映画 ご(誤)鑑賞日記

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美しい絵の崩壊(2013年)

2020-11-29 | 【う】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv55444/

 

 幼馴染みで無二の親友であるロズ(ロビン・ライト)とリル(ナオミ・ワッツ)は、長じて、二人とも結婚し、相前後して息子に恵まれた。リルはその後夫を事故で亡くすが、近所に暮らすロズの支えもあって、海を見下ろす家で暮らしていた。

 成長した双方の息子たちも幼い頃から親しく、ロズとリルは互いに第二の母親のような存在だった。

 リルの息子イアン(ゼイヴィア・サミュエル)は、以前からロズに思いを寄せていたと言って、ある晩、ロズに迫る。ロズは驚きながらも受け容れる。しかし、それをロズの息子トム(ジェームズ・フレッシュヴィル)に見られてしまう。トムは仕返しとばかりに、リルに強引に迫る。リルは最初は拒絶するものの、ロズとイアンが深い仲になったとトムから聞かされると、そのままトムを受け容れる。

 それから、互いの母親と息子が恋愛関係になるのだが、、、。


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 何かの予告編で見てDVDをリストに入れたらしい、、、。これ、2014年に公開されていたんですねぇ。知りませんでした。


◆親友というよりも、、、

 本作を見た後に知ったのだけど、監督がアンヌ・フォンテーヌという女性なんだが、私、この人の作品を見たの、これで3本目だったみたい。これまで見たのは『夜明けの祈り』(2016)『ボヴァリー夫人とパン屋』(2014)。どちらも、まあまあ悪くない印象の映画だった。

 でも、本作は、ちょっとね、、、という感じ。そもそも、親友同士が、互いの息子と恋愛関係になる、、、ってのが、あんましグッとこないお話よね(だったら見るな、って話なんだが)。まあ、実の息子と近親相姦じゃないだけマシだけど。

 ……ただ、その辺は、見ている過程で、ちょっと印象が変化していった。なんというか、ロズもリルも、息子たちを男性として愛している、というよりも、“親友の息子だから”好きなんだな、と。つまり、ロズもリルも、全然関係のない、例えば職場の若い男の子とかだったら、相手にしていなかったんじゃないか、ということ。

 オープニングは、子どもの頃のロズとリルの描写なんだが、少女の友情にありがちな同性愛的な印象があり、実際、大人になった2人も同性愛の疑いをかけられるシーンがある。ロズとリルが実際に肉体関係を結ぶことはないんだけれども、十分、プラトニックな恋愛関係が成立していると思う。

 それを一番感じたのは、リルが、ロズの息子トムに去られて悲しんで涙にくれるシーン。セリフよりも、その身体的な描写にね、、、。ロズが、リルを背後から優しく抱きしめるのだけど、もうほとんどそれは恋人同士のハグシーンだろ、って感じだった。このシーンを見て、私は、この2人は息子のことを愛しているんじゃなくて、その向こうに、互いの存在を感じているから恋愛関係を続けてきたんだな~、と感じたのだった、、、。

 しかし。それでもやっぱり、私の感覚では息子と同じくらいの年齢の男の子と深い仲になるってのは、ちょっと気持ちワルイので、この2人の女性にはゼンゼン共感できなかった。

 そこまで深くて強い友情ってのは、スゴいよね。私なんて、子どもの頃仲の良かった友人は、今や名前も思い出せないくらい。そもそも、協調性のない子どもだったので、親友と呼べる人はおろか、友人も少なかった。今も関係が辛うじて続いているのは、高校時代以降の友人ばかり。ロズとリルみたいに、ずーーーっと近所で住んで、同じくらいの時期に結婚して出産して、、、っていうのは、かなりレアでしょう。というか、そういう設定自体がもう、神秘的ですらある。この2人が分かちがたい、それこそ、魂の片割れみたいな存在、ということなのかもね。

 だとしても、それで息子や夫を巻き込むのは小説や映画だけの世界にしておいてほしい。友人に限らず、親子、兄弟姉妹でも、あまりにも結びつきが強すぎる関係ってのは、周囲に悪影響を及ぼすと思うなぁ。人間、やっぱり適度な距離が必要なのでは。プライベートでも、ソーシャルディスタンスは大事でしょ。


◆その他もろもろ

 ロビン・ライトもナオミ・ワッツも、40代半ばで、おキレイです。お腹も出てないし、お胸もお尻も下がっていない。あんなキレイな母親がいたら、息子たちからしてみれば、その辺のギャルがつまんないガキに見えるのも仕方がないかもねぇ。

 イアンを演じたゼイヴィア・サミュエルくんは、なかなかイケメンだった。トムのジェームズ・フレッシュヴィルくんは、まあ、、、好みの問題かな。一番可哀想なのは、ロズの夫だよねぇ。折角、お仕事で栄転なのに、家族は着いてきてくれないどころか、閉じた関係でよろしくやってるんだから。夫は完全に蚊帳の外。離婚して正解です。

 本作の邦題は『美しい絵の崩壊』なんだけど、この4人の関係は、結局崩壊していない気がするんだよね。ネットでは、この「崩壊」は、イアンのことだと書いている人がいたが、なるほどなぁ、、、と思った。確かに、この4人の中で、一番傷ついたのはイアンだろうから。そして、イアンは美しい(トムに比べると、、、という意味だが)。

 しかし、この4人はこれからどうなるんだろうか、、、。もういっそ、4人で楽しく暮らしたら?と言ってやりたくなる。だって、誰かが入っても、弾き飛ばされるだけなんだから。夫や、息子たちが結婚した相手の女性たちのように。誰も巻き込まないでください、って感じ。

 原作は、ドリス・レッシングの短編集『グランド・マザーズ』だそうだ。ドリス・レッシングなんて、初めて聞いた名前だが、ノーベル文学賞を2007年に受賞している。その経歴をざっとネットで読んだら、俄然興味が湧いてしまって、原作本を通販で早速ポチってしまった。おそらく原作小説の方が面白いとみた。もうすぐ本が届くと思うけど、読むのが楽しみ~♪

 
 

 

 

 

 

海辺の家が素敵。1週間くらいなら住んでみたい。

 

 

 


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