光市事件 差し戻し控訴審 第2回~第4回公判 2007/6/26~6/28 〈被告人質問・証人尋問〉

2007-06-27 | 光市母子殺害事件

被告「恥ずかしがって反応」母子殺害、公判詳報
6月26日21時19分配信 産経新聞
 山口県光市の母子殺害事件をめぐる差し戻し控訴審の第2回公判で、元会社員の男性被告(26)=事件当時(18)=に対する被告人質問の主なやりとりは次の通り。
 《被告は紺色のジャケットに白いズボン姿。質問は排水の点検を装い、被告が本村さん宅に上がった場面から始まった》
 弁護人「作業が終わったと告げたら、弥生さんは何と言ったのか」
 被告「『ご苦労さま』という趣旨のことを言ってくれた」
 弁護人「それを聞いて、どういう気持ちになったのか」
 被告「とにかく甘えたいなという気持ちを持った。頭をなでてもらいたい気持ち。それで、弥生さんの後ろに回りこんで抱きついた」
 弁護人「弥生さんはどう反応したか」
 被告「抵抗するとは思っていなかったのに、立ち上がろうとした。お母さんに嫌われたような感覚になった」
 弁護人「『お母さん』とは」
 被告「中1のときに亡くなった実母。弥生さんを通して、実母の姿をみていた」
 弁護人「それで、どうなったのか」
 被告「弥生さんと一緒にあおむけに倒れてしまった。手足をばたつかせていたのを押さえようとしたら(プロレスの技の)スリーパーホールドの形になった」
 《席から立ち上がり、身ぶりも交えて説明する被告。傍聴席の遺族からはため息が漏れた》
 弁護人「弥生さんはどうなったか」
 被告「無我夢中でいたら、動かなくなった。『なんてことをしてしまったんだろう』と呆然(ぼうぜん)とした」
 弁護人「その後で覚えていることは」
 被告「背中に強い痛みを感じて振り返ったら、弥生さん、つまりお母さんが何か光るものを振り上げていた。振り払おうとして、弥生さんを下にして倒れた」
 弁護人「どう思ったか」
 被告「弥生さんにお母さんのイメージを抱いていたので、信じきれない思いになった」
 弁護人「それからどうしたのか」
 被告「弥生さんを押さえつけていたら、徐々に力がなくなって動かなくなった。それでも、さっきは気絶していた弥生さんから反撃されたので、押さえ続けていた」
 弁護人「どうなったか」
 被告「視線を向けたら、弥生さんののどを僕の手が押さえていた。信じられない状況に陥ってしまった」
 《検察側は被告が弥生さんに馬乗りになり、首を絞めて殺害したと主張。これまでの判決も、検察側の主張通りに認定している》
 弁護人「乱暴しようと思わなかったか」
 被告「全くない」
 弁護人「その後は」
 被告「粘着テープを取りにいった。お母さんが変貌(へんぼう)するのを止めるため、手を縛ろうと思った」
 弁護人「『変貌』とはどういうことか」
 被告「お母さんに何かがとりつくような感じ。お母さんは暴力をふるわないし、抱きとめてくれる存在なのに」
 弁護人「それからどうしたのか」
 被告「弥生さんの服を胸のあたりまでずらし上げた」
 弁護人「なぜそんなことをしたのか」
 被告「女性なので、恥ずかしがって反応するだろうと思った」
 弁護人「この時点で弥生さんが亡くなっているとは思っていなかったのか」
 被告「思ってないし、思いたくなかった」
 弁護人「その後、弥生さんの胸を触るなどしたのはなぜか」
 被告「赤ん坊に戻りたい心境だった。反応を示してほしかったが、それ以上に甘えたかった。その後で、亡くなっているのに気づいた」
 弁護人「そのときに赤ちゃんの姿が目に入ったのか」
 被告「泣いているのに気づいた。泣く原因を作ったのは自分なのであやそうとしたが、弥生さんを死なせてしまった直後で力が入らず、赤ちゃんは頭から落ちた」
 《これまでの判決は、被告が本村さんの長女、夕夏ちゃん=当時11カ月=を頭から床にたたきつけたと認定している。この日の尋問はここまでで終了。被告は退廷時、遺族らが座る傍聴席に頭を下げたが、視線を向けようとはしなかった》


第3回公判詳報 
 6月27日20時51分配信 産経新聞
 山口県光市の母子殺害事件をめぐる差し戻し控訴審の第3回公判で、元会社員の男性被告(26)=事件当時(18)=に対する被告人質問の主なやりとりは次の通り。 《被告は26日と同じ服装。尋問は前回公判の続きから再開された》
弁護人「その後、再び赤ちゃんをあやそうとしたのか」
被告「抱っこしたのだが、へたりこんで赤ちゃんを床に下ろした」
弁護人「それからどうしたのか」
被告「ポケットに手を入れたら、ひもが入っているのに気づいた」
弁護人「それを赤ちゃんの首を絞めるのに使ったのか」
被告「分からない。首にひもが巻かれていたことは逮捕後知った」
弁護人「赤ちゃんが亡くなったことは事件当日に認識したのか」
被告「はい。深い絶望に陥って、赤ちゃんを押し入れの上の天袋に入れた」
弁護人「なぜ天袋に入れたのか」
被告「今思うと幼いのだが、ドラえもんの存在を信じていた。押し入れに入れれば、ドラえもんが何とかしてくれると思った」
弁護人「その後、どうしたのか」
被告「弥生さんにハイハイするようにして近づいた。お母さんに助けを求める心境だった」
弁護人「近づいて何をしたのか」
被告「乱暴した」
弁護人「亡くなっているのを分かった上でなぜ乱暴したのか」
被告「生き返ってほしいという思いだった」
弁護人「どういうことか」
被告「山田風太郎の『魔界転生』という本に、そういう復活の儀式が出ていたから」
弁護人「乱暴した後、どうしたのか」
被告「弥生さんを押し入れに入れて、座布団を何枚か上に乗せた。布団をかけてあげるような気持ちだった」
弁護人「その後、本村さん宅を出るときに持って出たものは」
被告「粘着テープとペンチ、スプレー」
弁護人「でも、粘着テープと思っていたものは何だったのか」
被告「(弥生さんの)財布だった」
《これまでの判決は、被告が遺体を押し入れに隠した上で財布を盗んで逃走したと認定している。弁護側の最後に、主任弁護人が供述内容を確認した》
弁護人「弥生さんと夕夏ちゃんを殺害しようと思ったことは」
被告「ない」
弁護人「死んでもいいと思ったことは」
被告「ない」
弁護人「昨日と今日、聞いた通りか」
被告「はい」
《続いて検察側が尋問》
検察官「弥生さんの口と手に粘着テープを張ったと供述していたが、遺体の写真をみると、鼻にも張られているが」
被告「張った覚えはない」
検察官「最高裁に提出した上申書や鑑定人への説明は、今回の被告人質問と同じ内容か」
被告「ちがう。上申書を出したのは1年前だが、この1年、記憶を精査した」
検察官「上申書ではどう説明していたのか」
被告「法廷で話したことが真実に最も近い」
裁判長「質問に答えなさい」
被告「覚えていない」
《検察側の尋問は30分足らずで終了。昼の休廷をはさんで裁判官が尋問した》
裁判官「遺体に乱暴した後、脈を確認したりはしたのか」
被告「いいえ」
裁判官「生き返らせようと乱暴したのに、実際に生き返ったか確認しなかったのか」
被告「はい」
裁判官「なぜ確認しなかったのか」
被告「分からない」
裁判長「『魔界転生』を読んだのは、単行本か文庫本か」
被告「覚えていない」
裁判長「自分で買って読んだのか」
被告「覚えていない」
《被告人質問は終了。その後、証人尋問が行われている間、被告は後方の被告人席にじっと座っていた》
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光市母子殺害、差し戻し審-広島高裁=「実母自殺で自立できず」と心理学者
(時事通信社 - 06月27日 18:10)
 山口県光市で会社員本村洋さん(31)の妻弥生さん=当時(23)=と長女夕夏ちゃん=同(11カ月)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が一、二審の無期懲役判決を破棄した当時18歳の少年で元会社員の被告(26)に対する差し戻し控訴審第3回公判が27日、広島高裁(楢崎康英裁判長)であり、弁護側が申請した加藤幸雄・日本福祉大教授(犯罪心理学)の証人尋問が行われた。
