桜の季節も終わった。地面を彩る桜のピンクの花びらが美しい。静かになった桜並木を通るたびにこの花は散っても
美しさをくれる花だと感じる。桜の足元に明るい緑の細長い葉が繁り、薄い青の6枚の花弁を星形に開いている小花
がある。花韮という名前をもつ愛らしい花だ。華やかな桜の下で、小さいながらも6枚の花弁にエネルギーをみなぎ
らせている。一面ピンクの饗宴の中で涼しい青がアクセントになっていた。今朝通りがかりに、アトリエの机に飾り
たくなって2本手折った。雨に濡れて花びらが縮んでいる感じだった。ガラスの小さな花瓶に挿すととても素敵。私
の手には微かなニラの匂い。そうだ、やはり花韮なんだと納得した。この匂い、紅茶を飲む時まで鼻先に来て、ちょ
っと困った。
星になる花...というタイトルが頭に浮かび、20センチ角の作品を壁から下ろし、ぐいぐいと画面を変えて、『星に
なる花』に仕上げた。この頃、抽象でも具象でもない作品を追求したいなと思うことがある。一つのシリーズに作
品を限定することが所詮苦手な性格でもある。