問題が起こるものです。

今円安に振れても、国内企業の海外生産シフトは止めようがないようです。

我が国の輸入依存度は高まるばかりですから、円安は庶民の生活を直撃します。

名目賃金と実質賃金、円高効果はここで見てとれます。
今年のベア交渉で名目賃金は上がりませんでしたから、来年のベア交渉までは円安が進むほど生活実態は悪くなるでしょう。

信じられない預金課税

2013-03-21 17:15:02 | 経済
もしあなたの銀行口座に預けてある預金に7%の課税がされると聞いたらどうしますか?
急いで銀行へ飛んでいき、預金を払い出しますよね。
一斉に人々が払い出したら現金はショートしてしまい、混乱は拡大していきます。

1927年、日本最大の“取り付け騒ぎ”が起こりました。
衆院予算委員会で片岡大蔵大臣が「東京渡辺銀行が破たんした」という間違った情報を流してしまいます。
噂は一気に広がって、全国各地の銀行には預金払い出しを求める人々が列をなしました。
このことがきっかけで「昭和金融恐慌」が発生しました。

今まさにEU加盟国のキプロスで“取り付け騒ぎ”が発生しています。
そのために銀行の臨時休業が1週間以上続くという異常事態に陥っています。
小さな国だからユーロへの影響は少ないとしていますが、その“取り付け騒ぎ”を引き起こした考え方にあきれはてます。
そもそもキプロスには国策として中東やロシアマネーを呼び込む政策があり、ロシアの富裕層からも多額の資金が流入しており、総預金の約3割がロシアマネーとも言われます。
ところがユーロ危機に見舞われたキプロスの民間銀行は多額の損失を計上して経営危機に陥ります。

問題はここから先の対処法です。
政府はEUからの支援を受けるために必要な58億ユーロの税収を確保するために、銀行預金への課税法案を提案しました。
大口預金者には9.9%、それ以外の預金者には6.75%の税をかけるという課税法案です。
もちろん国民は大反発で、議会も通りませんでした。
政府や銀行経営の失敗を庶民にツケ回すのですから当然です。
いつの世も最後に泣かされるのは庶民です。

この道はひょっとしたら私たちもいつか行く道かもしれません。
戦後の日本は膨大な政府の借金をハイパーインフレと強制デノミで埋め合わせました。
どの道を行ったとしても、借金は返すが道理です…さてどの道を通るのでしょうか。

誰のための景気回復か

2013-03-18 17:54:26 | 経済
「景気回復」に対しては誰も反対はできません。
しかし誰のための景気回復であるのかを私たちは見極める必要があります。
私は過去のバブル崩壊前に、狂乱的な株式相場に踊らされていた人々の姿が忘れられません。
会社の仲間にも、普通の主婦にも踊り狂った挙句に、すべてを失った人がいました。

リーマンショック以降、日本の株式相場が相対的に出遅れていたことは周知の事実です。

自民党にとっては日本株式の上昇がタイミング的にアベノミクスと重なったという幸運もありますが、注意すべきは米国の過熱ぶりです。
金融緩和を受けてダブついたマネーが株式市場に流れていますし、米国投資家の投資欲も絶好調で、VIX指数は過去最低水準です。

米国がくしゃみをすれば日本は風邪を引くといわれますが、株式市場においてはさらにその傾向が鮮明です。

米国ダウの長期グラフです。

景気に水差すつもりは毛頭ありませんが、そろそろバブリーな感じ、欲もほどほどにしないといけませんね。
大金持ちは株価を吊り上げてから売り時をコントロールしますので、小金持ちは老後の資金だけはキープしながら遊んでください。
少し儲かったら株を売って実需に回すくらいの遊び方がいいですね。
もちろんお金が無い人は遊んじゃダメですよ。
なんにせよ、三流週刊誌のバブリー記事に踊らされないようにしましょう。

自己責任の時代に突入?

2013-03-12 18:43:46 | 経済
未組織勤労者のための保証機関である「静岡県勤労者信用基金協会(勤信協)」の評議員会がありました。
勤信協は未組織勤労者の労金利用の道を開拓するために、その債務保証を行う機関として1965年に任意団体として設立されました。
これにより未組織勤労者も(地区労福協に加入することが必要)、安心して労金を利用できるようになったわけです。
県下の労働組合や行政も出損金(出資金)拠出に協力してくれたりして保証業務は順調に拡大していきます。
そして1978年には財団法人として認可されました。

いまや債務保証残高1396億円、基本財産100億円の堂々たる保証機関として育っています。
今年度の大きな特徴点はふたつあります。
ひとつは公益法人制度改革によって、2013年4月より「一般財団法人静岡県勤労者信用基金協会」として法人登記されることです。
種々の事情により公益法人としての申請はしませんでしたが、一般法人といえども事業内容の公益性は完全に認められた移行でした。
もうひとつは勤信協が未組織勤労者向けの住宅ローン保証料を大きく引き下げたことにより、その保証料を静岡労金が負担をして、未組織勤労者の保証料負担をゼロとする画期的な制度を実施したことです。
このことにより多くの未組織勤労者の支持を受け、融資が大きく伸びています。

このような組織(労金・勤信協)や仕組み(勤労者の保証料負担軽減)は、まさに助け合い、支え合いの賜物です。
ところが社会は大きく自己責任の時代に舵を切りはじめています。
たとえばこの3月で切れる「金融円滑法」
これは平成21年12月に施行されたもので、資金繰りが悪化した中小零細企業の事業主や、返済に苦しむ住宅ローンの借り手を支援するために、借入金返済を猶予する法律です。
業績の悪化した企業や不良債務者を救済することは問題の先送りにしかならないとする市場万能主義勢力の復活で、この制度が廃止されるのです。
休職中の労働者に出す休業手当の一部を政府が補助する「雇用調整助成金」にもメスが入ろうとしています。
これらの余波を受けて代位弁済(債務の立替払い)増加が懸念されることから、引当金の積み増しや流動性資金の確保も勤信協では考えております。

アベノミクスの裏側に見える深刻な現実のひとつです。