荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

天国と地獄の巻。

2017年01月02日 | 偽りの人生に優れたエンターテイメントを




*今回は、2012年に別んトコで書いていたブログに加筆・修正したモノをお送りします。



所謂名作映画をさほど観る事なく生きて来ました。

【ET】も観てませんし、【ローマの休日】も観てませんし、【風と共に去りぬ】も観てませんし、【ゴッドファーザー】も観てませんし、【七人の侍】も観てません。

そんな僕ですが、遂に観たのが【天国と地獄】。

原作はエド・マクベイン【キングの身代金】で25年程前に読んでおりましたし、【太陽にほえろ!】でも原作を使用したお話しがあり、それも観ました。

それでも不滅の金字塔である、この【天国と~】に手を出せなかったのは、ひとえに敷居が高過ぎたから。



さて部屋の照度を落として、いざ観劇となります。

お酒を飲むと眠くなりますし、集中力も減退するのでシラフで臨みます。

果たして観劇後は大変疲れました。

まずひとつは、モノクロ映画を近年全く観ていなかったからです。

ちなみに、1980年代後半はニッポン映画も洋画も、カッコつけただけのモノクロ映画が頻出したものであります。

次にその長さ。

143分という長尺の作品というものを、やはり全く観ていないので正直キツい。

しかしながら、名作は名作でありました。まことに素晴らしい。

プロットは超緻密で、当時の段階でよくここまで集団警察を描けたものだと感心しました。

カメラワークも全く無駄がなく、計算されているのがよく分かります。

巨匠・黒澤明だからこその入魂の一作であります。

もっとも、他のチンピラ監督じゃ、こんな手間暇かかる作品は作らせて貰えませんが。



ただ、犯人・竹内銀次郎がインターンであるのに、貧乏育ちという点にいささか引っかかりました。

当時は貧乏でも医者になれる可能性が多分にあったのでしょうか。



ついでにテレビ朝日のリメイクドラマ版も観ました。

ラストシーンがとくに印象に残っております。

妻夫木聡が竹内銀次郎を演じたのですが、かなり映画版の山崎努を研究しているな、と思いました。

リメイクドラマ版も結構良かったです。

みんなも観てみようず



【踊る大走査線 THE MOVIE】でも使用された名シーン。


『悪魔のように細心に、天使のように大胆に』黒澤明(ニッポンの映画監督・1910~1998)