生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

昼夜とうぶん

2008-03-25 | 季節は今
         




  
  春分、次候「桜始開」(さくらはじめてひらく)。日本では立春が春の始まりとなってますが、欧米では「春分」です。木々の細い枝先にも芽となる膨らみが分ります。

桜の開花予測が報じられる時期になり、いよいよ春本番。南紀、古座町の重畳山(かさねやま)の山桜満開が報じられてから県内の桜前線は猛スピードで北上します。この時期になると、何となくそわそわと落ち着かなくなるのは、日本人の特性かも知れません。

日の出時刻はとうとう午前6時を切り、5時台となりました。この時間帯の山中の大きな池では、水と春風の温度差は相当あるようで、水蒸気が湖面を漂ってます。来る途中、翡翠(かわせみ)が飛び立ち、足元では菫(すみれ)をこの春初めて見ることが出来ました。



         
          「タチツボスミレ」立坪菫 スミレ科、多年草。




  「ツクシ」土筆 トクサ科、多年草(シダ植物)。

スギナ(杉菜)の胞子茎で春には無くてはならないお馴染みの植物です。この食感が良いとのことで、好きな人は、茎の鞘(はかま)を時間をかけてむしむしと取り除き食材にします。それが面倒に思う人は、永久に土筆を食べることは出来ない・・・と言ってました。

早春の象徴的な土筆には地域によって色んな呼び名があります。高橋順子さん著の「花の名前」から紹介しますと「御坊主」「狐蝋燭」「狐筆」「地獄の底の鉤吊し」「蛇枕」「弱法師」といかに人々に親しまれたかが窺えます。



   
    「ヒメオドリコソウ」姫踊り子草 シソ科、2年草。ヨーロッパ原産帰化植物。


 ありがとうございました。

3月20日より昨日24日まで和歌の浦アートキューブで開催の「生石山からこんにちは!」展に多くの方々のご来館をいただけました。余りの盛況に驚き、うろたえる間に展示会が終了してしまいました。

アートキューブでは販売などを禁じられてますが、後日という事でテーブルからログハウスに至るまで、見積もりを相談される方も大勢おられました。

生石高原の草花をほぼ網羅した写真パネルでは丹念にご覧になり、ご質問を受けたり花の話題で盛り上がったりで、皆さまに楽しんで頂けたように思いました。

和歌浦は市内のはずれで、どちらかと言えば交通の不便なところです。にも拘わらず、嬉しい展示会にして頂けたことの余韻は一同、忘れることはないでしょう。
ますます切磋琢磨してまた皆さまに楽しんで貰えるよう頑張らなければ・・・です。

早春は山里へ

2008-03-18 | 季節は今





  
   「キブシ」(木五倍子) キブシ科、落葉低木 雌雄異株。

 昨日は二十四節気・雑節の「彼岸の入り」でした。「暑さ寒さも彼岸まで」先人はまことに「言い得て妙」の言葉を残してくれました。山深い村にも彼岸になってやっと春が訪れました。海辺の地域からは2~3週遅れとなります。このところの暖かさで、梅は満開、「キブシ」もごらんの通りです。

 陽の光も、梅花にそぐわない強く明るいものですが、急斜面の山を切り開いた梅畑は光ってます。どの畑にも獣害予防の電流の流れた柵を設置し、大事に梅を育ててます。

 梅の終わる頃サクラが咲き始め、うまく行くと梅桜のツーショットが見られます。紀州路は少し足を伸ばすだけで長い間、同じ季節を楽しめます。美山村寒川地区「ペンションひろば」の山口さん「今年の冬は特に寒かった。チョッと遅れ気味かも」・・・だそうです。



         




  

 タンポポにテントウ虫、陳腐な春の画像です。ならば飛び立つ瞬間をと、構えて待ってたのですが、ポトッと落ちて見失ってしまいました。それどころか田んぼの草の上に座ってたので、ズボンの尻が・・・。不覚!



