生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

白馬の山並み

2009-06-30 | 季節は今






6月も今日で終わり、カレンダーも残り6枚…このように考えると、半年とは何と短いことか…さりとて、残った6枚の中に詰ったお盆やら、秋の行楽シーズンに年末の慌しさ、それに有馬記念?などなど思い興せば、随分長い時間のように感じてしまいます。(^^ この差は一体何なのでしょう…

季節は少し進んで「夏至」の次候「菖蒲華」(しょうぶはなさく)の時節です。菖蒲は“端午の節句”子供の日になくてはならないものですが、やっかいなのは、菖蒲(サトイモ科)、花菖蒲(アヤメ科)、杜若(カキツバタ・アヤメ科)との、ややこしい見分け方でしょうか…普通、イメージするのは色とりどりのアヤメ科の“花菖蒲”で、“菖蒲”の花は地味な黄緑色の“ガマ”に似た肉穂花序を着けるのですが、余り気にとめませんね。そして何よりもその芳香が一番の特徴です。

26日、突然のニュース…マイケル ジャクソンさんの訃報には驚きでした。世界を席捲したキング オブ ポップ…リズミカルで独特のアクションを見たときの興奮は多くの方が忘れることが出来なくなる瞬間でした。それは、音楽界に革命を起こしたビートルズをはじめとするブリティッシュロックが世に出たときの衝撃波と同じで、強烈で洗練されたミュージシャンとの、まさに“目から鱗”の出会いでした。しかし、整形をはじめ数多くの裁判沙汰やスキャンダラスなゴシップを聞くたび、彼のプライベート部分に馴染めなくなったのも事実です。いずれにしましても、あのムーンウォークを再び見ることの無いまま、稀代のスーパースターが去ってしまいました。ご冥福をお祈り致します。




高原の南側に位置する白馬(しらま)山系を照らし出す朝日の角度は、今時期が最適と思われます。湿気を飛ばす適当な風が吹くと、山の起伏まで鮮明に醸し出し、新たな細部の発見に嬉しくなります。
富士山や伯耆大山のようないわゆる名山こそありませんが、常に変化する大空とあいまってそれなりに泰然と座す南国の山並みには、来るたび新鮮な風景として身体の中まで洗われる気分となります。

そして海外のニュースからもうひとつ…マイセン陶磁器でお馴染みのドイツ、ドレスデンのエルベ川流域の世界遺産指定を解除されたとのニュースもありました。旧来からエルベ川に架かる橋が手狭になりひどい交通渋滞に悩まされていたとのことで、住民投票の結果新しい橋を架ける決定をし工事着工となりました。以前より景観保全を訴えていた、ユネスコからの解除警告を無視し、市民は世界遺産より利便性を選択した結果の顛末です。世界遺産・熊野古道のお膝元の住人としては無関心ではおられない話です。

そのようなことで…白馬(しらま)山系を挟んで位置する有田川町、日高川町は風力発電の有力エリアとのことで、現在の何倍もの巨大プロペラを建設予定なのだそうで、風の通る山の稜線にズラリと建てる計画といいます。今日掲載の白馬の山並みにそのプロペラが舞う?…まさかそこまで?…何の情報もないまま、景観を楽しむだけの部外者は両町の裁量に委ねる他ありません。国もクリーンエネルギー推進策、太陽光、風力発電を打ち出してます。悪くない政策とは思うのですが、全国的には名は知られていないが、地域にとっての大切な県立公園、名勝史跡などでの景観保全のための要項はどうなってるのでしょうか?今ひとつはっきりしません。エコロジー、クリーンエネルギーの美名のもとでの“ナンでもアリ”だけは、許されることではないのですが…



        
          「カキラン」 柿蘭  ラン科、多年草。 別称 スズラン

硯水湿地で“ショウジョウバカマ”に次いで咲く主要な花です。花の柿色からの名前ですが、1cmそこそこで触れると壊れそうな可愛い姿を、これから暫らくの間楽しめます。別称の“スズラン”は北海道で有名なユリ科ではなく、独自の呼び名です。






