Kenの遊々気まま日記

山登り、マラソン、旅、演劇鑑賞、写真撮影など趣味の活動を中心に、気が向いた時に不定期に更新していきます。

行きは楽しい、帰りはきつい 乾徳山

2016年05月22日 | 山登り

 今週目指すのは奥秩父にある乾徳山。家からもそれほど遠くなく、山頂付近には岩場や鎖場もあって、ちょっとしたアスレチック気分が味わえる楽しそうな山。これから夏のアルプスを目指すウォーミングアップにもってこいだし、季節的に新緑も楽しめそうです。

 実は乾徳山には7~8年ほど前の冬に一度行っています。その時は仲間4人で行きましたが、鎖場や岩登りはほぼ初めての経験で、山頂にやっとこさたどり着いたけれども、帰りは足がガクガクで前に進むのも精一杯、落ちていた木で杖を作ってもらって、何とか下山したという苦い思い出のあるところです。今回は自分の成長を確かめる良い機会です。

 

 朝6時、徳和の集落から乾徳山を目指します。以前来た時は道満尾根を登って、国師が原から南側の登山口に下りてきた記憶があるので、今回はその逆ルートでまわることにします。

 しばらくは林道歩き。徳和川に沿って緩やかに登って行きます。この先には徳和渓谷というのがあるらしく、釣りの看板もいくつか出ています。イワナの渓流釣りの場所としても人気のあるところだそうです。10分ほど歩いたところに乾徳神社というのがあったので安全をお祈りしていきます。鳥居は立派ですが、敷地内は草がぼうぼうであまりお参りされていない感じです。

 さらに林道を上がっていって、20分ほどでようやく登山道です。登山道入口には大きな案内があって、これには覚えがあります。登山口には杖がたくさん置いてあって、自分と同じような苦労をした人も多いみたい?

 ここから樹林帯の急登で始まります。急ですが同じくらいの斜度が続くので、ピッチのリズムも取りやすくて案外登りやすい。朝の光に照らされた新緑が美しいです。夏のように鬱蒼とした感じもなく、陽気もさわやかで絶好の登山日和です。

 登山口からおよそ1時間で錦晶水。パイプからは勢いよく水が出ています。

 傾斜も緩んできてゴロゴロの石の転がる樹林帯を進みます。石の間は水が流れていて、このあたりが錦晶水の源かもしれません。

 明るく開けたところが国師ケ原。ここでようやく乾徳山の山頂まで見ることができます。ここから望む限りそんなに険しい山には見えないのですが…

 国師ケ原から扇平までは短いながらも急な登り。樹木も少なくなってきて、日差しが眩しい。ところどころ赤紫色のミツバツツジが鮮やかです。

 傾斜が緩んでくると、木々が途絶え草原?ススキ?の広がる扇平と呼ばれる広い平坦な台地にでます。なだらかに広がる扇平の奥には乾徳山の山頂部がちょこんと頭を出しています。山頂までだいぶ近づいてきた感じです。


 扇平のシンボルといえば月見岩。でも、前回来た時には、なぜかこの岩を見た覚えがありません。
 正面から見ると人の3~4倍の高さがあって、クライミングの技術がないと登れなさそうな岩ですが、裏に回りこんだらあっけないほど簡単に登れました。

 月見岩の上から見た富士山。霞んでいてほとんど分からないけれど、うっすらと見ることができました。

 さて、ここからが乾徳山のハイライトです。平坦な扇平を過ぎて樹林帯に入ると、ここまでからは想像がつかないような大きな岩がゴロゴロした歩きにくい登山道になります。なんだかワクワクしてきました。

 岩はさらに大きくなっていき、様々な名前の付けられた奇岩も次々と現れます。その一つが髭剃岩。巨大な岩が真っ二つに割れたようになっていて、ちょうど人が一人通れるくらいの隙間になっています。中ですれ違いができないそうなので、前の人が出てくるのを待ち、自分も入ってみます(少し痩せたので入ることができたけれど、昔だったら入れなかったかも)。思った以上に狭くて、足元も平らでないので歩きにくい。

 そして、その先に待っていたのは…。

 絶壁!

