生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

芒の中の蔓竜胆

2008-10-14 | 季節は今





        

二十四節気、寒露(かんろ)の次候「菊花開」(きっかひらく)の時節です。旧暦9月は“菊月”とも呼ばれ、9月9日の重陽(ちょうよう)の節句(菊の節句)には菊酒を頂き延寿を願ったと伝えられてます。早春に咲く梅を兄に例え“花の兄”、菊は遅い季節に咲くということで“弟草”、また10日以降の菊花を“残菊”と呼ばれたそうです。ホント、日本の文化を子供たちに正しく伝承したいものですねェ。

この日の日の出はAm6:00夏至の頃の4:47からは1時間以上遅くなってます。そして生石高原山頂は以外や以外、寒くも暑くも無い快適な夜明けでした。風もないのにちぎれ雲が現れ、それが日の出前の太陽光に染まるさまは、雄大な雲のモザイク模様でした。そして草原では“リンドウ”“ムラサキセンブリ”“リュウノウギク”がちらほらと咲き始め、晩秋の高原のオールスター・オン・ステージが始まろうとしています。





    「ツルリンドウ」 蔓竜胆  リンドウ科、多年草。

ススキの根元や草木に絡み付いて、楚々と咲いてますが、他の草木に巻きつかず這ってる方が多いように思われます。ツル性なのに巻きつくのはイマイチ上手くないようです。

淡い紫色のこの花を目にすれば何度でもカメラに収めたくなります。小さいながら存在感のある「蔓竜胆」です。間もなく真っ赤で光沢のある実(液果)を付けます。

    http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20071204 (ツルリンドウの液実)



        





    「キセルアザミ」 煙管薊  キク科、多年草。

硯水湿地に生育します。大きい葉は地表近くにあり、茎にも小さいのが付いてますが無いに等しいほどです。一般的には花はキセルのように横もしくは下向きになってるのですが、湿地では蕾の間だけで開花して暫くで上向きになってしまいます。名前の由来ともなった状態の花にはなかなか出会えません。



        
     「アキノキリンソウ」 秋の麒麟草 キク科、多年草。 別称 アワダチソウ

動物園で人気者の首のなが~いキリンさんと関係でも…と思ってましたが、単にベンケイソウ科の“キリンソウ”に例えた名前でした。でも、よ~く眺めていると何となくキリンさんの模様に似てるような、似ていないような…?空き地などに繁茂する“セイタカアワダチソウ”とは同属ですが、こちらは風邪による頭痛や喉の腫れなどに効くとされる薬草です。

ススキの高原で一際目立つ存在ですが、派手な黄色なのに品良く映り、いち早く高原の晩秋の訪れをも知らせてくれます。高原では春の“ミツバツチグリ”夏から秋の“オトギリソウ”に“オミナエシ”、そしてこの“アキノキリンソウ”がその季節に咲く“黄花”の代表花です。



        
         「ナギナタコウジュ」 薙刀香需  シソ科、一年草。

野原などでよく見られる野草です。花が一方向に咲き、その形を薙刀に見立てたことに加え、シソ科特有の香りが中国の“香需”(解熱薬)という薬草に似ることから“薙刀・香需”の組み合わせの名となりました。



      秋の山野草観察会のお知らせ

  日 時 … 10月19日(日曜日)Pm1:00~
  集 合 … 山の家おいし ℡(073)489‐3586 Open/Am10:00~
  受 付 … 参加費は無料です。当日“山の家おいし”にて受け付け。
  天 候 … 小雨決行。状況に応じて上記“山の家おいし”へお問い合わせ下さい。
  主 催 … NPO法人・生石山の大草原保存会
          高原を知り尽くしたボランティアの方々の案内で散策です。

芒草原は今最高に美しく、360度の景観と秋風との素晴らしいマッチングとなってます。

アキノキリンソウ・ヒメヒゴタイ・ツルリンドウ・キセルアザミ・ヨシノアザミ・ウメバチソウ・ヨメナ・イナカギク・ツリガネニンジン・ワレモコウ・シオガマギク・ナギナタコウジュ・マツムシソウ

咲き始めは…リンドウ・ムラサキセンブリ・リュウノウギク・ハバヤマボクチ・センブリ

咲き終わった筈の花たちも時折顔を見せてくれます。生石高原・大自然の最も素晴らしいこの時期、絶妙のタイミングで催される観察会に参加されては如何でしょう…