映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

美しいひと(2008年)

2016-06-01 | 【う】



 ジュニー(レア・セドゥ)は、母親が亡くなったため叔母の下に預けられ、従兄マチアスと同じ高校(リセ)に通うことになった。そこで出会ったイタリア語教師ヌムール(ルイ・ガレル)と、互いに一目で惹かれ合うが、ジュニーがステディに選んだのは真面目な男子生徒のオットーだった。恋愛経験豊富なヌムールだったが身辺整理をしてまでジュニーに真剣な思いを寄せるようになる。

 ヌムールの思いを感じ、自身も彼に強く惹かれるジュニーだが、踏み切れない。ある日、高校の廊下でヌムールに抱き寄せられ迫られるジュニーだが拒絶する。しかし、それを目撃した男子生徒にその事実を聞いたオットーは2人の関係を誤解して絶望し、学校の廊下から中庭に飛び降りて自殺 してしまう。

 ジュニーがヌムールの思いを受け入れないのは、いずれヌムールが自分に飽きて去っていくことを見越してのことだった。オットーの死を機に、ジュニーはヌムールの下から去って行く。

 17世紀の恋愛小説「クレーヴの奥方」を原案に、舞台を現代の高校に移しての映画化。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜


 アナイス・ドゥムースティエが出演しているので見てみました。つい先日『美しい人』という漢字か平仮名かの違いの別作品のレビューを書いたばかりですが、、、。


◆フランスの高校では、校舎内でディープキスが普通らしい

 アメリカのハイスクールもののバカっぽさも好きじゃないけど、フランスの高校生たちのマセっぷりもなんだかなぁ、、、と思っちゃいました。文化の違いといっちゃえば身も蓋もないけど、学校でブチュブチュってどーなんでしょ。学校全体の自由な雰囲気は良いなあ、と思いますけれど。それとも、イマドキは、日本の高校でもこういうの珍しくない光景だったりして、、、。私が知らないだけなのかしら。

 ヨーロッパでも、イタリアは日本みたいにパラサイトシングルが普通に見られ、いわゆる母子密着度が高い文化らしいんですが、フランスは母子密着度低そうだよなあ、確かに。子どもの4割が婚外子ということは、おそらく母親自身も精神的に非常に自立している人が多いと想像します。夫(パートナー)や子どもに女性が依存するケースが少ないのかも知れませんねぇ。そういう意味では、フランス人の子どもたちがもの凄く羨ましいですが、、、。

 精神的な自立を早く促されると、やはり恋愛も低年齢化するのは道理かもですね。でも、フランスの高校生をするのは、私には荷が重い、、、。


◆不倫でもないのに“してはいけない恋”って、、、なんじゃそら。

 さて、ジュニーの言動ですが、、、。皆さんは共感できるのかしら。

 「あなた(ヌムールのこと)はステキな人。でも、私と寝たら、あなたは確実に私に飽きて去って行く」(セリフ正確ではありません)

 、、、イラッとするわ~~。何となく、16歳というお年頃ならこういうことを言って一人でこじらせるってのはありがちだとは思うんですけれど、でもねぇ、、、。

 私だったら、自分が好きな人が自分を好きだと分かれば、後は野となれ山となれで暴走しますね、確実に。だって、そんな相思相愛が人生で起きることって、そう何度もないでしょう? ある意味、それって奇跡なわけで。そら、レア様なら掃いて捨てるほどあるかもしれないけど、、、いや、やっぱしレア様でも、そんなにはないでしょう。

 人生における奇跡を、みすみす見逃すなんて、もったいなくて出来ません。だいたい、不倫でもないのに、“してはいけない恋”なんて、頭でっかちもいいとこ。恋愛なんて、そこに飛び込んでみなけりゃ分からないことだらけでしょう。リスクを恐れていたら、悦びも味わえない。ものすごい痛手を負うかもしれないけれど、それこそ若さの特権で、歳とってからの痛手より痛くない。

 ま、原作が不倫モノで踏み込まなかったオハナシらしいから、こういうことになったんでしょうけれど。

 恋愛なんて踏み込んで、、、つーか、寝てみてなんぼ、ではないでしょうか。お下品でスミマセン。でもセックスはあくまでスタートラインだと思うのですよね、恋愛においては。その手前であーでもない、こーでもないと脳内だけで恋愛哲学しているのは好きじゃないわぁ。実践あるのみでしょ、実践。哲学はその後、あと!


◆アンニュイ&濃い濃い

 ジュニーを演じるレア・セドゥですが、ほとんど笑顔がありません。終始アンニュイな表情と 雰囲気。16歳でこれかぁ、、、。私も高校生の頃、「気だるそう」とよく言われましたが、それは基本的な性格が面倒くさがりで何をやるにも面倒くさそうにしていたために「覇気がない」ように見えたのであって、アンニュイに不可欠な色気とは対極なものでござんした。

 それはともかく、ジュニーは何でこんなにアンニュイなのか。もともとの性質なのか、あるいは生育環境とかに理由があるのかしらん。どっちでもいいけど、アンニュイの似合う16歳の少女、ジュニーです。レア様自身は、このとき20歳過ぎでいらしたみたいですが。

 つーか、そんな“してはいけない恋”だの何だの脳内哲学しているからアンニュイになるんだよ。だって、生きてる意味ないじゃないの、好きな人と恋愛もしないで。好きな人さえ見つからない人間も世の中にはたくさんいるのに。生き甲斐を自ら断ってりゃ、そらアンニュイにならざるを得んわな。

 レア様の出演作を見るのは、多分これが初めてです。魅力的だけど、好き嫌いでいうと、あんまり引力は感じなかったなぁ。私は、どちらかというとカワイイ感じの人の方が好きなので。でも、レア様は、違う役ではゼンゼン違う顔を見せてくれそうな予感がします。他の作品も要チェックかな。『グランド・ブダペスト・ホテル』にも出ていたなんて知らんかった。『アデル、ブルーは熱い色』は、ちょっと興味あるけれど。

 あと、ヌムールを演じたルイ・ガレル。彼の作品もこれが初見ですが、濃いわぁ~。すんごい濃い。私は東洋人なので、こういう激しく濃い系はちょっと苦手、、、。まあ、色気があるのでモテる役でも違和感はありませんが。

 この人、過去には、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキさんと付き合っていたとか。かなりの歳の差カップルなのでは? 若くても大人な男なんでしょうな。まあでも、他の作品も見たい、って感じではないです、はい。


◆その他もろもろ

 高校生たちの服装が、皆さん、何気にオサレです。この辺、さすがおフランス、ってとこでしょうか。

 お目当てのアナイス・ドゥムースティエの出番はあんましなくてちょっとガッカリ。たばこをぷかぷか吸っていたのがけっこう衝撃的でしたけれど。

 リセでの外国語の授業は、英語はもちろん、イタリア語、ロシア語もありましたね。さすがヨーロッパ。日本の学校も 、英語の授業は全部英語でやればいいんですよ。今はそうしているのかも知れませんが、そうすれば、多少は話せるようになるんではないでしょうかね。先生の言うこと聞き取ろうと必死になりますから。耳がなくては喋れませんし。

 置き去りにされたヌムールは、トラウマにならないといいんですけどねぇ。ここは、小娘の恋愛哲学教室の講師をしてあげたんだ、くらいに割り切ってはいかがでせうか? ムリ?






恋愛は、哲学よりも実践が大事、、、と思う。




 ★★ランキング参加中★★

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読書する女(1988年) | トップ | インサイド・ルーウィン・デ... »

コメントを投稿

【う】」カテゴリの最新記事