八兵衛のセカンドライフ

46歳で脳幹(橋)出血、現在72歳の車イス男性。ブログはFact is factで(事実だものしょーがねぇべ)

妻への八つ当たり

2011年05月10日 14時11分52秒 | 脳幹出血
両手両足は動かない、見えない、聞えない、喋れるけど通じない、飲み食いはダメ、
排尿排泄プライバシもへったくれもあったものじゃなし、なんじゃこりゃ~の世界だった。

あまりに変わり果てた自分に驚愕し、とにかくお銀をメチャクチャに罵倒し続けた。
驚愕→憤激→罵倒→失望、この繰り返しだった、まるでツキものに取り付かれたように罵倒した。
「お前のせいでこうなった」
「変わり果てたオレを眺めて嬉しいか?」
「お前は悪魔の手先、いや悪魔そのものだ」
・・・・・・・・・
ありとあらゆる悪態を、モゴモゴと不明瞭な言葉で浴びせ続けた。

お銀はうな垂れたように下を向き、口応えもせず悲しそうな顔をしていた。
罵倒に疲れ果て私の怒りが収まると、お銀がひたすら謝った。
単身赴任させざるを得なかったことで、お銀は自分自身を責めていた。

「八兵衛さんのバチ当り! 
そんな事言っていると、奥さんに離婚され捨てられるわよ。
世の中にそんな例は、掃いて捨てるほどゴマンとあるんだから」
来る看護婦さん来る看護婦さんにこっぴどく叱られた。

10日くらいは続いただろうか、
鼻から胃に通している流動食チューブを、寝ているうちに自分で抜くまでに手が動き始めた。
全く動かなかった手が動き始めたから大変喜ばしいのだが、
無意識とはいえ何度もチューブを抜くものだから、そのうち包帯で拘束されるハメになった。
私の口汚い罵倒には黙って耐えられたお銀だったが、私の拘束姿を見るのが辛そうだった。

妻への八つ当たりがやっと収まる兆しを見せ、主治医は私のリハビリを始める好機とした。
(2月中~下、倒れて1ヶ月)
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