生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

浜辺にて…

2012-05-23 | 季節は今

住友金属の溶鉱炉から取り出す“スラグ”の灯に巡り会えた。先日、早朝4:00過ぎに空を赤く染めてるのを見て思い立った…義兄からほぼ3時間毎と聞いていたが、今時期は何時に空を染めるのか見当がつかなかったのである。
気合を入れて3:20amから万全の準備で待機した結果、3:55am、2分余りのショーを見ることが出来た。これに会わせるかのように雑賀崎、田の浦そして和歌浦漁港から一斉に漁船が出漁した。 

 

このところ妙な天候が続く。濃い靄が出たり、雷雨になったりだ。この日も4:30amまでは通常の“あけぼの”だったが、雲なのか靄の塊のようなものが現われ、それが日の出前に赤く染まって怪しげな朝焼けとなった。

季節は“万物盈満すれば 草木枝葉しげる”二十四節気の「小満」(しょうまん)となり、その初候「蚕起食桑」(かいこおこってくわをくらう)蚕が音をたてて桑の葉を食べる…と、云われる時節である。
そして、今時期の日の出位置は名草山正面の位置に立てば、遙か左の県立医大方向からとなる。従って、名草山山頂付近に朝日を入れるには片男波海岸の堤防端近くがちょうど好い…つまり南端へ移動である。同時にその形も随分変化する。 

        
           「ハマボッス」 浜払子  サクラソウ科、越年草

払子(ほっす)は僧が説法時に威儀を正すための房に柄をつけたような法具… 


           「ハマエンドウ」 浜豌豆  マメ科、多年草

浜では最も広い面積を占有し多くの花を付ける。

そこは以前、和歌川の河口を浚渫した際の土砂置き場で、現在は埋立地のように草木が生えた。云わば自然回復実験のような場所で、貝殻だけが目立った土砂だけの小山が、海辺の植物など様々な花の咲き誇る草叢となったのである。
ここへ来るまでには片男波公園の立派な石庭などがあり、職員が常駐で管理してるのだが全く魅力はない。この草地の方が遙かに楽しめるのである。昨年まではここでヒバリが営巣してたのであろう、日の出前から大きな鳴き声が響いていた…

        
            「コバンソウ」 小判草  イネ科、一年草

 


          「ハマヒルガオ」 浜昼顔  ヒルガオ科、多年草

“ハマエンドウ”に次ぐ面積占有率である。陽が充分当たらないと開かない。 

        
          「ハマダイコン」 浜大根  アブラナ科、多年草

 

                
         「ハマウド」 浜独活  セリ科、多年草  別称 オニウド

ここではもっとも大きな植物である。枯れた茎も何時までも残る… 

        
         「コウボウシバ」 弘法芝  カヤツリグサ科、多年草

これも相当の繁殖力である。 


     「コマツヨイグサ」 小待宵草  アカバナ科、多年草  帰化植物

繁殖力旺盛である。“ナルトサワギク”は禁じられてるが、これも移動しない… 

http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/index.html (特定外来生物)

        
       「シロバナマンテマ」 白花まんてま  ナデシコ科、越年草

江戸時代末期に鑑賞用として日本に入ったと云われる帰化植物。


天体ショー

2012-05-22 | 季節は今

      

 

フィルターが手に入らなかったので、玉津島神社で木漏れ日を…
和歌川沿いには朝からたくさんのカメラマンが集結し、雲の動きに一喜一憂だったが7:00am過ぎよりすっかり晴れ渡った。昨夜の雨を思えば奇蹟に近い… 


                                          7:22am

“小野小町袖掛け”の塀である。旨く日蝕の影が映ってくれた。神社のAさんと歓声を上げながら“世紀の天体ショー”のおこぼれに預かる。 


                                          7:28am

5分強で三日月型の向きの変わった。 

鳥居にタトゥ-? 


                                          7:32am

斜めの木漏れ日で三日月の大きさも変化… 

        

“ダイサギ”もどうしたのか?今まで止まったことのない岩の上で羽を休める…


かきつばた [Ⅲ]

2012-05-16 | 季節は今

      

    http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090522 (沼の池 詳しく) 


      「エビネ」 海老根、蝦根  ラン科、多年草  絶滅危惧種

昨年は何者かに花芽を喰われていた。新しい株が増えてる…嬉しいね! 