  被告の心理面について、加藤教授は「親密な関係にあった実母が自殺したため、孤立して12歳から自立できず、通常の18歳の人格ではなかった」と述べ、心と身体のアンバランスな成長を指摘した。
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「母自殺で支えなくなる」 光母子殺害で心理鑑定人
 2007年6月27日 18時33分(共同)
 山口県光市・母子殺害事件の差し戻し控訴審公判は27日午後、広島高裁で、元少年(26)= 事件当時(18)=の犯罪心理鑑定をした加藤幸雄日本福祉大教授が、弁護側申請で証人として出廷。加藤教授は「依存関係にあった母親が自殺し、元少年は1人取り残された」と証言した。
 加藤教授は、元少年と母親は以前から父親に暴力を受けており、互いに依存し合い安心感を得ていたが「元少年が中学1年の時に母親が自殺したため、支えがなくなった」と述べた。
 また「友人らとは内面を深める関係ではなく、他人から見捨てられないように迎合したり誇大に振る舞ったりしたため、うっせきした感情がたまっていた」と説明した。
 28日も引き続き加藤教授を証人尋問する。
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被告人質問要旨 光母子殺害差し戻し審
中国新聞 '07/6/28
 光市母子殺害事件公判で二十六、二十七日にあった被告人質問の要旨は次の通り。
<弁護側>
弁護人 あなたは平成十一年四月十四日午後、本村さん方を訪ねたか。
被告 はい。
弁護人 弥生さんはどこにいたか。
被告 奥の窓側。テーブルを挟んだ向こう側。座いすに座って財布を確認していた。入り口に来たときに赤ちゃんを見た。赤ちゃんの頭が右腕に乗っていた。作業が終わり「終わりました」というような声をかけた。
弁護人 どんな気持ちになったか。
被告 作業員の状態でなくなり、とにかく帰れると思った。友達との待ち合わせがあった。気が緩んだ状態だった。(弥生さんは)ご苦労さまでしたという趣旨の言葉をかけてくれた。
弁護人 どう思った。
被告 弥生さんに甘えたいと思った。頭をなでてほしいと思った。
弁護人 どうやって弥生さんに抱きついたのか。
被告 回り込んでから、両肩の上に手をかぶせるように。そっと抱きついたので力は加えてない。
弁護人 性的な期待はなかったのか。
被告 していない。
弁護人 弥生さんはどういう反応を示したのか。
被告 両肩を揺さぶって立ち上がろうとした。思わぬ反応に、お母さんに嫌われてしまったような感覚に陥った。
弁護人 押さえつけようとはしなかったのか。
被告 そもそも危害を加えるつもりではなかったので一切していない。
弁護人 お母さんとは誰のことか。
被告 中一の時に亡くなった実母のこと。弥生さんを通して実母をみた。
弁護人 いつの時点でそういう思いを抱いたか。
被告 弥生さんが玄関で応対したときから淡い思いを抱いていた。
弁護人 弥生さんはどうしたか。
被告 手足をばたつかせていた。ばたつくと危ないのでやめるように抱きしめた。無意識のうちにスリーパーホールドの姿勢になっていた。首に左腕を回し、後頭部に右手をあててしめる形。
弁護人 意識的か。
被告 意識的ではない。
弁護人 どのくらいの時間絞め付けていたのか。
被告 感覚は覚えていないが、短かったと思う。
弁護人 ずっと動かなかったのか。
被告 ぴたりと動きがとまった。無我夢中だったので具体的なことは答えられない。
弁護人 弥生さんが死んでいるのか気絶しているのか分かったか。
被告 分からなかった。とっさの判断で手をはらい、右腕を胸に当てて弥生さんを押さえ、倒れ込んだ。弥生さんを通してみたお母さんが信じ切れない状態にあった。反撃されたのであれば、お母さんのイメージが崩壊してしまうので。お母さんは暴力を振るうようなことはなかった。
弁護人 弥生さんが下になったのか。
被告 はい。私はうつぶせ。弥生さんの右手を押さえ、右手は自分の顔より右上の位置にあった。どこを押さえたかは分からない。