        
         「テリハノイバラ」 照葉野茨  バラ科、蔓性落葉小低木。

葉のクチクラ層が光沢を出します。日本の代表的なバラの原種で、まとまって咲く“ノイバラ”と違い比較的大きな花をひとつづつ咲かせます。ヨーロッパに渡り、バラ庭園に欠かせない“ツルバラ”に品種改良されたことでも知られてます。


  
     「クモキリソウ」 雲切草、蜘蛛切草、蜘蛛散草  ラン科、多年草。

今回もFさんにこの場所を教えて頂きました。広い生石高原でこの小さく地味な“雲切草”を見つけるには相当の集中力が必要です。ほんとうにありがとうございました。お蔭さまで今年もこの地味な“ラン”と対面できました。

     http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20080701 (昨年のクモキリソウ)



      「ニガイチゴ」 苦苺  バラ科、落葉小低木。 別称 ゴガツイチゴ

今年は果実の付き具合は少ないように思われます。小鳥たちに食べられたのでしょうか?“モミジイチゴ”に次ぐ高原のご馳走ですが、少し苦味があります。旬のものを食べると寿命が延びると云われますから、散策に来られたら“少~し、ご賞味を…”


              ― 7月に咲く生石高原の草木 ―

      初旬 
         カキラン・ニガイチゴ(果実)・ササユリ・イチヤクソウ・テリハノイバラ

         オカトラノオ・ウツボグサ・オオバギボウシ・モウセンゴケ

      中旬
         コマツナギ・キヨズミギボウシ・コバギボウシ・ネジバナ?

         クルマバナ・ミソハギ

      下旬
         コオニユリ・カワラナデシコ・ヒオウギ・オオナンバンギセル

         キキョウ・オトギリソウ・シシウド

                       多少の誤差はお許し願います。
  

夏至に姫百合

2009-06-23 | 季節は今






21日は…陽ねつ至極し 又 日のながきのいたるをもってなり…の夏至(げし)でした。七十二候では、その初候「乃東枯」(なくくさかるる)…冬至のころ芽を出し、夏至のころ枯れる草をいいます。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20080715 (乃東=夏枯草=ウツボグサ)

夏至21日の気象予報では“雨のち曇り”と云うので、前日20日に生石山頂に向かいます。結果、ご覧のような曇天の夜明けで、喜ぶべきか悲しむべきか、辛うじて太陽が覗きます。北東方向いっぱいからの日の出はちょうど高野山の山並みからのものとなります。これから真東の秋分(中央、右方向)に向かう移動の始まりです。

期せずして先週、比叡山延暦寺と高野山金剛峰寺双方の座主が1200年間ではじめてという会談が高野山で行なわれとのことです。長い間、比叡山と高野山は絶縁状態にあったのだそうで、開祖の最澄さん、空海さんは共に遣唐使の舟で中国に渡った間柄なのに、1200年に及ぶ空前の確執があったようです。坊さんの恨みは恐い…?(^^




この日は南西の風が雲を運んできます。時折青空が見えたりもする変化に富んだ情景を見せてくれます。霧雨が通り過ぎれば向こうの山並みで陽の光のスクリーンになったり、SF映画に出てくるような不気味な空模様になったり、一瞬虹が出たりで結構楽しめたのですが、通り雨が気になります。雨量は大したことはないのですが、入梅後10日ぶりの雨に高原の草木は生き生き、こちらはトホホ…です。通り雨もAm7:30頃にはなくなり、このところの蒸し暑い曇天になります。


        
          「ヒメユリ」 姫百合  ユリ科、多年草。 絶滅危惧種

生石にお住まいのTo子さんと、「ヒメユリ咲くのは20日位かなァ~」の開花予想でしたが、見事ピッタリ!…3株の花が開きました。濃いオレンジに黒い斑点をあしらい、杯状の花は上向きに咲きます。イエローに近いオレンジもありますが、名前のイメージからくるものとは程遠い派手な色合いです。

全国的にも絶滅に瀕した種で、この季節が来る度に…生石高原に残っていてくれて良かった~…とともに、保護活動にご尽力された方々に感謝、感謝となります。開発、乱採取が危機的状況の原因ですが、万葉にも詠まれ古来より親しまれた“ヒメユリ”…

そこで…大伴坂上郎女(おおともの さかうえの いらつめ)さんの歌を一首(^^

    夏の野の 繁みに咲ける姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ     

茂みにひっそりと咲いてる姫百合のように、相手に分って貰えない恋は苦しいものです…

   
        




