生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

梅雨入りの朝

2011-05-30 | 季節は今

 


          「センダン」 栴檀  センダン科、落葉高木

五月晴れの爽やかな日が何日あったのヤロか…このまま暑い真夏になってしまうのでは?…そんな思いを馳せた5月に、いきなり“梅雨入り”…それも台風のオマケまで付いて…
涼しげな“センダン”の花の下で明るい木漏れ日を楽しむことも適わない雨続きです。

入梅となった日の朝はその前ぶれと云うか、南西方向から雲が流れ来て綺麗に染まります。西空には梅雨のはしりのような厚そうで広い雲がこちらを覗ってます。にも関わらず片男波海岸は釣り人にジョギング、ワンちゃんとお散歩の人などなど…日の出前から“おはよう!”…声が飛び交います。
 

              

 


           「ハマエンドウ」 浜豌豆  マメ科、多年草

近くの草叢からは“ヒバリ”が“少し休憩すれば…”と、思うほど鳴き続けます。“スズメ”の子たちが飛ぶ練習中…“もっと気合を入れろ!”と、親鳥の荒げた声…

         
        「ハマヒルガオ」 浜昼顔  ヒルガオ科、蔓性多年草 


高原燃ゆ

2011-05-24 | 季節は今

 

東の山並みに濃い朝もやが掛かり赤く大きな太陽が顔を出します。大峯山系から左寄り、高野山の右からの日の出は、昇るにつれ生石高原の草木に輝きを与え、人には今日一日のはじまりのセレモニーとなります。
この日のお目当ては山頂付近の“ミヤコツツジ”です。ミヤコツツジはヤマツツジとモチツツジの交配雑種と云われますが、朝日に照らされツツジたちは真赤な炎になって、来る人にそのオーラで“元気印”のお裾分けです。

 

街中で見かけるツツジ同様、花は珍しくもないのですが、360°の雄大な背景とのコラボは生石高原ならではの絵になる情景です。特に早朝の陽の光で赤が一層強調され、コントラストの強い視界は野生的でワイルドな印象を身体に刻みます。 

 

この時とばかりに山並みや町並を睥睨し、その存在を誇示します。が、それも束の間の主役の座で、いつの間にか周りと山並の緑に取り込まれてしまいます。
この日は生石にお住まいのTo子ちゃんと山頂で合流…突然、カッコウが廻りを移動しては木のてっぺんで鳴き出します。今年はじめての「カッコウ~♪」とか…

高原のミヤコツツジの緑を待たずして季節は“万物盈満すれば 草木枝葉しげる”の「小満」の初候「蚕起食桑」(かいこおこってくわをくらう)蚕が音を立てて桑の葉を食べる時節です。
東北の震災被災地の映像にはツツジが綺麗に映ってます。870mの高原の季候は東北地方と同じようなものでしょうか。それに枯れ芒の間からはその若葉も芽吹きはじめ、穂の出る9月まで日毎大きく成長です。被災地も高原も初秋の頃には…? 

              

 


   「ホソバシロスミレ」 細葉白菫  スミレ科、多年草  県・絶滅危惧種

今年もこの稀少種のスミレを見ることが出来ました。まるチャンからも探し当てた場所を知らせてくれました。労せずにこのスミレを見ることが出来るのは生石高原以外に無い…と、言う方もおられます。

山焼きがなかったので見付けるのに時間がかかりますが、嬉しいことに増えてるように思われます(^^ 山焼きの時期を、草花が芽を出そうとする3月ではなくもう少し早めにした方が… 

        

 

        
            「アマドコロ」 甘野老  ユリ科、多年草

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20080513  (詳しく)

        
           「ホウチャクソウ」 宝鐸草  ユリ科、多年草

 

        
           「タニギキョウ」
 谷桔梗  キキョウ科、多年草


Kinran

2011-05-23 | 季節は今

      
            「キンラン」 金蘭  ラン科、多年草  絶滅危惧種

“キンラン”の花情報を貰ってから大幅に遅れた6日後、半ば諦め気分で行きましたが“咲いてる、咲いてる!”…上品な黄色い花は終焉近いものもありますが、美形のまま愛でることができました(^^
残念なのは去年近くにあった“ギンラン”の姿が見えなくなったことです。その代わり“キンラン”の株が増えたように思われます。
和製蘭の金、銀蘭は“ラン菌根”(腐生菌)から栄養を貰ってると云われます。ですから人の手での移植、繁殖は不可能に近いものがあります。そっと見守ってる積もりでも来年はどうなるか…神のみぞ知る…とても繊細な植物で人間の息を当てることさえ有害…?と、考えてしまいます(^^

