生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

かきつばた [Ⅱ]

2012-05-15 | 季節は今

      

 われのみやかく恋すらむ杜若丹づらふ妹は如何にかあらむ    詠み人知らず 

池の西側のカキツバタから輝きはじめる。紫から青、緑のグラデーションが美しい。
いずれ菖蒲か杜若…甲乙付け難いほど美しい…の意だが、美しいものをより美しく撮るなんてのは至難の業である。まだまだ未熟である! 

 

今日の陽射しは柔らかい…5月の強い太陽光に毎回ギブアップだったが、2時間以上の残業である。池の水は少なく水深のある離れた場所には“ジュンサイ”が見える。一雨欲しい…
陽の温もりが感じる頃、トンボが飛びはじめた。ホバーリングしたり縄張りを争ったり…シャッタースピードを上げて近くに来るのを待つ…が、先ほどまで目の前をと飛んでたのが傍へ来なくなった。どうも、見透かされてるようだ。 

  沼水にしげる眞菰のわかれぬを咲き隔てたるかきつばたかな     西行

季節は進んで「立夏」の末候「竹筍生」(ちくじゅんしょうず)タケノコが生えてくる時節だが、和歌山では旬(しゅん)は過ぎた。俳句の季語では、この時期の竹を“竹の秋” と表す。栄養分を我が子に与えるため親竹に精彩がなくなるからだそうだ。

やはり木陰に入るとほっとする。爽やかな陽気とは云え、動くと暑くなる。幸い薮蚊などの嫌な虫はいない。が、時期的にはヘビやらムカデなどにも注意しなければならない。晴れた日でもゴム長靴が離せなくなる。 

 

この日の“カキツバタ”たちからは離れ難く、既に4時間近くになる。これほどまで長居をしたことはない。…陽射しも強くなったきた。森の宝石“沼の池”に感謝しつつ山を降ることに…後は道中の草花が楽しみだ。