KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

輝く!日本マラソン大賞2021 vol.1

2022年01月20日 | 日本マラソン大賞
まずは、2021年中にマラソン大賞の発表が出来ずに2022年にずれ込んだ事を深くお詫びしたい。

本来のスタイルである、各賞発表毎に講評を添える構成で発表していこうと思う。

最優秀選手賞(マラソン大賞)
道下美里(三井住友海上)

優秀選手賞
永田 務(新潟県身体障害者団体連合会)
堀越信司(NTT西日本)
大迫 傑(Nike)
一山麻緒(ワコール)
鈴木健吾(富士通)

1年遅れの五輪イヤーだった2021年、五輪メダリストがマラソン大賞にふさわしいと思っていた。今回「オリパラ」という言葉が定着したくらい、パラリンピックがオリンピックと同格というか、バラリンビックも含めての五輪という観点から、パラリンピックのマラソンも選考対象とした。その結果として女子視覚障害マラソンの部の金メダリスト、道下も大賞に選出し、男子上肢障害の部の銅メダリストの永田、男子視覚障害の部の銅メダリスト堀越も選出した。
道下については、昨年も優秀選手賞を授与し、
「(彼女のためにも)何とかパラリンピックを開催出来ないものか。」
とコメントしていた。大会直前ギリギリまで開催が危ぶまれ、賛否両論の嵐が吹き荒れた東京オリパラ。道下の笑顔が見られただけでも、胸を撫で下ろした。

今回、パラリンピックのマラソンをダイジェストでなく、フルで見ることが出来たが新たな発見はガイドランナーの役割である。ただ、ランナーの目の役割を果たすだけでなく、ランナーの力を十二分に引き出し、レースを組み立てる。ガイドランナーがレースを作っている。
ある意味で「チームスポーツ」に見えた。

パラリンピックのランナーたちが走れた、新国立競技場発着のコースを走る機会を奪われた、五輪ランナーたち。そんな中大迫が2大会ぶり、一山は4大会ぶりに入賞を果たした。後半、先頭グループとの差をじわじわと詰めて行き、6位に入賞した大迫の走りは、同じ早稲田大の先輩である佐藤敦之のベルリン世界陸上での走りを彷彿とさせた。一山も、大会前日の夜にスタート時間変更というアクシデントのような事態にもめげずに、8位入賞。札幌にコースを移転させた効果が見られぬコンディションの中の「快挙」だった。
そして、「最後のびわ湖毎日マラソン」で日本記録を更新した鈴木健吾。これは言わば1965年の重松森雄の世界最高記録や1969年ボストンの采谷義秋の優勝のような五輪代表落選者の「リベンジ」の系譜に属する結果だと思うが、僕の周囲では
「何でこの宇和島の子をオリンピックに出さんのぞ?」
という声を何人かから耳にした。半年後のシカゴでも2時間8分台で4位。今年の世界陸上代表に座を射止める事が出来るか?土佐礼子以来の「愛媛の星」の輝きを見たいものである。

敢闘賞
中村匠吾(富士通)
服部雄馬(トヨタ自動車)
鈴木亜由子(JP日本郵政グループ東京)
前田穂南(天満屋)

4人のマラソン日本代表ランナーを選出したが、4人とも本来の力を発揮することが出来なかった。今回は過去最高に「合理的な方法」で代表を選んだのであるが、やはり1年の延長でコンディションを整えるのが困難であったか?大会の延期が決定した時点で、瀬古利彦マラソン強化プロジェクトリーダー(長い肩書やなあ)は、代表選考のやり直しはしないと言明したがのだが、その是非についてはまた、別の機会に語るつもり。

外国人特別賞
エリウド・キプチョゲ(ケニア)
ぺレス・ジョブチルチル(ケニア)

東京五輪の男女の金メダリストに授与したが、30年前からマラソンの知識が上書きされてないとしか思えないような、「高温多湿のコンディションなら、地元の利もある日本選手にもメダルの可能性有り。」という珍説をテレビのニュースショーで唱えるコメンテイターもいたが終わってみれば世界記録保持者キプチョゲの横綱相撲。
「この世界をランニング・ワールドにしたい。」
という名言も残した。女子はハーフマラソンの世界記録保持者のジョブチルチルと、マラソン世界記録保持者のブリジット・コスゲイのワンツー・フィニッシュ。これを見ると、大迫や一山の入賞は「快挙」だと本当に思う。メダルを逃せば見向きもされないが、今、五輪や世界陸上のマラソンで日本が8位以内に入賞することは、サッカーやラグビーで日本代表がベスト8に進出するのと同等の快挙だと思う。
男子の銀メダルはオランダのアブディ・ナゲーエ、銅メダルはベルギーのバジル・アブディ。共にソマリアからの移民者だが、アテネ五輪銀メダルのメブ・ケフレジキや英国のモハメド・ファラーがそれぞれの国の長距離種目に活力を与えたように、彼らが欧州のマラソンを変えていくに違いない。

今回はここまでにしておこうと思う。Vol.2をお楽しみに。


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