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脾虚肝実による鬱とは、精神医療で言う不安や不眠等のうつ症状とは少し異なるのでしょうか

2007-08-14 15:52:50 | Q&Aコーナー
本件は私のブログの男子の本懐 スタミナ治療にコメントを入れてくださった方へのご返答です。

西洋医の言うウツ病と東洋医学における鬱は結果的に起きている症状に似通ったものとか、交差する部分もあるといえますが、同一ではありません。この場合は脾虚の症状も含まれ、かつ肝実による鬱から起るあらゆる状態を指し、精神的な鬱症状のみを指しているのではありません。。

どちらも四逆散の変方である「延年半夏湯」も「解労散」も脾虚肝実の方剤です。ご存知のとおり、前者は例えば同じ肩こりを例にとった場合、脾虚の証に加え、人体左側の凝り的な疾患が指標となり、それに神経症、不眠症が目標となります。後者は脾虚の証に加え、「過労による頑固な肩こりおよび胃潰瘍、胆石症などに用いる」とあるとおり、「鬱が湿熱を生んで起る疾患」にいたるまで適応します。

肝が実するか肝の蔵(臓)かその経絡に熱が発生して、そしてその陽的パートナーである胆の府(腑)かその経絡である胆経に波及して、議題になっている症状を呈する場合は、概ね以下の4通りです。そしてその際に使われる代表的な方剤も記してみます。
もちろん、これらの診断の際は腹診、脈診、舌診などを入念に行うことはいうまでもありません。

脾虚肝実証 : 小柴胡湯およびその変方か、大柴胡湯の変方である四逆散(勿誤薬室方口訣)

肺虚肝実熱証 : 柴胡加龍骨牡蠣湯 肺氣が虚し、腎の津液も虚して肝血は熱を持って停滞して、発生が悪い状態。腎が虚しているのと、心と胃に熱がある状態。

肝虚陰虚熱証 : 抑肝散加陳皮半夏 精神的に不安定で、怒気を含んでいる状態。

肝虚陽虚寒証 : 血虚から発生した氣鬱があるときは「開結舒経湯」を用います。例えばむち打ち症による鬱的症状です。そして、もし氣鬱の症状が少なく冷えの症状が多いときには、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を用います。

その実が起るために最初にどの蔵(臓)が虚したのかを知ることによって、おのずと代表的な方剤が決まってきます。
しかし、その虚している蔵(臓)がどれかを正確に見つけて、例えば上記のような方剤を使用することにより、原因の出発点が異なるものの、結果的に鬱とか熱症状が出ている疾患に対しての本治法的な対応が可能となります。

ご存知のとおり、上記の臓器はあえて「蔵」や「府」と表しているごとく、西洋医学の臓器というより、東洋医学的な五行観による五臓とその経絡という位置づけで用いています。

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