花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

秋の旅行記

2006-11-12 20:16:15 | 海外旅行
旅行に行ってきた。出発前日まで仕事の調整で疲れ果て、往きの飛行機では爆睡状態(笑)。更に、旅行のスケジュールも過密だったし、初日からロスト・バゲージまで勃発!まぁ、以前にも経験はあるので、そこはなんとかのりきったが、旅行後半はかなりの疲労でフラフラ状態。何度か「パトラッシュ…」と溜息ついたりの旅だった(笑)

さて、今回はデュッセルドルフの「CARAVAGGIO展」とボローニャの「アンニバレ・カラッチ展」を中心に、未見のCARAVAGGIOジェノヴァ作品「エッケ・ホモ」とプラート作品「荊冠のキリスト」を攻略する計画だった。





◇デュッセルドルフ
・クンスト・パラスト美術館(museum kunst palast )
 「CARAVAGGIO ―Auf den Spuren eines Genies 展」&「常設展」

「CARAVAGGIO展」では展示模作作品数の多さからも当時のCARAVAGGIO人気を再確認することができた。また、模作と真作の議論が多い故か、なんと専門の調査委員会までできたらしい。まるでレンブラント並のよう?
それから会場でニヤリとしてしまったのは、カピトリーノ「洗礼者ヨハネ」とベルリン「勝ち誇るアモル」が向かい合うように展示されていたこと!♪
また、今更ながら気がついたのはロンドン「エマオの晩餐」のテーブルクロスの織模様と質感!その微妙な反射光の効果に惚れ惚れしてしまった。ちなみに、ミラノで偶然テツィアーノのルーヴル「エマオの晩餐」を再見したが、こちらは一層緻密なダマスク織模様で、CARAVAGGIOはきっとテツィアーノ作品を見ているんじゃないかと思った。
展覧会詳細は後日まとめたい。


◇ジェノヴァ
・パラッツォ・ビアンコ(Palazzo Bianco)
・パラッツォ・ロッソ(Palazzo Rosso)
・パラッツォ・ドーリア・トゥルシ(Palazzo Doria Tursi)
・スピノーラ絵画館(Gallleria Nazionale di Spinola)
・パラッツォ・レアーレ(Palazzo Reale)
・サン・ロレンツォ教会(San Lorenzo)

パラッツォ・ビアンコのCARAVAGGIO「エッケ・ホモ」は観たところナポリ~シチリア時代の作品だろうなぁと思った。俗っぽいモデルのピラトの饒舌さとキリストの沈黙が印象的な作品だ。後ろからマントを被せる若者の背が高すぎるんじゃないかとツッコミを入れたくなったが、構図上こうなるんだよね、きっと(^^;。でも、この若者ってどこにでもいるお兄ちゃん的リアリティがあってCARAVAGGIOらしいと思う。
ところで、ジェノヴァはヴァン・ダイクが留学していた地ということもあり、作品が多く残っており、結構作風の変遷が辿れて興味深かった。また、スルバラン作品なども観られて得した気分♪





◇ボローニャ
・市立考古学博物館(Museo Civico Archeologico)
 「アンニバレ・カラッチ展」
・サン・ペトロニオ聖堂(Basilica di San Petoronio)
・旧ボローニャ大学 図書館(Palazzo della Archiginnasio)
・ボローニャ国立絵画館(Pinacoteca Nazionale)

「カラッチ展」ではCARAVAGGIOが一目置いていた(バリオーネ裁判記録)と会場説明にも書いてあるところがかわいい(笑)。回顧展なのでリアリズムを起点にコレッジオの影響を受けさらに洗練されて行く過程が見て取れて面白かった。風景画も多く描いていたことも意外。クロード・ロランの先駆的役割なのか?また、フレスコ画の素描も展示されていて、できればローマのパラッツォ・ファルネーゼの内部を観たい!>仏蘭西大使館さま
ところで、ボローニャはカラッチ一族とグイド・レーニの出身地だから国立絵画館では両者のかなりでかい展示室があった(笑)。ここでラファエロが観られたこともラッキー♪
ちなみに、国立絵画館のすぐ隣はボローニャ大学(新)で、ロベルト・ロンギもパゾリーニもこの絵画館を度々訪れていただろうし、現在だってウンベルト・エーコとすれ違ってもおかしくないよなぁと感慨深かった。