 足元が暗く見にくくて、高所恐怖症の自分はここまでが精いっぱいです。一人限定の髭剃岩。次の人が待っているみたいなので、あまり長居をしないで、戻ります。

 ここからも大きな岩を縫うように矢印に従って進んでいきます。岩を登っていく人が青空に吸い込まれていくみたい。ここも左側は絶壁です。

 一つ目の鎖場。ここはボコボコしていて足をかける場所もたくさんあるので、難なくクリア。下りの岩場はあまり好きではないけれど、登りは結構楽しい。

 そして、頂上を目の前に最後に立ちはだかるのがこの鳳岩。高さ20mほどもある一枚岩。上から鎖が垂れ下がっていて、それを頼りに登っていきます。前回の時は鎖に頼り過ぎて腕力で登った記憶があります。今回は足を掛けられるところを探しながら、鎖を補助にしながら上がっていきます。これぞ成長した証。まあ、あれから何年も山登りを続けていろんな経験をしていますから。

 上から見下ろすとこんな感じ。

 鳳岩を上りきったところが山頂です。8時55分、登山口から約3時間、鎖場でもあまり渋滞に巻き込まれない時間帯だったため、思ったより早く着きました。

 富士山は残念ながら霞みの中で、肉眼でもうっすらと見える程度になってしまいました。写真撮ったけれど、よく分からんかったです。西の方面には国師ヶ岳と金峰山(右の大きい山が国師ヶ岳で左の遠くにちょこんと五丈岩の突起のあるのが金峰山)

 北に目を向ければ、昨年11月に登った甲武信ヶ岳。

 狭い山頂には30人ほどもいて、風も強いので岩と木の隙間の影に身を潜めて、しばし休憩。その間にも次々と登ってきて、人がいっぱいになってきたので、30分ほどで山頂から撤収します。

 山頂から南を巻く下山道を降りる予定でしたが、前回もそのコースを歩いているし、足元があまり良くなくて展望もない樹林帯なので、扇平までは往路を戻ることにしました。

 鳳岩から下を見ると、上がってくる人の行列もできているので、鳳岩の巻道を使います。同じ高さ分を降りるので、当然急な下りですが、こちらには梯子がかかっています。

 ぞくぞくと登ってくる人たちとあいさつを交わしながら、扇平まで下ります。狭い山頂に入りきらなくなるんじゃないかと心配になるくらい。

 月見石まで戻ってくると、クライミングの練習をしているグループがいました。確かに高さ、角度、ホールドなど初心者にはちょうど良さそうですが、ここのシンボルでもある岩を独占するのもどうかと考えます。

 帰りは月見石の分岐を直進し、道満山方面へと向かいます。道満尾根は初めのうちは緩やかでミツバツツジのトンネルを行く快適な道。こちらも新緑が眩しい。

 道満尾根の道しるべに従い急な斜面を降りていきますが、地図にはない林道を何度も横切り、なんとなく方向も違うような気がします。登ってきた人に聞いてみると、大平牧場方面からとのこと。大平牧場から自分が登ってきた徳和とはかなりの方向違い。不安だったので、いったん最初の林道を横切った地点までまで戻りルートの確認。ここを右に行けば国師ケ原に戻り、往路に合流しますが、やっぱり道満山を経由して帰りたい。迷った挙句、道しるべの通り、元の急斜面を降りていきます。

 急斜面が一段落したところで道満山の案内があって一安心。しかし思った以上に長い下りでした。道満山への登り返しはほんのわずか。山頂には何とか読めるような消えそうな字の案内板が立っていますが(倒れていたので起こしてあげました)、これがなかったら山頂とは分からずに通り過ぎるような何にもないところです。

 山頂からは再び急な下り。こんなに登ったとは思えないほど長く感じます。足にもかなりダメージがきて、結構きつい。心が折れそうになってきた頃、ようやく徳和の集落が見えてきてホッとしました。

 獣害防止用の策を抜けて

 集落のわかりにくい道を案内板に従って歩いていき、12時ちょっと前にようやく駐車場に戻ってきました。

 乾徳山は2000mちょっとの山ですが、前回のようにガクガクにはならなかったものの、今回も下りで結構苦しまされました。

 帰りは近くの牧丘町にある花がげの湯により汗を流し、昼食も食べていなかったので、同じ施設内にある食事処「はくさい」でご飯にします。実はここの天丼は盛り、味ともにかなりの評判だそうで、楽しみにしていました。ところが、次々に入ってくるお客さんで厨房はかなりのテンパりよう。おまけに、温泉施設の座敷の注文も受けているらしくなかなか食事が運ばれてきません。相席の人はしびれを切らして出て行く始末。1時間以上待って、ようやく自分の分がやってきました。お腹は減っていて、美味しかったけれど、さすがにこれだけのボリュームだと食べるのもやっとでした。