      「ノイバラ」 野茨  バラ科、蔓性落葉低木。


        
          「オカタツナミソウ」 丘立浪草  シソ科、多年草。

先日(10日)ご紹介の“ホナガタツナミソウ”とはひとつひとつの花形は同じですが花の着き方が異なります。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090610 (ホナガタツナミソウ)

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20080510 (タツナミソウ)



    「イボタノキ」 疣取木  モクセイ科、落葉低木。 別称 水蝋の木

高原の白い花群の中では開くのは遅い方で、“ギンモクセイ”の芳香を漂わせます。それにしても面白い名前の木で、その由来はこの木に寄生する貝殻虫の仲間“イボタロウムシ”からのものです。その虫が分泌する“イボタ蝋”を採取して生糸、家具の艶出し、日本刀の手入れや障子などの滑りをよくするのに用いられました。昔はより身近で有用な木だったのでしょうね、親しみを込めた名前のようにも思えます。


              ― 生石高原・山野草観察会のご案内 ―

    ・7月5日(日)  山野草観察会を行ないます。奮ってご参加下さい。
               主な草花は“ササユリ”“カキラン”“コキンバイザサ”等々です。

    ・集合場所    山の家 おいし   ℡(073)489-3586  
 
    ・時  間     Am10:00

    ・お申し込み   当日“山の家おいし”にてお申し出下さい。

    ・主  催     NPO法人 生石山の大草原保存会
               担当は田中さんです。小雨でもとり行ないます。

白い花高原

2009-06-19 | 季節は今






東の山並みには小規模な雲海が懸かってます。北東方向へ行ってしまった日の光が差し込むまで、暫らくの時間が必要です。それに風が無いなので、水蒸気の塊は動いてるようにも、固まったようにも見えます。雨が降らないので、この下にある二川ダム(有田川)の水位が極端に下がってるようです。来週から梅雨らしい雨続きの気象予報となってますが、どうなることやら…
湿度、気温とも高く“ブヨ”(蚋)が顔のまわりを離れず、払っても払ってもしつっこく纏い付きます。眉毛の上を刺され、大きく腫れたタンコブが…もともとガタガタの顔にボコボコの追加です。トホホ…(´`;







    「ガマズミ」 莢迷  スイカズラ科、落葉低木。 別称 ヨソゾメ・ヨツズミ

ススキ草原を抜けた生石山頂までには、白い花街道が続きます。また、山頂の東側に下り元のススキ草原に至るまでの散策道も見事な白色の回廊となってます。ウグイスは真近で、ホトトギス、カッコウは何処かから…スイカズラの芳香も漂い、足もとの緑の葉は朝露で輝き、暫らくの間は何もかも忘れてユートピアに迷い込んだ思いとなります。そこに乱舞するのは、ガマズミ、ウツギ、ノイバラ、イボタノキの面々で、色を添えるのはモミジイチゴの熟れた果実です。


        
          「エゴノキ」 斉ご果  エゴノキ科、落葉高木。

実には有毒なサポニンを含み、口に入れると“エグイ”ことからの名称と言われます。別称にチシャノキ(萵苣の木)、ロクロキ(轆轤木)、ヤマヂサ(山苣)などがあります。“斉ご果”の“ご”は“土”辺に“敦”の字です。(´`
サポニンを含有ししてるので昔は石鹸、シャンプーとして利用され、木は各種器の材料にもなったので“轆轤木”とも呼ばれます。また、“ひこばえ”が良く出て太く成長することから、多産、長寿に例えた名前の地域もあるそうです。花は清楚な白色で、その満開の木にミツバチが、それも“大量”と思われる羽音が絶えることなく響きます。




   「ウツギ」 空木  ユキノシタ科、落葉低木。 別称 ウノハナ(卯の花)



        
「ツルアジサイ」蔓紫陽花 ユキノシタ科、蔓性落葉木本。 別称 ゴトウヅル・ツルデマリ

生石(しょうせき)神社、御神体の巨岩に這い登ろうとしてます。花はガクアジサイと同様、花序の外側には4枚でできた白色の萼片(装飾花)を着け、中央の両性花は少しクリームがかってます。それが返って野性味を増し、濃い緑の鱗のように密生した葉は岩肌を覆い隠します。10~20mにもなると言いますから、どこまで御神体を登るのでしょう?



