1968年に開館し、1994年から4年の歳月をかけてリニューアルオープン。
総床面積2万㎡の館内は国内では4番目、西日本では最大の美術館だ。
ガラス張りの館内からは隣接した「縮景園」の庭園が見える。
有名なダリの「ヴィーナスの夢」も所蔵されている。
タイトルだけでは分からないかもしれないが、美術の教科書などで、誰しも1度は見たコトがあると思われる、だら~んとした時計が描かれてるやつだ。
実は昨日の桜もこの美術館から見た縮景園内に咲いていたもの。
昨日、日本初公開となるブルガリアに眠る古代トラキアの秘宝、「よみがえる黄金文明展」というやつに行ってきたのだ。
館内の展示品は写真撮影できなかったので、このチラシで雰囲気を味わって欲しい。
この「トラキア王の黄金のマスク」は紀元前5世紀後半のもので、重さ672gにもおよび、1876年、ギリシアで発見された「アガメムノンの黄金のマスク」、1972年、エジプトで発見された「ツタンカーメン王の黄金のマスク」に続き、2004年にブルガリア・バラの谷で発見され、”21世紀の大発見”と言われているそうだ。
勇敢な騎馬戦士としてトロイの伝説にも登場するトラキア人は、紀元前3000年頃よりヨーロッパ南部のバルカン半島に広大な勢力を築き、前5世紀から前3世紀に最盛期を迎え、ギリシャ、ペルシャなどさまざまな文明の影響を受けながら、独自の文化を築き上げたという。
ちなみにギリシャ神話に出てくる酒の神、デュオニソスはもともと酒好きなトラキア人が信仰する神だったという。
黄金を使った数々の品は、当時の栄華と高い芸術性を物語る。
昔も今も、人が黄金に魅せられ、そこに価値をおくのは、その輝きが永い時を経ても不変のものだからに相違ない。
その永遠性に、有限の時を生きる人はひきつけられる。
そして、死を恐れぬ勇敢な戦士だったのは、その死生観に由来する。
トラキア人は、子が生まれた時は、この世での苦労を思い、嘆き悲しんだそうだが、死は永遠の理想郷に旅立つしあわせな門出だと信じ、喜んだという。
一夫多妻の習慣もあったトラキアでは、夫の死に妻が後を追い殉死する習慣があったそうで、夫とともに死への旅に出られるコトは何にもまさる栄誉で、逆に選ばれなかった者は顔向けできないような恥と感じたそうで、そのための争いも起きたという。
昨日も彼岸というコトで、この死生観の話を少ししたが、トラキア人や仏教のような浄土思想をもつ者と、死んだらおわり・・と考える者とでは、自ずとその生き方も変わってくる。
死んで終わりなら、当然今さえよければいい、自分さえよければいい・・という刹那的、自己中心的な生き方になるだろう。
高い芸術や文明が神への信仰、宗教とともに生まれ、またその死生観に基づいて豊かな人生を送ってきたコトは歴史を見れば明らかだ。
もし、そうした死生観をもたず、人生を生きるとしたらどうだろうか・・?
”Memento mori”(死を想え)
死への旅立ちが近くなってから悟っても、時、すでにおそしだ。