北関東信仰の山 男体山

2016年05月08日 | 山登り

 今年のGWは天気が今ひとつでしたが、最終日は晴れの予報。日帰りで楽しめそうな山ということで、まだ行ったことのない日光の男体山へと向かいます。地図を見ると、男体山の北側には女峰山があり、その間には大真名子山、小真名子山、そして近くには太郎山もあって、日光連山はまるで家族のよう。全部回るには日帰りでは難しいようなので、今回は男体山のみの往復です。

 自宅を未明に出発。日光宇都宮道路に入ると、正面にはどっしりとした男体山が姿をあらわします。いろは坂のくねくねしたカーブを走って中禅寺湖畔へ。時間も早かったので、男体山を望む湖畔の南側に立ち寄ります。百名山にふさわしい円錐形の優美な姿に気持ちも高まります。

 登山口は中禅寺湖畔にある二荒山神社。男体山は二荒山神社のご神体として古くから信仰の山。山頂には二荒山神社の奥宮があり、お参りのために登られたことから登山とは言わずに登拝というそうです。神社にある登拝所で入山者名簿に記入し、500円を納めて、入山の心得やコースの案内とともに、お守りを受け取ります。

 午前7時、安全祈願をしてから、登拝口の鳥居より山頂の奥宮を目指します。

 鳥居の裏から、いきなり急な階段で始まります。

 階段を上りきったところが1合目。ここには遥拝所があって、山頂まで行かない人はここで奥宮を拝むそうです。反対側のシラネアオイの群生地と書いた小さな看板が気になりますが、花の見学は下山時の楽しみにしておき、まずは山頂に向かいます。

 熊笹の中の明るい森を登っていきます。今日も関東地方では25℃を超える夏日になるようですが、標高1200mを超える日光はひんやりとした風が吹いて涼しく、体を動かすにはちょうど良い気候です。

 30分弱で3合目。ここから舗装された林道(作業道)を歩きます。緩やかで楽だけれども、登山靴だと歩きにくいし、山に登っている感じがしないから、かえって辛い。

 舗装路を20分ほど歩くと4合目の鳥居と横には登山口の大きな看板。そこまで大きくなくても分かると思うけれども、舗装路はまだ先へと伸びているので間違える人もいるのかなあ・・・。

 ちょっと外れたところに見晴らしの良さそうなところがあったので行ってみると、眼下には中禅寺湖が拡がります。青い空に青い湖面が気持ち良い。

 4合目からは、先程までと全く雰囲気が変わって、大きな岩がごろごろしていて、大きな段差もある道。
 樹林帯の中を通っていたかと思えば・・・

 青空の広がる開けたところなど・・・

 6合目、7合目と徐々に登っていくにつれて、眼下に見える中禅寺湖が少しずつ遠く小さくなっていきます。

 それにしても綺麗な円錐形をした山は、そのたおやかな山容とは裏腹に、ずーっと急な登りが続いてなかなかハードです。そういえば3月に登った

 

蓼科山も似たような感じだったなあ。

 8合目手前の岩場では、巨大なクサリが下がっていました。このクサリに沿って登ってはいかないので、信仰的なものか単なるオブジェかはわからないけれど、今まで見たことのないような大きさです。

 標高が上がるにつれ気温も低くなってきて、登山道脇には霜柱も見ることができます。5月ではあるけれど、やはり北関東の標高2500mはまだ春と冬を行ったり来たりの季節です。

 8号目を過ぎると切り通しのような道をいきますが、柔らかい土が雨に削られていて、土のうが敷き詰められた道が痛々しい。どこを歩いたら歩きやすく登山道を傷めないか考えながらルートを選びます。雨が降ったら、グチャグチャの川状態になりそうで、雨後は歩きたくないところです。

 9号目を過ぎると景色も足元もガラリと変わります。両側の樹木がほとんどなくなり、空がひらけて頂上も近づいてきたようです。

 足元は赤茶けた溶岩がごろごろして、この山が火山であったことを感じさせます。細かな軽石でザレた斜面は足を取られてなかなか歩きにくい。

  振り返ると中禅寺湖や山並みの上に、白い三角形の雲が・・・。雲?いや良く見ると雲じゃない。ぽっかり浮かんでいるのは富士山の山頂部です。

 9時30分、鳥居を2つくぐって奥宮のある男体山山頂(標高2484m)に到着。コースタイムよりもだいぶ早く着くことができました。

 広い山頂の奥宮の建つところから少し進んだ先に、一段高くなったところがあって、あそこが最高地点らしい。その手前には鐘があったので叩いてみると周りの山々にも響き渡るような程大きな音が出てびっくり。山頂周辺にいた多くの登山者から注目の的になってしまいました。

 一番高い岩の上には剣が祀られていて、すぐ横には三角点がありました。新たしそうなものだったので家に帰ってから調べたら、2012年3月に130年間祀られていた鉄の剣が折れてしまい、その年の10月に新たに奉納されたものだそうです。
ピカーン!!

 山頂からは周辺の山から遠方の山までずらり。

 男体山の家族にあたる女峰山と大真名子、小真名子山。なかなかアップダウンがあって縦走するのは大変そうです。
 

 太郎山と奥には雪を抱いた会津駒ケ岳

尾瀬の名峰燧ヶ岳。今年はだいぶ雪が少ないらしい。

日光白根山と眼下には湯ノ湖。奥には雪を抱いた越後の山々。巻機山あたりかなあ。甲信地方の山は大体わかるけれど、北関東から越後の山はあまり詳しくなくて、方向性や形が良く分かりません。
 

  広い山頂をあちこちウロウロしながら周りの山などを見ているとあっという間に1時間が過ぎていました。下山後にお昼を食べる予定なのでそろそろ降りることにします。帰りは往路と同じコースを戻ります。

 山頂直下は火山礫のザレた急な下り。ザラザラと滑るようにスピードが上がっていきます。自分は行ったことはないけれど、富士山の下りも同じような感じらしいです。眼下には真っ青な中禅寺湖と湖畔の宿なども見えます。あそこまで下っていくんだあ。

 まだ早い時間なので、登ってくる人とたくさんすれ違います。そして国際観光地「NIKKO」らしく、外国人ともしばしば出会います。それにしても外国の方はみんな薄着。5月とはいえ2000mを超える山の上は結構寒いので自分も含めほとんどが長袖とウインドブレーカーを着ているけれど、彼らの中にはノースリーブのような格好の人もいます。日焼けとかは気にしないのかなあ。

 下るほどに中禅寺湖が近づいてきます。けっこう急な岩場で、コケると大変なので慎重に下ります。

 4合目からは再び林道歩き。さすがにここまで下りてくるとだいぶ暑い。

 最後は行きに気になっていたシラネアオイ群生地を求めて脇道へ。1分も歩かないうちに目的地はありました。天然のものか整備されたものかはわかりませんが、想像以上の群落、そしてちょうど見頃のシラネアオイ。これは見る価値がありました。


 12時40分、二荒山神社に戻ってきました。標高差1200mで結構ハードな山だったはずですが、今回は下山してもかなり余裕な感じ。先週の蝶ヶ岳や今年になってからの毎月2回登山が良いトレーニングになっているみたいです。

 昼食は、先程まで自分がいた男体山がよく見える戦場ヶ原にある茶屋へ。こちら側から見ても均整がとれていて美しいです。戦場ヶ原周辺はまだ新緑が始まったばかりで、それほどの混雑ではありませんでした。あと一ヶ月もすればツツジなどが見頃を迎え、多くの人が押し寄せてくるんでしょうね。

 お疲れ様ご褒美は、光徳牧場のアイスクリーム。ソフトクリームを期待していましたが、アイスクリームと牛乳しかメニューになかった~。

 帰りに奥日光湯元温泉のおおるり山荘で汗を流します。白濁の硫黄泉がいかにも温泉といった感じで、気持ちの良いお風呂です。まだ早い時間だったため、ほぼ貸切状態でまったりと過ごします。

 GW最終日ですが、さすがに皆さん昨日のうちに帰って今日は休んでいるのか(こんな良い天気なのにもったいない)、心配していた高速道路の渋滞も全くなく、夕方には自宅に到着できました。今日は何もかも時間どおりに進みました。

 樹林帯、林道、岩のゴロゴロした急傾斜、そして火山礫の道と変化に富んだ男体山。期待した以上に楽しい登山でした。晴天に恵まれ周囲の山々も見渡せて、3月の武尊山に続いての北関東の山。これからは谷川岳周辺や越後の山などにも足を伸ばして行きたいと思います。