弁護人 弥生さんはどうしていた。
被告 この時点では動いていた。下からはねのけるように動いていたが、徐々に力がなくなっていくようになった。
弁護人 どこを押さえていたのか。
被告 右手でのどを押さえた。手が横だったか斜めだったか分からないが指先は左を向いていた。
弁護人 その後は。
被告 上体を起こして、馬乗りになったまま弥生さんを見ていた。なんで動いてくれなくなったんだろう。自分のやったことが信じられなくて、もしかしたら動いてくれるかもしれないと思った。
弁護人 姦淫しようとは思わなかったのか。
被告 全く思わなかった。その後反撃に備えてトイレにガムテープを取りに行った。トイレの便座の右にあったスプレーとガムテープを手にとって居間に持って行った。
弁護人 どうしてスプレーを持ってこようと思ったのか。
被告 弥生さんが想像を絶する抵抗だったので、それを防御するために噴霧するため。
弁護人 ガムテープをどう使ったのか。
被告 弥生さんの両手をぐるぐるに巻いた。表現の限界でこれしか説明できない。手首に巻いた後、口にも張った。
弁護人 なぜか。
被告 怒られるのが嫌だった。つまり、弥生さんとお母さんが重なりつつあるのですけど。
弁護人 悲鳴をあげられるのを防ぐためではないのか。
被告 悲鳴をあげられるところまで想像が及んでいない。
弁護人 その後、どうしたのか。
被告 スプレーを右手に持ち、顔の前で噴霧するそぶりをしたり、カッターナイフを顔の前でちらつかせたりした。
弁護人 なぜやった。
被告 反応を示してもらいたかったから。カッターナイフを持ったまま、弥生さんの上着を胸の下付近までずり上げた。上着とはセーターとその下の肌着のこと。
弁護人 どうして。
被告 女性なので羞恥心で反応するかと思った。弥生さんの右手首を左手で持ってセーターと肌着を乳房の上までずらした。カッターで肌着を切った。
弁護人 乳房を触ろうとしたのではないのか。
被告 その時点ではまだ触ろうと思っていない。
弁護人 乳房を見て性的興奮はなかったのか。
被告 ない。
弁護人 それで。
被告 ブラジャーの真ん中を刃を入れて切った。
弁護人 どうして。
被告 どうしてといわれると困るが切りました。乳房が露出したので右手で左乳房をもんで、右乳房に口をつけた。もんだり吸ったりした。乳首を吸うというより、くわえる感じ。甘えたいという気持ちが大きかった。
弁護人 赤ちゃんは。
被告 座った状態で泣いていた。僕が原因でお母さんを亡くしてしまったと認識した。放っておくことができずにあやそうとした。上体をかがめ、両脇の下に手を入れて抱き上げようとしたが、胸にひきつけるときにすべりすり抜けるようにして落ちた。頭から落ちた。
弁護人 赤ちゃんは落ちてどうなったか。
被告 あおむけになったが一瞬泣きやんだことを覚えている。頭を打っていることは分かった。再び泣いたのであやすために力を加えて横抱きにするように抱き上げた。赤ちゃんはずっと泣いていた。もうろうとしながら、奥へ奥へと進んでいった。
弁護人 どこに行き着いたか。
被告 子ども部屋と思っていた部屋。後から風呂場だと分かった。後から台所の窓の風にあたってパニック状態から覚めて気付いた。ベビーベッドと認識していたのは風呂おけだった。
弁護人 どうしたのか。
被告 ベビーベッドと思ったところに置いた。
弁護人 (風呂おけに)落ちたということか。
被告 結果的にそう。赤ちゃんの泣き声が響き、何人もの赤ちゃんの泣き声があるように聞こえ、パニック状態になった。居間の入り口で弥生さんの幽霊を目撃した。
弁護人 幽霊をこれまでみたことはあるのか。
被告 あります。実母の幽霊を目撃している。母が亡くなったその後に。
弁護人 どういうふうになったか。
被告 この部屋に閉じ込められた感覚に陥った。幽霊におそわれると思ってパニックになった。
弁護人 弥生さんの幽霊がどうして見えたと思ったのか。
被告 弥生さんを汚物がついた状態で放置していたので出てきたと思う。赤ちゃんの泣き声が再び聞こえ、風呂おけの赤ちゃんを抱き上げ、押し入れに置いた。
