亀の川登

難聴に苦しむ男の日記帳。

西王母

2021-01-28 | 写謡
周朝が最も栄えた時の皇帝穆(ぼく)王の所に3千年に一度咲くという桃の花を持ってやってきた人がいた。その名を西王母という。西王母は仙人なかで一番偉い仙人だそう。
その仙人が貢物を持ってくるくらいだからよほど偉いのだろう。
謡を習っている人の中に強吟のところを弱吟調に謡う人がいた。
強吟というのは印象に残りにくく覚えるのが大変なのだ。
謡本は一見して強吟と弱吟の区別がつきにくい。
そこで色分けして見た。黄色が強吟、青が弱吟。色がついていないところは詞といって、普通のセリフで節を付けないで謡う所。
西王母は強吟から始まる。そこで強吟のところを弱吟調で謡って見た。結構謡えるのである。さすがに後半は無理だったが。
「ウ」という符号が入っていると、弱吟。ハネ節が入っている所は強吟と覚える。横にチョンチョンがあるところは節のある所。なにも印がないところは普通のセリフで節を付けないで謡う。
筆で書くと書いてあるそのまま写せばいいが、パソコンに打ち込もうとするとどんな漢字を使うのか分からないと写せない。それですごく勉強をする。
途中で謡っている所が分からなくなることがある。耳が悪くて発音が聞き取れないせいだと思っていたが、写謡をやっていると、それは甘えであると分かった。注意力が足りないのだった。今は途中ではぐれても大丈夫。

謡は五線譜がないので音の高さがよく分からない。謡っている場所だけをみていても謡えないのである。常に先を見ていなければ絶対に謡えない。この後にどんな印が入っているか同時に見ていないと具体的な音の高さが分からない。
謡本の上に小さな文字で謡い方が書いてある。そこに四角で囲んだ部分に「小謡」と書いてある。謡の一部だけ舞う部分だ。その部分をアンダーラインを引いてみた。2本線は「舞囃子」と言って伴奏入りで舞うところである。伴奏(笛、太鼓)が入ると舞が長くなる。
先生がカラオケが得意なので、NHKの歌番組に出たことがあるそうだ。
「歌謡曲と謡とどちらが難しいですか」と司会者に問われた。先生はもちろん「謡の方が難しい」。と答えた所、NHKの方からひどく叱られたという。「歌謡曲の方が難しいといいなさい‼」。と。でも本当にそう思ったそうだ。謡は具体的な印が無いので、習うのは大変なのだ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする