上越国境の谷川連峰の西に位置する平標山(たいらっぴょうやま)と仙ノ倉山。花の名山として人気が高く、何年か前から行ってみたいと思っていた山。花が見頃のこの時期、休日は大変な混雑らしいので、梅雨入り前の晴天を狙って、平日に休暇を取って向かいました。
さすがに人気の山、平日とはいえ朝6時30分に到着すると100台以上停められそうな駐車場もすでに3割以上が埋まっています。駐車場はラインもしっかり引かれていて、トイレも整備されていています。何しろこんな山奥なのに1日600円も駐車料金をとるところですから…。

6時55分、準備を整えて出発します。樹林帯に入ったと思ったら、すぐにアスファルトの道に出て、立派な橋を渡ります。そのすぐ先が本当の登山口でした。
最初から急な階段が続きます。事前の情報だと、平標山への登山道は階段がかなりの部分を占めるということだったので、階段嫌いの私ですが覚悟してきています。

さっそく迎えてくれた花はタチウツギ。柔らかいピンク色の可憐な花が、木々の緑にも空の青にも良く映えています。

山の西面に当たるため、日の光の当たらない樹林帯の長い階段をもくもくと登っていきます。もちろん全てが階段でもなく、たまに出てくる土と石のミックスのトレイルにホッとしながらも、どんどんと高度を稼いでいきます。

50分ほど登ったところで大きな鉄塔の立つ場所にでました。鉄塔の周りには多くの登山者が休憩しています。あまりにも大きな鉄塔を真下から見上げる格好なので、逆高所恐怖症という感じでちょっと怖い。大きすぎて全容が写真にも収まりません。

さらに岩のゴツゴツした急登をいきます。前日の雨でうっすらと濡れていて滑りやすいので注意します。

眼下には上越屈指の人気を誇る苗場スキー場のゲレンデやホテルなども見えます。

そしてまたまた、まだまだ階段が続きます。

いつの間にか先ほどの鉄塔のてっぺんより高いところまで上がってきました。

傾斜が緩まってきたところで展望が開けて稜線にでます。そして、足元にはイワカガミやイワハゼ(アカモノ)の小さな花がたくさん咲いています。
イワカガミ
イワハゼ(アカモノ)
これから目指す平標山も見えてきました。(一番右の高いところ)

足元のお花を楽しんでいるうちに松手山に到着。

松手山からも快適な稜線歩きが続きます。振り返ると平らな山頂が特徴的な苗場山。今年は残雪が少なくて、6月が始まったばかりというのに、ほとんど白いところがありません。苗場山も近いうちに登ってみたい山です。

上の写真を見てみるとわかるけれども、後ろからカラフルな格好をした団体が追っかけてきます。前を行く人たちもこのとおり。

今日は、新潟県内の高校登山部の大会が行なわれていて、学校名の入った大きなザックに各校揃いのジャージを来た高校生達と、抜きつ抜かれつしながらずーと歩いてきています。皆さん礼儀正しく、大きな声であいさつをしてくれて、とても気持ちが良いです。こちらも応援の声をかけあいます。
山頂に登っていく途中には、ハクサンイチゲの大群落も拡がっていて、さすがは花の名山。多くの人がこの時期に平標山を目指す理由がわかります。大きなカメラと三脚を持って、撮影に時間をかけている人も見かけます。
ハクサンイチゲの大群落
咲き始めで花も瑞々しいです
山頂直下の稜線はシャクナゲの木が左右に続きます。残念ながらすでに花期が過ぎていて萎れた花びらが残っているだけですが、1~2週間ほど前までは見事なシャクナゲロードだったことが伺えます。少しずらした時期に来ても、また違った花の景色が見ることができそうで、来年以降ぜひ見てみたいと思います。
9時30分、平標山の山頂に到着です。山頂からは西には苗場山や志賀の山々が連なり、東にはこれから目指す仙ノ倉山や日光、尾瀬方面の山が拡がります。山頂にも高校山岳部のメンバーがたくさんいます。

20分ほど休憩して、この先の仙ノ倉山を目指します。鞍部へ続く道は木道(というか階段)で整備されています。

木道沿いは、白色のハクサンイチゲやチングルマ、黄色のミヤマキンバイ、ピンクのハクサンコザクラなど、今までに増して様々な種類の花が咲く、このルートでも一番の見どころです。
ハクサンコザクラ
ミヤマキンバイ
今年は雪解けが早いというものの、まだ6月に入ったばかり。さすがにつぼみの花が多く、これからもっと楽しめそうです。
鞍部の花畑を過ぎると細かなアップダウンが続いていきます。こちらの縦走路にもシャクナゲの花がいっぱい。そして階段もいっぱいです(笑)。次の頂点、人がたくさん立っているところが仙ノ倉山。山岳部の高校生の目指すところも仙ノ倉山らしいです。

残りのシャクナゲ
最後も階段を登って(青空と山頂の2人がいい感じ)

平標山から50分ほどで仙ノ倉山山頂に到着。

山頂から谷川岳方面への縦走路。谷川岳まではここからコースタイムでさらに6時間ほど。アップダウンもきつく、岩場もあるそうです。しかも普通では一泊コースで、数人が泊まることができる避難小屋が3箇所あるだけなので、それなりの装備も必要です。

山頂にいた高校生たちが平標山のほうに戻っていき、静かになったところで軽くランチにします。風も弱く、暖かな山頂に座っているとこのまま寝てしまいたいほど。30分ほどまどろんでいたところに次の高校生のグループが来たので、重い腰をあげて平標山へと戻ることにします。
仙ノ倉山山頂部から平標山方面への縦走路。右側の雪渓のあるのが平標山。その奥には苗場山が見えます。

帰りも途中のお花畑で立ち止まったりしながらで、なかなか先に進みません。平標山に近づくにつれ、人も増えてきました。
12時ちょうど、平標山に戻ってきました。山頂は賑わっていてゆっくりできそうになかったので、このまま通過していきます。帰りは平標山ノ家へと下って行きます(中央左側の赤い屋根が平標山ノ家)。こちらもひたすら階段です。熊笹の拡がる明るい道で、展望が開けていて気持ちが良い。階段も程よい段差で歩きやすいです。

小屋まであと少しというところの足元にはイワカガミがびっしり。こんなに群生しているところを見るのは初めて。しゃがんで見ると、青空にピンクの花が鮮やかです。

山頂から30分ほどで平標山ノ家。10年ほど前に建て替えられたという綺麗な小屋は、山の家という名前がぴったりな可愛らしい小屋で、周囲の景色にもマッチしています。景色が開けていて、美味しい水場もあるので、裏にあるテント場でのテント泊も気持ち良さそうです。

お手洗いと美味しい水をいただいて、下山を開始。平標山ノ家からは展望のない樹林帯。こちら側もまたまた階段が続きます。こちらを行きに使うと単調な階段の登りが続いて、けっこう辛そう。周回するなら今回の自分と同じ方向をおすすめします。

山頂と鞍部には人が多かったけれど、ここの下りではあまり人に会わないのが不思議な感じです。降りるほどに気温が上がってきて歩いていて暑い。早くも山の上の涼しさが懐かしいです。
40分ほどで林道に出ます。登り口には道祖神のようなものが立っていて、「満天の星降るごとし登山小屋」の歌が刻まれています。たしかに先ほどの小屋で夜を過ごしたら星空が素敵だろうな~。

あとは整備された林道歩きが続きます。一般車両は通行できませんが、幅も広くて整備された歩きやすい道。先に下っていった高校山岳部の団体に追いつきました。登山道では学校毎に4人づつくらいのグループでしたが、最後は全員で下山のようで、20~30人ほどの大所帯になっていました。

駐車場の案内に従って林道から外れて川沿いの石がごろごろした歩きにくい道を行ったら、結局また元の林道に戻ってしまいました。しかも追い越した高校生たちのほうが先を歩いていて、そのまま林道を行ったほうが近道だったみたい。
14時10分に無事駐車場に戻り、今回の山行も終了。帰りは猿ケ京温泉の「まんてん星の湯」に立ち寄ります。平日の早い時間のため、ほぼ貸切状態。施設も新しく、お湯も良くて、ゆっくりと過ごさせていただきました。
ちょっと時期が早かったものの、ハクサンイチゲやイワカガミなど見頃のお花もいっぱいの登山道。嫌いなはずの階段も登り下りしやすい安全な登山道で歩きやすかったです。シャクナゲの群落も見てみたいし、山ノ家にも泊まってみたい。また訪れてみたい山になりました。その前に苗場山にも登りにいかないと…。

(おまけ1)
帰りに立ち寄った群馬県渋川市にある、もつ煮で有名な「永井食堂」。口の中でとろけるようなピリ辛のもつ煮がとにかく美味しい。午後4時という中途半端な時間にも関わらずひっきりなしにお客が出入りしていました。お土産用のもつ煮も飛ぶように売れていました。
ライスの量も半端ない。これで590円。安っ!
(おまけ2)
今回の旅で、ついに愛車の走行距離が222,222kmを超えました。そろそろ収めどきを考えていかなければならない時期かなあ。でも気に入っているし、他に欲しいと思う車もないし…。