弁護人 弥生さんにどうしたか。
被告 汚物をぬぐうためにジーパンとパンツを両手で脱がしにかかった。脱がし終わるころ、赤ちゃんがはいはいするのを見た。
弁護人 どうした。
被告 赤ちゃんをあやそうと再びだっこしたが混乱状態になって、両ひざをついた状態で両手をズボンのポケットに入れた。右ポケットにひもがあった。感触で分かった。(自分の)左手首に絡め、左指にも絡めて右手で絞めた。
弁護人 赤ちゃんの首を絞めたという認識は。
被告 ありません。取り調べ時に、捜査官からちょうちょ結びや二重に巻いていたことを教えてもらった。
弁護人 赤ちゃんの首に巻かれていたことは資料でわかったのか。
被告 はい。
弁護人 表情を見たのか。
被告 はい。あおむけで口を開いていた。口元が紫で動かない状態に気づいた。放心状態になって後ろの柱に体を預けた。
弁護人 赤ちゃんの命がなくなったとみていたということでいいのか。
被告 何が原因かはわからない。口が紫だったので亡くなったと。
弁護人 そのときの気持ちは。
被告 深い絶望状態。
弁護人 どういうこと。
被告 あやすつもりだったのに結果的にあやめてしまったことに絶望した。
弁護人 赤ちゃんをどうしたのか。
被告 天袋に入れた。現時点での言及は避ける。投げ入れてはいない。
弁護人 なぜ押し入れの中に入れたのか。
被告 今思えば、大変幼いが、ドラえもんの存在を信じている。押し入れは何でも願いをかなえてくれる四次元ポケット。ドラえもんが何とかしてくれると思った。
弁護人 置いた後はどうしたか。
被告 ぼっ起していた。弥生さんとお母さんがダブっていた。はいはいするようにして弥生さんに歩み寄った。
弁護人 弥生さんの中に母を見たのか。
被告 亡くなった母をみた。お母さんなら願いに応えてくれると思った。
弁護人 それで。
被告 姦淫に及んだ。
弁護人 どんな気持ち。
被告 生き返ってほしいという思い。
弁護人 生き返ることと死んだ人に姦淫をすることはどうつながるのか。
被告 山田風太郎の「魔界転生」の中に出てくる、精子を女性の中に入れる復活の儀式をした。
弁護人 精子を入れることで、亡くなった人が生き返るということか。
被告 そういうことだ。
弁護人 弥生さんと姦淫行為をする前に女性と性交したことがあるか。
被告 ない。
弁護人 どのくらいの時間結合していたのか。
被告 僕の中では姦淫により、お母さんに抱きついていたかった。具体的な時間はわからない。
弁護人 射精はしたか。
被告 どの時点かは分からないが、した。
弁護人 それから弥生さんをどうしたか。
被告 押し入れの中に入れた。
弁護人 弥生さんと夕夏ちゃんののどぼとけを両親指で押さえつけたことはあるか。
被告 全くない。
弁護人 右手で逆手で押さえたのか。
被告 はい。
弁護人 夕夏ちゃんを床に投げつけたことは。
被告 全くない。事実無根だ。
弁護人 首を両手でしめることはあったか。
被告 全くない。
弁護人 ひもを首の後ろで交差させ、両端を持って、左右に力いっぱいしめたのか。
被告 やっていない。
弁護人 二人を殺害しようと思ったか。
被告 全く思ってない。
弁護人 力ずくで姦淫しようと思ったか。
被告 全くない。
<検察側>
検察官 本村さんの家でTVを消したか。
被告 ついていたかどうかわからない。
検察官 本村さんの家で腕まくりをしたか。
被告 全くない。
検察官 弥生さんに抱きつき、倒れ、スリーパーホールドをして気絶させたのか。
被告 はい。
検察官 スリーパーホールドをしたとき、弥生さんのあごはあなたの左腕のどのあたりか。
被告 意識していない。
検察官 袖をまくった記憶はあるか。
被告 ない。
検察官 その後左腕で弥生さんの胸あたりを押さえたのか。
被告 はい。
検察官 左手で弥生さんの右手を押さえ、右手で体のどこかを押さえたが、それがどこかはわからなかったのか。
被告 わからなかった。
検察官 弥生さんの体の力がなくなって、顔を上げてみると首を押さえていてびっくりしたということか。
