明日死ぬかも

あなた自身が、この世で見たいと思う変化とならなければならない。byガンジー

多分これが唯一で、最良の道だった

2020年08月22日 15時02分01秒 | 詐欺師に騙されるということ


20代の終わりから

30代にかけて

私はひとりの男に騙された。





それはもう

信じられないくらいに

お粗末で、不快な嘘まみれの相手で

いまだに

どうしてあそこまで

嘘というか、事実でないことをペラペラと

平気で人に話せたものだと

そして

人の人生の時間を奪っているということの意味を

あそこまで軽く考えられるというのは

どういう神経なのだと

ずっと不思議でたまらないと思っている。






けれど

どれほど過去を振り返って何度反芻してみても

私にはこの道しか選ぶことができなかった

いつも辿り着く結論は同じなのだ。







何度も何度も嘘をつかれたのに

その度にまた信じて

哀れで自虐的でみっともない

そんな行動だと批判する人もいた。




けれど

何千回、何億回考えてみても

今過去に戻ることができたとしても

同じ道しか歩めない。








その理由はただひとつだ。







私は

心から彼を愛していた。










ただ、それだけのことだ。










大好きな相手を、愛しているとすら感じる相手を

信じたいと思うのは

至極当然のことだ。







自分を幸せにしない相手

嘘をついて欺くような相手

何度も傷つける相手





そんな人間を好きだと思う神経が

おそらくまずおかしいのだろう。






けれど

私は彼を大好きだったのだ。




この人だと思っていたのだ。







だから

今でも苦しい。








過去を振り返り

早期に彼との別れを決意し

別の道を歩んだ場合の人生も

何度も何度も想像した。






けれど

もしその後、この人と思える相手に出会えなかったら

私は詐欺師のような嘘つきだったあの彼を

信じて待たなかったことを

あの後も

おそらく今もずっと

後悔していたに違いない。






この人だと思える相手に出会えたのは

彼が初めてだった。






もしかしたら

その後にもそういう人と出会うことは

できたのかもしれない。





でも

今私は、まだ出会っていない。







そして

理想の相手と出会って

その相手にも愛される

そういう確率が

そこまで高いものではないことも知っている。







だから

私はこう考えることにした。






信じなかったことを後悔して何十年も生きるより

信じるだけ信じ切って

思いっきり裏切られてよかった

と。





自分が選んだ道は

正しいかどうかは別としても

とても私らしい選択だったのだと思う。





自分に嘘をついて

何十年も過ごしていくことは

私にはできなかった。




彼のことを諦めて

もしかしたらあの時・・・

そう思って生きていく人生など

私には生きていけない。





だったら

こちらの道の方が

ずっと自分らしくて

納得がいく道だったと思う。





多くの時間を費やしたし

涙が枯れる程泣いて

後悔も山のようにしたけれど

おそらく

そうしなかった人生でする

後悔や苦悩や迷いより

こちらの方がまだマシだと

今はそう思える。








失ったものは

二度と戻らないし

傷ついた心は

いまだに回復しないけれど

それでも

自分らしい選択をしたと思えるようになった。






ずっと考えていた。





何が悪かったのか。

何が間違いだったのか。

どうして騙されたのか。

信じたことがいけなかったのか。






たぶん



何も悪くなかったし

間違ってもいなかったし

信じたいという思いを貫いただけだった。






私は

自分の生きたいように生きた。




だから

それでいいんじゃないかと

やっと今日

ふとそう思えた。





だから

それを書き残しておこうと思った。












人に騙されることは

生きていたら大なり小なりあるんだと思う。




人を信じるということは

思いやりと誠実さと汚れのない思いが

根底にないと出来ないことだ。




何度裏切られても信じ続けることは

時に愚かな行いなのかもしれない。




でも

それでも

裏切られても信じることをやめようとしなかった

それは

とても尊く、清らかな行為だったと

私はそう思う。






信じるべき人を自分で選んだ結果だ。








私は、自分が大好きで大好きでどうしようもなかった人を

最後まで信じた。







ただ、それだけだ。




そして

そのことを恥じる必要はないのだと

初めてそう思えている。







自分が

自分のことを愛してくれた誰かを

裏切り続けたわけでは

ないのだから。