          

 生石には幾つかの別荘があります。高原に惹かれて一年の大半をそこで生活され、木工をはじめ色んな創作をされている方々が居られます。
 その方たちの接着役が草原の保全活動で、その中心人物が木工、漆の専門家であるⅠさんです。その方々の作品の展示会の声が上がったのは昨年の夏頃。

 ようやく実現の運びとなり、kinsanも3年間で集めた高原の草花のデータを片隅に展示することになりました。整理能力欠陥症のため、今までのデータを探すのに随分時間を無駄にしました。また、82種類の写真(2Lサイズ)をパネルに等間隔で丁寧に貼る作業には参りました。PCでのコピー、ペーストの有難さがヨ~クわかりました。

 和歌の浦アートキューブから生石高原がよく見えるので全会一致しました。ぜひご覧になって下さい。


  生石高原「山焼き」のお知らせ

 3月23日(日曜日)草原の山焼きが紀美野町、有田川町の主催で行われます。山への火入れは、草原としての最終形態であるススキ草原保存の一環です。当日以前の雨でも順延される場合もありますので、直近の情報を確認されると良いでしょう。

     http://www.town.kimino.wakayama.jp/kanko/

     紀美野町役場 ℡(073)489-5901

 

冷たい春風

2008-03-11 | 季節は今







 毎日1分から2分、日の出時刻が早くなってます。ちなみに8日はAm6:19です。朝日を見るには日毎、早く起きなくてはなりませんが、その美しい光景を目の当たりにすると、まさに「早起きは三文の得」を実感します。

 生石高原への紀美野町からのアクセス道は、残雪があるのは2~3箇所程度でさほどの障害もなくなりました。ようやく何時もの通い慣れた登山道行でしたが、超晴天で日の出後より「春はあけぼの」風景となりました。

 しかし、その冷たさは今まで高原で経験した中でも一、二番の厳しいもので、風が「痛く」感じました。雪も至るところに残り、その上に霜降の厳寒高原でした。

 このところ霜や雪の情景ばかりですが、それらはむろん水の固体です。水が液体であり続ける地球は、宇宙では奇蹟といわれます。お隣の金星は蒸発して水は無く、一方の火星はマイナス200℃以下の温度で水は固く氷ついてます。

 その奇蹟の地球にあっても水が無く困窮している人々が12億人もあり、それらの要因で300万人が亡くなってるそうです。

 日本は地理的には乾燥地帯に位置してるのですが、古来より水資源に恵まれた国土を有してます。しかし、先日にも触れた食料自給率100%の農業生産とするには、現在の利用されている水の20%以上必要となるのだそうです。それは場合によっては水源が枯渇寸前の状態にもなりかねないと云う調査もあるそうです。

 食料自給率の低下や水不足などの危惧を少しでも解消する第一歩は、「もったいない」の心が結論で、食品、外食産業の売れ残りの廃棄や、ご家庭の食べ残しを無くするだけで、自給率はグンと上がります。

 

  




  
   「ネコヤナギ」(猫柳) ヤナギ科、落葉低木。雌雄異株 

 硯水湿地に「ネコヤナギ」が4本自生します。「ヒメカンアオイ」に次ぐ生石高原の二番バッターです。柳は普通垂れ下がりますが、ネコヤナギはしだれることはありません。










 残雪に乗った枯れ葉はいずれも雪の中に沈んでます。2~3cmの深いものもあります。保温効果でそうなるのでしょうが、軽い落ち葉が何kgの重量になったような錯覚をします。


  
   「フクジュソウ」(福寿草) キンポウゲ科、多年草。 別称 ガンジツソウ(元日草)

 何時も立ち寄るⅠさんのお宅のシャクナゲの下で咲いてました。陽が差すとパラボラアンテナのように花が開き、太陽熱を取り込むのだそうです。アドニンという強い有毒成分があり注意が必要ですが、まさか花を食する(エディブル フラワー)ようなことは無いでしょう。

翡翠への恋物語

2008-03-08 | 季節は今
 兵庫の友人、アートディレクターでデザイナーのJUN女史からメールがあり、添付写真を見てびっくり!スタジオでは、カメラマンやスタッフにあれこれ口うるさく注文つける女史が、何を血迷ったのか2年前から翡翠(カワセミ)の撮影にハマってると言う。

 写真にはキャプションも付いていて、定期的に翡翠(かわせみ)を送くってくれるらしい。至って社交的な女史が人里離れた自然の中に飛び込みそれがライフワークとは、どのような心境の変化が起きたのか興味のあるところですが、ともかく高価な機材と忍耐力に敬意を払いながら、彼女の「翡翠」をご紹介致します。 

   




   そろそろ恋の季節なのに! 
   今年は雪が降りまくる!!! 「どうナッてんだよォ~」
   
 



   「はらへったナァ~」
   「オイラ、kingfisher ッて呼ばれてンだ!」 
   「魚のゲットは凄ェんだぜ!!」




   「んむッ!」




 
   「どうだい!チョロイもんさ!」





   「オイラ、仲間うちでは kimutaku ッてんだよ!」
   「そろそろ彼女をゲットしなきゃァな!」

   「これからオイラたちの恋の季節が始まるよッ!」


 これから翡翠たちは子孫繁栄のための行動に入るらしく、楽しみにして欲しいとのメッセージです。望遠レンズで覗かれる翡翠は気の毒ですが、JUNさんの異常?なまでの翡翠への愛着を感じます。次をお待ち申し上げます。ありがとう!