被告 全くその通りだ。
検察官 右手で押さえていた時間は。
被告 長い時間だった。
検察官 客観的にはどうか。
被告 答えかねる。
検察官 右手で上から下におさえたのか、それとも指先に力を入れてつかむようにしたのか。
被告 つかむようにして押さえた記憶はない。
検察官 単純に(自分の)右手を下に押さえつけたという記憶か。
被告 はい。
検察官 弥生さんは声を出さなかったか。
被告 わかりません。
検察官 その後、洗浄剤とガムテープとスプレーをトイレから居間に持ってきたのか。
被告 その通り。
検察官 理由としては、お母さんとしてみていた弥生さんが気絶からさめたときに、怒られると思ったから前もってガムテープを張ることにしたということか。
被告 その通り。
 検察官 口に張ってそれ以降また張ったか。
被告 そのときだけ。
検察官 遺体の写真にはガムテープが口だけでなく鼻にも張られていたのだが、鼻にも張ったのではないか。
被告 覚えはない。
検察官 怒られるのを防ぐためなら鼻に張る必要はないのでは。
被告 全くその通り。
検察官 最高裁に上申書を提出しましたよね。加藤先生の精神鑑定も受けましたよね。
被告 その通りです。
検察官 上申書、または加藤先生に何と言ったか覚えているか。
被告 この法廷で言ったことがすべて。
検察官 上申書に書いたことや加藤先生、野田先生に言ったことはどうなるのか。
被告 一年を使って記憶を精査したので現時点で答えていることがすべて。
検察官 風呂おけに夕夏ちゃんを置いたことについて野田先生と加藤先生にどう説明したのか。
被告 覚えていない。
<裁判官>
裁判官 弥生さんを通して実母を見ていたと言っているがどんな気持ち、感覚がわいたか。
被告 当時の僕の気持ちは実母が亡くなってから、お母さんを探し求めており、弥生さんを通してお母さんが存在していた。抱きついたことでお母さんを逃したくないという思いがあった。
裁判官 いつからか。
被告 最初玄関で弥生さんが赤ちゃんを抱いているのを見てから段階的に重なっている。
裁判官 その時の気持ちは。
被告 抱きしめたい、甘えたい、頭をなでてほしいという思いがあった。
裁判官 弥生さんを通して実母を感じたのはいつからか。
被告 ペンチを返し「ごくろうさん」というようなことを言われた時、気がゆるんで弥生さんにお母さんを見てしまった。
裁判官 弥生さんに実母をいつまで感じてたか。
被告 遺体の弥生さんを押し入れに入れて閉めた時に全く消えた。視界から消えたという意味で。
裁判官 弥生さんに乱暴した後、押し入れに入れるまでに何かしたか。
被告 何もない。
裁判官 脈の確認とかはしたか。
被告 していない。
裁判官 説明には「生き返ってほしい」と言っているのにどうして確認していないのか。
被告 分からない。
裁判官 姦淫行為後生き返らせようとしたか。
被告 していない。
裁判官 魔界転生はいつ読んだか。
被告 実母の死後。中学生の時。


差し戻し控訴審の第4回公判
 光市母子殺害 「被告パニック状態」 犯罪心理鑑定人が証言
6月28日16時6分配信 産経新聞
 山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が1、2審の無期懲役判決を破棄した元会社員の男性被告(26)=事件当時(18)=に対する差し戻し控訴審の第4回公判が28日午前、広島高裁(楢崎康英裁判長)で始まった。前日に引き続き犯罪心理の鑑定人への弁護側の証人尋問が行われ、「被害者を死亡させた行為では、パニック状態で正常な判断ができなくなっていた」と証言した。
 鑑定人は、被害者の本村弥生さん=当時(23)=に抱きついて抵抗にあった際の被告の心理について、「癒やしてほしいという感情を阻止され、自分勝手に腹を立てた。他者からは理解されない感情だ」と分析。一方で、動かなくなった弥生さんの胸を触るなどの行為については「性的欲求が起きてもおかしくはない。(欲求がなかったという)被告の主張は必ずしも適切ではない」との見方を示した。