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20100521 (昨年の金、銀蘭)

          

 

              
       「ヒメシャガ」
 姫射干  アヤメ科、多年草  県・絶滅危惧種


森の宝石

2011-05-17 | 季節は今

     

 

Fさんに黒沢山“沼の池”の様子をお伺いしたところ 、わざわざ見に登って下さり連絡を頂きました。今年は全般的に遅れ気味なので“カキツバタ”も未だ余裕…と、タカを括っていたのですが、“もう咲き終わったのもある”とのことで、慌てて黒沢山に登ります。結局、今までと同じ日に行くことになります。―下手な考え休むに似たり―

               
    「カキツバタ」 杜若、燕子花  アヤメ科、多年草  県・準絶滅危惧種
 

花は昨年よりはるかに多く咲いてます。欝蒼とした自然林の中にあって、ここだけが空も見える明るい場所です。そのうえカキツバタの透明感のあるブルーのマッスはまさしく森のなかの宝石です。
あまり人の通ることのない山道は荒れ、倒れた竹を這ってくぐり、倒木を乗り越えること数度。杉林の急斜面に出来た人ひとりが辛うじて通れる踏み固めたようなガレ場の道には掴む木も無い…それらをどうにか通過して潅木林の落ち葉を踏む登りコースに出ればあと少しでゴール…
そしてありきたりですが、いきなり目に飛び込む“カキツバタ満開”の風景に息を呑みます。道中は少々しんどいのですが、一瞬で“そんなことあったン?”のいつもの現金な状態です(^^

        

先日の雨で池の水量が増えてます。いつもは水辺を移動して池を一回りするのですが、今日は潅木林を登ったり降りたり…木の枝を払ったり潜ったりの移動…結構疲れます(´`; 
花の向うの水面には“ジュンサイ”の若葉も浮かんでます。カエルや小鳥の絶え間ない鳴き声は返って静寂を呼びます。トンボが飛んだり止まったり、アメンボもスイスイ…日本の里山の自然の完全な原風景に触れる場所です。これは大事にしなければ…来た人全てがそう思う筈です。

        

 

陽が届くのは日の出時刻から相当時間が経ってから…極端なコントラストの池面になります。太陽光でカキツバタの花色も早朝に比べ濃いブルーに変化します。

「立夏」も末候「竹筍生」(ちくじゅんしょうず)タケノコが出る時節ですが、紀州ではもうタケノコが初物のシーズンは過ぎました。そのかわり難を逃れたタケノコと言うより皮を被った背丈以上の若竹が目に着きます。 

 

        
           「シライトソウ」 白糸草  ユリ科、多年草

 


      「ツクバネウツギ」 衝羽根空木  スイカズラ科、落葉低木  

“沼の池”までにはこの季節の定番の草花があります。しかし、カキツバタに次いで楽しみにしていた“ギンラン” は見当たらず、毎年株が立派になってゆく“エビネ”は何者かに花芽を食われてます。盗掘されると腹立たしく思うのですが、自然の生業なので諦めも早いものとなります。

   http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20100518 (昨年のカキツバタ)

        
          「ホタルカズラ」 蛍葛  ムラサキ科、多年草  


古武士

2011-05-16 | 季節は今

     
       「クマガイソウ」 熊谷草  ラン科、多年草  絶滅危惧種

        

毎年GWの期間中たくさんの花を着けていたクマガイソウが、一週間ほど開花が遅れた上、花数も僅か…
また、この野生ランは根が地中を這って繁殖するのですが、長い間繁茂していた箇所は見当たらず新たな新天地?に少しづつ移動してるようです。で、その激減はショックで、先行きがとても心配です。何とか持ち応えて欲しい!神頼みです。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20080506 (熊谷草詳しく)

        
          「ラショウモンカズラ」 羅生門葛  シソ科、多年草

これは熊谷草と違って繁殖力おう盛です。近くでは独特のよい?薫りが漂ってます。

  http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20100511 (昨年の羅生門葛)