映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

NHK・ドラマ10「お母さん、娘をやめていいですか?」(全8回)を見終えて ~その④~

2017-03-28 | 番外編
 そののつづきです。 


◆最終回の展開について

 そので、最終回の展開がやや“物足りない”と書いたけれど、ドラマだから、あれはあれで良いとも思っている。ただ、信田さんがダメ出ししたという割には、決定稿の展開にはナゾが、、、。

 第7回で、浩司が会社を辞めて、先に会社を辞めて海外で事業を展開しているという篠田(角田信朗)に会うシーンがあります。そこで、篠田が浩司に「お前もこっちでやってみないか」と言うのを聞いて、浩司と顕子は海外へ行くという展開なのは読めました。

 でもねぇ、、、それまでの過程が、ちょっと???なんだよなぁ、、、。

 篠田に声を掛けられた後、顕子が自殺未遂の真似事などすることによって、美月と再び深刻な状況に陥り、遂には美月が観念し、顕子と一緒に暮らすという結論を出す。この一連の出来事を、浩司は知っている。

 それなのに、、、浩司は海外へ行くことを決めてしまうのです。美月に「お母さんのことは引き受ける」と宣言したのに、この行動はあまりに無責任かつ矛盾しているのでは? 家に美月が戻れば、顕子と美月の2人っきりになってしまい、状況はさらに悪化することくらい、浩司でなくても分かります。なのに、、、なぜ?

 ドラマ的には、海外へ旅立つ前に浩司が「君を必要としていた、それだけは信じてほしい」と顕子に言うシーンで、それらの矛盾を解消したつもりかもしれませんが、これじゃあ、現実的には何の解決にもなりません。

 浩司が外国へ旅立つ直前に、美月と顕子は派手な喧嘩をし、互いに顔を引っぱたき合うというシーンがありますが、顕子的母親にとって、あんくらいの喧嘩、何でもないことです。屁とも思わないでしょうね、実際は。とにかく、自分の思い描く通りに現実が収まればそれでいいのです、過程なんかどーでも。浩司が外国へ行ってしまえば、“美月と親子水入らずで暮らす”という顕子の目的は達せられてしまいます。顕子にとって、これ以上の結果はありません。

 信田さんが、この展開でOKした理由がイマイチ解せません。

 そして、なんと言っても、顕子自身が、浩司について行こうと決意することが、最大のナゾです。なぜ? 浩司の「君を必要としていた」の言葉が効いた? ……まさか!! あの時点の顕子が、自ら美月のそばを離れる決断が出来る精神状態とは到底思えません。浩司の言葉など、現実ではほとんど意味をなさないと思います。

 信田さんの言うように「鍵はやっぱり父親にあることが伝わってほしい」ということで、あの浩司のセリフが入ったのでしょうが、、、。あまりにもあの一言だけでは説得力が低い。

 そして、さらに信田さんの懸念していた「一番恐れたのはあまりにもあっけなく母が変化することで、娘の感じ方が過敏で問題だったんだ、一時的で遅れて来た反抗期だったんだという感想が生まれることだった」というのは、一部の人の目にはそう映っただろうと思いますね。こういう経験をしたことがない人には特にそう感じた人が大勢いただろうと思います。

 あんな吹っ切れた顔して、空港から旅立つ顕子さんは、やっぱり、この問題に心底悩む者たちから見ると違和感バリバリです。

 そう言う意味で、最終回の展開は、いささか物足りないのです。もちろん、素晴らしいドラマであることは前提です。


◆私が最終回のシナリオを書くとしたら、、、

 私だったら、海外へ行くのは、浩司ではなく、美月にしますね。今の仕事も、松島の存在も、全て捨てて、美月を海外に旅立たせます。

 まあ、そうすると、松島との別れを予感させるので、視聴者受けが良くないかも知れないけど、海外へ行くこと=松島との別れ、というのも違うでしょ。縁があれば、そう簡単には別れないものです、男と女なんて。

 それよりも大事なのは、顕子と美月の物理的な分離です。しかも、顕子が自ら気付きを得る展開は、現実的にはほぼあり得ないことを思えば、ここは、美月が顕子から全力で“逃げる”展開にする方が、むしろドラマチックになる上、リアリティも増します。

 海外へ美月が行くのには、根拠があります。美月は、“教師”という仕事には疑問を持っていたけれど、“英語”は好きそうでした。ならば、英語をもっと極めようと志すのは大いにアリです。しかも25歳とまだ若い。海外脱出費用は、これまで親と一緒に暮らしてきたのだから、貯金もそれなりにあるはず。物語として破綻はないと思います。

 浩司さんには、そんな美月の決断の背中を押す役割を演じてもらいたい。「俺に任せろ」と言った以上、その言葉に責任をとっていただかなければ。自らは、美月が海外へ去った後の顕子の苦しみにとことん付き合うのです。

 顕子は、美月の喪失感と葛藤しなければなりません。この葛藤を経ないで、“気付きを得る”などあり得ません。現実はそんなに甘くない。葛藤する上で、浩司と夫婦として向き合わなければならないのです。ここは、夫婦の試練だと思います。これがなくて、どうして顕子が救われるでしょうか。

 ドラマの展開では、本当の試練……つまり、美月と離れた後の顕子の苦しみを克服すること……が描かれていないので、それまでの修羅場が、結果的にファンタジーに帰結してしまった感じなのです。修羅場はキレイには終わらない。修羅場は修羅場を経て、ようやく収束への兆しが見えてくるものなのです。

 顕子がカウンセリングに行き、浩司が付き添う、というシーンも入れつつ、そうやって、夫婦の試練を乗り越えられそう、、、というところで、エンドマークにしますかね、私なら。美月は帰っては来させません。




(その⑤につづく)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加