 また、被告の更生可能性について「自分を正当化する意識が強く、反省は全く足りない」としながらも、「心から謝罪できるための専門家のサポートが必要だ」と述べた。さらに、山口家裁が作成した被告の調査記録に触れ「調査結果を精査していれば母胎回帰のストーリーが見えてきたはず。なぜきちんと吟味しなかったのか」と、差し戻しまでの審理に対して疑問を投げかけた。
 午後からは、検察側の反対尋問が行われる。
 最終更新:6月28日16時6分
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謝罪の手紙など証拠採用=光市母子殺害、差し戻し審-広島高裁
 6月29日1時31分配信 時事通信
 山口県光市で会社員本村洋さん(31)の妻弥生さん=当時(23)=と長女夕夏ちゃん=同(11カ月)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が一、二審の無期懲役判決を破棄した当時18歳の少年で元会社員の被告(26)に対する差し戻し控訴審第4回公判が28日、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は、犯罪心理鑑定書や、被告が遺族にあてた謝罪の手紙を証拠採用した。
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光母子殺害 弁護側が犯罪心理鑑定で証人尋問
 6月29日9時37分配信 毎日新聞
 山口県光市で99年にあった母子殺害事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の元少年(26)の集中審理3日目が28日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で開かれた。前日に続き、弁護側の依頼で元少年の犯罪心理鑑定をした日本福祉大の加藤幸雄教授の証人 尋問があった。
 1、2審判決によると、元少年は99年4月14日、光市の会社員、本村洋さん(31)方で妻弥生さん(当時23歳)を強姦目的で襲い、首を絞めて殺害。長女夕夏ちゃん(同11カ月)も絞殺した。
 加藤教授は「自我が低下した中で、弥生さんに優しく接してもらい、亡き母のように甘えさせてくれるはずだという強い思いこみが(元少年に)生じた」と分析。一方、動かなくなった弥生さんの体を触ったことについては「母に対する依存感情が性的願望として大きくなっていくことはあり得るので、性的感情が全くなかったという元少年の主張は必ずしも適切ではない」と述べた。この他、1審前の少年鑑別所の記録で「退行した精神状況だった」などと、今回の鑑定と類似した結果が出ていたことも指摘した。
 公判後に記者会見した弁護団は「被告が語った内容で事実関係の一部が明らかにでき、内容は遺体の痕跡とも合致している。今後の裁判で重要な部分が証明されていくだろう」と語った。
 この後、7月24~26日と9月18~20日に集中審理がある。【大沢瑞季、安部拓輝、内田久光】
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「真実明らかに」弁護団会見
 中日新聞 2007/6/29朝刊記事より抜粋
 次回以降は七月二十四日-二十六日と九月十八日-二十日の集中審理で、元少年に犯行前後の心情や状況をただすほか、法医鑑定人らを証人尋問する。
「真実明らかに」弁護団会見
 元少年の弁護団は二十八日、広島市内で記者会見し「まともな裁判の実現の端緒がようやく見えてきた」と評価した。
 この日の公判では、弁護側が申請していた法医鑑定人二人と精神鑑定人の証人尋問を七月に実施することが決まった。安田好弘主任弁護人は「従来の判決は、誤った事実認定の上に立った判断。真実が何か、つぶさに明らかにしていきたい」と話した。
......................


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