荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

椅子の巻。

2014年12月16日 | 華麗な生活に極めたシンプルを


インテリアのお仕事を20年近くやっています。

ですので【椅子】が好きなんです。

フツーのヒトからすれば椅子なんてどうでも良いモノでしょう。

しかしながら、プロにとっては椅子って大事なんです。

僕の主な取り扱いはデンマークやスウェーデンといった北欧。

あちらさんは何千年も椅子・テーブルです。北欧に限らず。

戦後70年弱程度しか椅子・テーブルでの生活の歴史がないニッポンとはおおいに違います。

んー、今でも椅子・テーブルの生活でないヒトもこの国にはたくさんいる事でしょう。

田舎の一家とか、都会でもワンルームのヒトなんかは床の生活をしてるんでしょうね。

そんな僕ですから、自宅でもそれなりの椅子を使用していたりするのですが、最近椅子がひとつ壊れました。

知人が遊びに来た際に壊してしまったのです。

この椅子は【バレットチェア】という名前。

デンマークの家具デザイナーであるハンス・J・ウェグナーの作品です。

正規品を買ったら100万円するトンデモ椅子ですが、僕のはジェネリック製品と言われるいわゆるコピー品で、5万円程度。

ジェネリック製品の定義は面倒なので省きますが、僕もプロのはしくれ、この椅子を買った時はちょっと良心が痛みました。

『ま、あくまで洒落だから』と己を納得させましたが。

さて、今回壊れた箇所、すなわち椅子の座部を跳ね上げる際の脚ヒンジ部は、このジェネリック製品では【木】で出来ております。


一方、100万円する正規品は【金物】で出来ているんですね。

なるほど、座部を跳ね上げた時に脚にかかるストレスを考えれば、木ではいかにも弱い。

正規品は伊達に高額というわけではないのですね。

・・・と思って確認したら、このジェネリック製品の脚ヒンジ部は金物に変更になっていました。

クレームが入ったんでしょうか。

シンプル生活だのミニマリストだの言っていた割には、いきおいで買ってしまったこの椅子。

やはり処分すべき対象として【捨て神様】が下した判決なのかも知れません。

あるいは『プロがジェネリック製品に手を出すのはご法度』というインテリアの神様か。

『不満を持っている人間には、安楽な椅子は見つからない』ベンジャミン・フランクリン(米国の政治家・1706~1790)


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