柿の葉草咲く

2009-06-16 | 季節は今






この日の生石高原は、入梅して間もないと言うのに“梅雨明け”…と思う程の抜けるような青空の夜明けです。でも、この青空も長続きしないようで、西から薄雲が急速に広がってきます。久し振りの美しい日の出と、それが紙一重の幸運であったことにご満悦です。ちなみに今日の和歌山の日の出はAm4:47、この時刻は“夏至”(6月21日)まで続きます。

季節も少し進んで「芒種」の末候「梅子黄」(うめのみきばむ)梅の実に赤味が帯び収穫の時節です。全国一を誇る紀州梅の摘み取り作業は既にはじまってます。そして1~2週遅れて咲く山村の梅の収穫も今たけなわの筈です。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090303 (山村の梅花)
      
中でも南部高校で品種改良された果肉の厚い、南高梅(なんこううめ)で知られるみなべ町や田辺市の梅農家は大忙しで、ほどなく“白干し”(天日干し)の梅の甘酸っぱい香りが町に漂います。






         
          「カキノハグサ」 柿の葉草  ヒメハギ科、多年草。

“柿の葉草”…今年も咲いてくれました。(^^ 葉が“柿の葉”に似ていることからの名称ですが、そんなにそっくりとは思われません。(´` 背丈は2~30cmで茎上に総状のイエローからオレンジまでのグラデーションの美しい花序を付けます。むしろこの色彩が“柿”に似ているから…の方が納得!なのですが…(^^ 花を良く見るとマメ科の花を思わせ、東海から関西に生育する…とありますが、多くの県で絶滅危惧種、もしくは保護上重要な植物に指定されてます。また、あの小さな“ヒメハギ”とは仲間ですが、余りにも懸け離れているので「へェ~ッ!」…と、なります。(^^

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090515 (ヒメハギ)

“柿の葉草”の生育する潅木林は、今後とも大切に見守りたい高原の一画です。花の寿命はさほど永くはないようで、日当たりの良い場所にあるものは花の終焉を表わす濃いオレンジ色になったものも何株かありました。







      「ナワシロイチゴ」 苗代苺  バラ科、蔓性落葉小低木。

8月頃に美味しそうな実になりますが、水っぽくて余り美味くありません。花は閉じたようなままで果実に変身します。


         
          「モミジイチゴ」 紅葉苺  バラ科、落葉低木。 別称 黄苺

高原で一番美味しいイチゴです。(^^ もうすぐ上向きに熟れる“ニガイチゴ”と共に痛い棘があるのが難点?です。


  
    「ヤブヘビイチゴ」 藪蛇苺     「ヘビイチゴ」 蛇苺 バラ科、多年草。

ケバケバしい色ですが有毒ではありません。まずいイチゴで「こんなものヘビにでも食わせとけ~ッ!」からの名ですが、薄暗くて湿った、如何にもヘビが出そうなところにあります。“ヤブヘビイチゴ”はボリュームがあってイケそうなので口に入れましたが、喉を通りません。(´`; これでわかった!「これを呑み込めるのは、ヘビだけヤ~ッ…」



      「ホタルブクロ」 蛍袋  キキョウ科、多年草。

麓では早くから咲いてましたが、ようやく高原に上ってきました。カワラナデシコとともに生石高原の定番として無くてはならない野草です。関西では白色が主流ですが、関東では赤紫色が多いのだそうです。

梅雨入り!

2009-06-10 | 季節は今






芒(のぎ)ある穀るい 稼動するときなればなり…の「芒種」(ぼうしゅ)の次候「腐草為蛍」(ふそうほたるとなる)…中国の“礼記”に腐った草が蛍になる時節と記述されてるそうです。
そして清流にホタル…の時季ですが、以前、山村に住む知人が村を流れる川のホタルが激減したと嘆いてました。たくさん飛んでいた頃はその川の上流に養魚場があって、その閉鎖に伴う排水の停止と同時にホタルが少なくなったと解説します。ホタルの幼虫の餌となる“カワニナ”のまた餌となる藻類?などはある程度の富栄養の水が必要なのでしょう。