梅花ようやく・・・

2008-03-04 | 季節は今




  

 3月5日は「啓蟄」の初候「蟄虫啓戸」(ちっちゅうこをひらく)です。地中の昆虫やトカゲなどの生き物が冬眠から覚めて穴から出てくる時節とされてますが、寒い日の続く今年はいささかの異変があるようです。

 4年に一度の閏年は統計上、気象災害の際立って少ない年になるそうです。にも係わらず災害ではないのですが、寒気の影響でミツバチの活動は鈍く、飛び立たず巣の回りをうろつくだけとのことです。

 ようやく満開近くなった梅花は、ミツバチによる受粉がなく、梅農家の「心配ごと」になってるようです。梅園のある農家の友人から「梅がよく咲いた」との知らせ受けて行ったのですが、そう云えばミツバチを一匹も見かけません。



         





 「蟄虫啓戸」(ちっちゅこをひらく)に対して「秋分」(9月23日)の次候に「蟄虫坏戸」(ちっちゅこをはいす)があります。虫たちがそろそろ穴に潜る、今とは逆の時節をいいます。

 この約半年後は、現在マスコミで連日報道されている問題はどうなってるのでしょうか。中でも中国産「冷凍ぎょうざ」はうやむやの内、忘れ去られてはいないでしょうか。



  





 「極限の民族」という本のなかに、地球上の民族ですぐ「謝罪」するのは「パプアニューギニア」と「イヌイット」の人々と「日本人」だ、と正反対のベドウィンとの体験記事が書かれてます。すぐ謝るのは他民族に征服されたことのない国の人々とあります。

 侵略と報復を繰り返してきたヨーロッパやアラブをはじめとする大陸の民族は、安易に謝ることは「降伏」にも繋がり、降伏すると征服者から何をされるか分らないと云う、怖さをメモリーしたDNAを持ってるのだそうです。ですから例え非があっても、彼らは簡単に謝ることは決してないのそうです。

 ですから「冷凍ぎょうざ」問題では中国はとても非を認めるとは思われません。ましてオリンピックで国家の威信をかけている時期で、負い目意識のある日本政府が得意とする「落としどころ」でシャンシャンとなるような気がします。

 中国の高官が口角泡を飛ばして自らの正当性を主張すればするほど「この人、分かってないなァ」です。先ず「買う買わない」の選択肢は買う側にあると云う決定的なことをお忘れのようで、またすぐ謝る民族性はその社会の人間関係の「潤滑油」になっていることを少しお勉強なさって、来日されたほうがよろしかったのでは、と思います。

 日本は食料自給率40%と言われてますが、この数字だって個人では調べようもなく鵜呑みにするしかありませんが、この件も救いがたい自給率の低さが根幹にあります。

 今回の事件で否と言うほど「他国依存の食の不安全」を思い知らされたのですが、さて虫が穴に入る頃、果たして為政者たちは「食の国家百年の計」を示して呉れてるのでしょうか。農薬で「虫の息」になるのはご免です。



  



  

 この日も山間部では霜で真っ白のとても冷たい朝でした。畦道の日頃気にも留めない「ホトケノザ」や「ナズナ」(ペンペン草)のお化粧姿に目を見張りました。



        「ヒメカンアオイ」(姫寒葵) ウマノスズクサ科、常緑多年草。

 生石山大好き人「まるチャン」が先日風の強い日に登り、木の葉に隠れているのを探し当て、メールで送ってくれました。生石高原のトップバッターの花は地味な「姫寒葵」でした。

 日陰の水分の多い山地に自生する、小型のカンアオイです。生石神社の森に多く、天然記念物の「ギフチョウ」の食草ですが、ギフチョウを未だここで見たことがありません。「まるチャン」ありがとうございました。