        
            「シライトソウ」 白糸草  ユリ科、多年草

今年の“シライトソウ”は不作?どうにか一株見つけた。 


              「メギ」 目木  メギ科、落葉低木

葉などを煎じて目薬にしたと言われる。 

        
        「ギンラン」 銀蘭  ラン科、多年草  絶滅危惧種

“ギンラン”を見つけた。来年までの無事を願うのだが、二年越しに見たことはない。 


      「ツクバネウツギ」 衝羽根空木  スイカズラ科、落葉低木

殆どの木は花期を終わっていた。 

        
        「キンラン」 金蘭  ラン科、多年草  絶滅危惧種

思わぬ場所で咲いていた。昨年は花を付けるほど成長してなかったのだろう。見落としたようだ。来年は2~3輪の花をつけた姿を見たいもの!がんばれ! 

        
「ギンリョウソウ」 銀竜草  イチヤクソウ科、腐生植物  別称 ユウレイ茸

辛うじてこれだけが変色せず残っていた。多くのものが見る影も無く…  


かきつばた [Ⅱ]

2012-05-15 | 季節は今

      

 われのみやかく恋すらむ杜若丹づらふ妹は如何にかあらむ    詠み人知らず 

池の西側のカキツバタから輝きはじめる。紫から青、緑のグラデーションが美しい。
いずれ菖蒲か杜若…甲乙付け難いほど美しい…の意だが、美しいものをより美しく撮るなんてのは至難の業である。まだまだ未熟である! 

 

今日の陽射しは柔らかい…5月の強い太陽光に毎回ギブアップだったが、2時間以上の残業である。池の水は少なく水深のある離れた場所には“ジュンサイ”が見える。一雨欲しい…
陽の温もりが感じる頃、トンボが飛びはじめた。ホバーリングしたり縄張りを争ったり…シャッタースピードを上げて近くに来るのを待つ…が、先ほどまで目の前をと飛んでたのが傍へ来なくなった。どうも、見透かされてるようだ。 

  沼水にしげる眞菰のわかれぬを咲き隔てたるかきつばたかな     西行

季節は進んで「立夏」の末候「竹筍生」(ちくじゅんしょうず)タケノコが生えてくる時節だが、和歌山では旬(しゅん)は過ぎた。俳句の季語では、この時期の竹を“竹の秋” と表す。栄養分を我が子に与えるため親竹に精彩がなくなるからだそうだ。

やはり木陰に入るとほっとする。爽やかな陽気とは云え、動くと暑くなる。幸い薮蚊などの嫌な虫はいない。が、時期的にはヘビやらムカデなどにも注意しなければならない。晴れた日でもゴム長靴が離せなくなる。 

 

この日の“カキツバタ”たちからは離れ難く、既に4時間近くになる。これほどまで長居をしたことはない。…陽射しも強くなったきた。森の宝石“沼の池”に感謝しつつ山を降ることに…後は道中の草花が楽しみだ。


かきつばた [Ⅰ]

2012-05-14 | 季節は今

       暁の咫尺(しせき)の靄(もや)や杜若       高浜虚子

沼の池(ぬのいけ)の“カキツバタ”が咲いた…と、Fさんから電話を頂いたのはGWの真っ只中。例年より10日以上も早い…未だ暫く先…と、のんびり構えてたのが、短い花の寿命が急に気になりはじめる。雷が鳴ったりで足止めの日などは焦燥にかられ続けた。以前より“一緒に登る”約束のMさんも相当気を揉んだようで、当初の予定より3日遅れとなった反動なのか“早めに出よう!”…結局、4:00am出発となった。

 

ここまでの道行きは殆ど人の入らない山道で、一人がやっと通れる危ない道が長々と続く。毎年、その状況を心配するのだが、今回は道を塞ぐ倒木や雨水で崩れた箇所をFさんが丁寧に修復されたのがよく分った。まるでkinsanのために汗を流してくれたようなもの…感謝、感謝!である。お陰さまで早朝の薄暗い時間帯に無事登ることが出来た…ちょっと息があがったものの…5:00am少し前に到着… 

 

“沼の池”に近づくと“カエル”の賑やかな鳴き声が聞こえてくる。知らない人は山中でのその鳴き声は奇異に思うだろう。
現金なもので急に足早になるのには苦笑である。ウバメガシなどの鬱蒼とした潅木林から突然目の前が広がる…おまけに一面青紫のお花畑である。“うわ~!”物静かなMさんの珍しい感嘆の声でカエルどもが鳴き止み、小鳥の囀りがよく聞こえた。 


   「カキツバタ」 杜若、燕子花  アヤメ科、多年草  県・準絶滅危惧種

“燕子花”は花の姿が飛燕の紫を思わせることからの名。

          杜若語るも旅のひとつかな      芭蕉

          朝々の葉の働きや杜若        去来 

ようやく池に遅い朝の光が届きはじめた。既に周りの木々の若葉は輝いてる。毎年、陽が登ると帰るのだが、この日は濃い靄で光も柔らかい…好い風景になる予感。