そこで… 白河の 清きに魚も住みかねて もとの濁りの 田沼恋ひしき …(^^

まァ、“清濁あわせ持つ”は何れの世界、人にも必要なのでしょうが、程度・バランスの問題でしょうか。“清”の中の“清”では息が詰まるし、“濁”の中の“清”は余り相手にしたくないし…魅力的なチョイ悪になるには相応の修行を積まねば…ねェ。(^^



  
    「コキンバイザサ」小金梅笹 ヒガンバナ科、多年草。 県・絶滅危惧種

5月末から咲き出しましたが、今時期は午前10時頃から花が開きはじめ昼過ぎには閉じてしまうものが多いようです。だからと言って日によっては10時頃には必ず…でもなく。一体何が気に入らなくてそうなるのか全く解りません。
この日も“まるチャン”からの情報の場所を随分探し廻りましたが、充分花を開く時間帯にも関わらず見つける事が出来ません。その場を諦めて別の場所での休憩時にふと目をやったところ「あったァ~!」と言った次第。昨年同様、咲き始めの“コキンバイザサ”に今年も振り回されそう…(´`




    「サルトリイバラ」 猿捕茨  ユリ科、蔓性落葉低木。 雌雄別株

少し前に花を咲かせたと思ってたのに、もうライトグリーンの綺麗な実を着けてます。この実が真っ赤になる頃には咲き誇った花々もなくなり、色彩では一人勝ちです。

    http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090519 (猿捕茨の花)

    http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20081223 (猿捕茨の赤い実)




    「タンナサワフタギ」 耽羅沢蓋木  ハイノキ科、落葉低木。



  

生石山系の黒沢山蛇紋岩植生、沼の池(ぬうのいけ)の植物群落は、和歌山県が指定する保全上重要とされる植物群域です。もちろん生石高原、生石神社周辺の森もそのような区域に指定され、いずれも稀少種をはじめ他では見られない多くの草木が生育します。一昔前には柿の木に“フウラン”などが自然に活着するような山野草の宝庫だったと云われてます。

この日もその黒沢山の隅々まで知り尽くしたFさんご夫妻に、全く新しいルートをご案内頂きました。聞けば昨日、大峯山系の釈迦ヶ岳(1800m)にご夫婦で登ってこられたと言う。随分お疲れの筈なのですが、そのような素振りは一切なさらず何時もの笑顔で接して下さるので、そのまま甘えてしまいます。(´`
この道をしっかり憶えれば先日掲載のカキツバタの沼の池まで何とか行けそうですが、この日は暑かった~ッ!


        
        「ホナガタツナミソウ」 穂長立浪草  シソ科、多年草。

福島県以南に分布する草本で、絶滅危惧種に指定の県もあるようです。余り陽の差さない林下の足元にたくさん見られ、小さいのですがフォトジェニックな花です。 



  
     「ツルアリドオシ」 蔓蟻通し  アカネ科、蔓性多年草。

赤い実を付ける縁起物の“万両・千両・百両・十両・一両”と呼ばれる内の“一両”ですが、未だ赤い液果になってません。百両は“カラタチバナ”、十両は“ヤブコウジ”で生石山系には〆めて百十一両が“有り通し”です。(^^ “アリドオシ”には“蟻をも通す”と言われる棘がありますが、“ツルアリドオシ”にはありません。仄かなピンクを着けた花は二つ並んでますが、実はひとつだけです。




     「ヒイラギ」 柊  モクセイ科、常緑樹

葉のトゲにふれるヒリヒリ感を古語では、ヒヒラ疼く、ヒイらぐ、と表現したことからの名称のようです。古くから邪鬼の侵入を防ぐといわれ、節分には鰯の頭とともに大活躍?します。また、鬼門除けの迷信から南西(裏鬼門)に“ナンテン”北東方向の鬼門には“ヒイラギ”を植えましたが、地域によって植える木も種々あるようです。花(花期・晩秋~初冬)には芳香があり、果実はご覧のようにうんと小さくしたようなマンゴー形で、パパイヤのように成ってます。(^^
このヒイラギをはじめ、ツゲ、ガンピ、ソヨゴ、ウマべガシ等々の中にササユリが生石高原より一足早く大きな蕾を着けてます。