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人生いろいろ

2017-01-17 19:32:45 | 読書
今回も、凝り固まった脳をほぐす為の一冊
新年早々、くっついたの離れただのって話もどうかと思うけど
やっぱり、さくさく~っと読めるのが嬉しいですよネ

唯川恵さん「不運な女神」



8つの短編集
男と女の物語、色んなタイプの大人の女性が主役
それぞれの女性が、前作と微妙に絡むから面白い
まるで男運のない女性ばかり、トホホな締めくくりもあるけれど
読み手の今に応じて、それぞれ感じ方も違ってくるんじゃないかなと
世の中には、幸も不幸も入り混じっている、それがごくごく当たり前
ですが、どの幸も不幸も、人それぞれボーダーが違いますもんネ
平凡が一番の幸せなんだと、思えるような一冊です。

「道連れの犬」
人のものを奪えば、我が身もまた同じ目に合う
纏めて言うとそういうお話、え~こんな場面あるかな~って結末
頼子は、浮気相手と駆け落ち、暮らし始めて十年、その彼がいなくなった
自分の時と同じように、他の女性と・・・と思い探し回るが見つからない
そんな時、一本の電話が入り居場所を突き止めるが・・・

「不運な女神」
一話の頼子が、夫の浮気相手と疑ったスナックのママが主人公
夫に先立れた佑子は、その母親と夫の連れ子の娘と三人暮らし
嫌味な姑と懐かない娘、家は姑名義なので自由になることさえ叶わない
一方、妻を亡くした客からのプロポーズを受け、彼女が迷っていた時
娘を引き取りたいと母親からの連絡、佑子の出した結論は・・・

「凪の情景」
主人公は、ママの佑子にプロポーズをした男性の一人娘
再婚に反対したが、結局は断られて落ち込む父に、ホッとする史恵
そんな時、行方不明だった夫の弟が遺体で見つかったと連絡が入る
夫の浮気に悩んでいた史恵だが、病弱で身体の不自由な恭二の
優しさに、いつも救われていた事を思い出していた・・・

「枇杷」
亡くなった恭二の姉、佳奈子が主人公
不倫の末の結婚だったが、夫は女を作って出てゆき別居中
しかし、叔母から夫あてに送られてくる枇杷が今年も送られてきた
食べないのに毎年礼状を書いていた夫、今年はどうすべきか
叔母の家を訪ね分かる事実、送り主は夫の元妻、喜子

「ドール・ハウス」
喜子の隣家に住む、鏡子が主人公
離婚して、娘と共に実家に戻った鏡子は一人で娘を育ててきた
その娘もまた母と同じ道をたどり、離婚寸前で娘を伴って帰ってきた
そして、元教師の鏡子の母親もまた、女手一つで鏡子を育ててきた
4世代、女ばかりの生活に翻弄される中、母がいなくなった
痴呆のある母が向かう先は、嘗ての勤めていた小学校

「桜舞」
鏡子の母が入り込んだ小学校で教師をしていた雅恵が主人公
都内に転勤となった雅恵は、桜の木が気に入ってマンションを購入
ある日、元夫と夫を奪った女の子供が生徒の一人だった事を知る
一方、マンション前に建つという高層マンションの話に気が気ではない
しかも、元夫の家族が買おうとしていると聞き・・・
 
「帰省」
雅恵の隣家に住む、杉江の妹、要子が主人公
美容師になる為に田舎から出てきたものの、いつしか夢は破れ
スナックなどの職を転々としていたが、今は、スーパーの事務をしていた
一人暮らしをする母の病状が良くないから見に行ってと姉から言われて
数年ぶりに帰省した要子だが、老いた母の姿を見て・・・

「彼方より遠く」
要子の働くスーパーの買い物客、由紀江が主人公
結婚するも旨くゆかず、勤め先で出会った男性と駆け落ちし東京へ
クラブに勤めるも、愚図な彼女は一向指名されることも無く、地味な存在
しかし、客の金田の口利きで、高齢なママのいるスナックで手伝いを始めた
客の好みを把握し料理上手、無くてはならない存在になるものの
同棲する男は働きもせず酒浸り、しかも出て行こうとしていた

本のタイトルとなったのが「不運な女神」
確かに夫に先立たれたり、姑や連れ子と旨くいかなかったり
満足のゆく暮らしではないものの、彼女の選んだ道には、優しさや思いやり
暖かな人間味が感じられ、心ほっこりのラストが嬉しいかな

お話に登場する女性達は、確かに不運であるものの
その先の己を見極め、不運から脱して新たに生きて行こうとしているし
前向きな姿を示唆しているので、心ほっとする締めくくりです
色々あってこその成長、人生という名のジェットコースター
さて、私のレールは・・・