映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

美しい人(2005年)

2016-03-28 | 【う】



 1話につき1人の女性のある断片を描いた全9話のオムニバス映画。1話が大体10分程度。監督は、『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシア。

 いろんな年代のいろんな境遇の女性のある断片を描いている、ということらしい。相変わらずヘンな邦題の作品て多いなぁ。

  
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 『彼女を見ればわかること』は、かつて見た記憶があるのですが、あんましグッと来なかったのか、内容を覚えていないのですよね、、、。正直、オムニバス映画って、あんまし得意じゃないかも。

 9人の女性は、まあ年齢層は10代~60代くらいまでと幅広いけれども、皆それぞれにイロイロ抱えているのでして、それは生きてれば当たり前な訳です。で、ほとんどがほぼ1カットで撮られていて、つまり彼女たちの人生のうちの、ほんの10分程度を切り取っただけなんだけれども、まあ、彼女たちの置かれた境遇がうっすら(あるいはかなりハッキリ)見えてくるのですから、これは監督+俳優たちの力のなせる業ってことで、素晴らしいと思います。

 ……ということは前提で言うのですが、なんというか、あんまし見て良かったと思えるエピソードが1個もないんだよね。どれもこれも暗いというか、過去に囚われた話ばかりで、この先への希望が感じられるエビソードが少ない(ないわけじゃない)。一応、希望がある話も、いわゆる鑑賞後感が良いというわけではなく、心は重いまま、、、。

 一つ一つのエピソードについて書く気にはならないんだけど、印象に残ったのをいくつか。

 2話(ダイアナ)と、6話(ローナ)は、昔の男絡みの話で、どっちの昔の男も「君が忘れられない、君がオレの運命の人だ」的なことを言うわけね、彼女たちに。そして、女たちは揺れる、、、。これって、男のロマンチシズムを凝縮した話じゃないか? ロドリゴ・ガルシアは、こういう願望があるのではないかと勘繰っちゃう。現実を共に生きるパートナーより、過去の女の方が良い、、、。はぁ、、、(嘆息)。分からんでもないし、女でも過去の男を忘れられないということはもちろんあるけれども、私はあんましこういう話は好きじゃないのよねぇ。かつての恋人との過去ってのは、濾過された思い出でできているものだと思うのです。だから美しく思えて当然。イイ大人だったら、それを弁えて、現実と闘って生きる方が素敵だと思う。過去の恋人と偶然再会しても、私の理想は、視線をかわすだけですれ違える2人。仮に言葉を交わしても挨拶だけ、そして「元気でね」と笑顔で去れる2人。そこで愁嘆話を展開させる2人だけには決してなりたくないのです。だから、ダイアナもローナも、私にはゼンゼン魅力的には見えないのでした。ましてやあんなこと言ってくる男はサイテー。、、、そんな風に思っちゃう私はロマンス度ゼロなんでしょうかね。別にいいけど、ゼロでも。

 、、、でも、これを書いていて思い出したのですが、今では没交渉の旧親友が、若い頃言っていました。「別れた後、(相手に)思いっ切り後悔させたい」と。誰と付き合っても、別れた後には、「あんなイイ女と別れるなんて、なんてもったいないことをしたんだ、オレは!」と思わせたいのだそうです。そう思わない? と彼女に聞かれたので、私は「ゼンゼンそんなこと思わない。なんであんな女に惚れてたんだ、と思われるくらいの方が良い」と答えました。これは今も変わらないです。旧親友的感覚だと、ダイアナやローナみたいに、揺れるんでしょうか、、、。

 あと、男がサイテーだと思ったのは、4話のソニアの夫ですかね。あれはもう、論外。どう論外かは、見ていただければ分かると思います。

 逆に、イイ男だと思ったのは、8話のカミールの夫。乳がんで乳房摘出前にナーバスになって荒れる妻を穏やかに見守る夫。あれは、できそうで結構難しいと思う。私も、あの夫の立場になったとき、あんな風にいられたら、、、と思うけれど。

 7話のルースを演じていたのが、シシー・スペイセクとは! 最初、分かりませんでした。よく見たら、確かに面影はありますが。いや~、隔世の感があります。相手役のエイダン・クインもすごくイイ味出していました。鈍い男を鋭く演じていて上手いなぁ、と感嘆。

 ロドリゴ・ガルシアは、あのガルシア・マルケスの息子だそうで。ガルシア・マルケスの「物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室」という本を読んだことがあって(完読はしていないけど)、映画学校での生徒とのディスカッションを採録したものなんだけれど、息子が映像の方に進んだのもむべなるかな、という感じです。でも、ガルシア・マルケスの小説とは、大分、趣が異なるように感じました。非常にリアリティのあるエピソードばかりでしたもんね。

 でもまあ、正直、エビソードによっては女にロマンスを抱き過ぎなのが感じられるのは、父親譲りかも。女は概して、計算高くて、たくましいわよ、しぶといし。



 
 


ラストのグレン・クローズが素晴らしい。




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