◇フィレンツェ
・ウフィッツィ美術館(Galleria degli Uffizi)
・サンタ・マリア・ノヴェッラ教会&博物館(Santa Maria Novella & Museo)
・花の聖母教会ドゥーモ(Santa Maria del Fiore)
・ドゥーモ付属博物館(Museo dell Opera di Santa Maria del Fiore)

ウフィッツィは予約していなかったが、朝一番で並んだらすんなり入場できた。CARAVAGGIOの展示室は現在2階に移動になっている(Yさんからの事前情報に感謝!)。「イサクの犠牲」の隣にアルテミシア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユディット」があるというのも刺激的。「メデューサ」はガラスケースに入っていて盾の後ろ側も観られるようになっていた。「バッカス」はぶどう酒の泡立ちに見惚れてしまうほど♪久々の3作品との再会が嬉しかった!


◇プラート
・アルベルティ絵画館(Galleria degli Alberti)

この絵画館が事前予約制だとは知らず、突然訪ねてしまった私は泣きついて特別に拝見させていただいた(館員のみなさまに感謝!)。「荊冠のキリスト」は行った甲斐があったと思ったほどの素晴らしい作品で、スポットライトに浮かび上がるキリストの身体描写には唸るほど!この作品の延長線上にナポリの「キリストの笞打ち」があるのではないかと思った。最盛期らしいオーラを放つ作品である(感涙)。
この絵画館でもう1枚目が釘付けになったのはベッリーニの「磔刑」で、文句なしの質の高さ!


◇ミラノ
・アンブロジアーナ絵画館(Pinacoteca Ambrosiana)
 テツィアーノ作「エマオの晩餐」(ルーヴル美術館)特別展示付

「果物籠」の前でしみじみ見惚れていた。ド・ヘタながら模写までした作品なので、細部の筆致まで確認。思わず葉の上の水滴の数まで数えようとしてしまった(笑)
実は「お絵かき」をした時に、PCでオリジナル画像の背景を塗りこめる実験をしてみた。断然前面の果物籠が浮き立つような効果があり、今回は背景を再度確認しようと思っていた。で、思った通り!時代を経て絵の具がひび割れしているし退色も見受けられるが、完成当時は明褐色の背景がマットに塗りこめられ、果物のリアルな質感は現在以上に驚異であったことは確かだ。なお、背景色(中間色)の重要性についてはゲストの桂田さんのブログで勉強させていただき感謝!

アンブロジアーナでは常設展示絵画の他に版画・素描なども展示しているのだが、今回は「レンブラント版画特集」だった。観ながら、これはゲストのアルブレヒト・ADさん向けだなと思ってしまう(^^)。光と影を銅版画で繊細に表現するレンブラントの試みが線描から強く伝わって来る。レンブラントの版画はまるで絵画を描いているように思える。

さて、今回アンブロジアーナでテツィアーノ「エマオの晩餐」(ルーヴル美術館)に再会できるなんて思ってもいなかった!絵画館所蔵作品との関連でルーヴルから借りたようで儲けものだった♪そのテーマ的にはロンドンNGの「ノリメ・タンゲレ」の方が相応しいと密かに思ったのだが、観る側としてはこちらの方が断然嬉しかった(笑)。ルーヴルではやや上方に展示されていて近づいて観られず、今回は間近で観られたのだった♪


ざっと飛ばし書きしてしまったが、後日、また詳細に触れたいと思っている。それにしても歳を実感、疲れた~!


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れさまでした! (桂田)
2006-11-12 22:44:15
やはり! 秋のご旅行でしたか~。またもトラブルに見舞われたのは御愁傷様でしたが、充実した内容だったようでなによりです。それにしてもまわられた数がスゴいです。旅行記を拝見する度に思うのですが、参りました。
展覧会詳細は後ほどとのことですが、クンスト・パラストのカラヴァッジョとティツィアーノの関係についての花耀亭評に期待大ですっ!
列挙されたなかで特に気になったのはボローニャのカラッチ展で、リアリズムを起点に~というのが興味津々です。あと、プラートの荊冠のキリストがそんなにスバラシイとは・・・またまたいつになるか全く未知数のマイイタリア旅行リストに追加しました。

ところで10日にエリザベス女王が所有していた「聖ペテロと聖アンデレ」がカラヴァッジョ真作だというのが判明したニュースはご存知でしょうか?
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ローマでカラヴァッジョ展?? (アリス)
2006-11-13 10:05:05
こんにちは。以前掲示板のほうに何度かおじゃました
カラヴァッジョおっかけOLアリスです。
掲示板なきあと、どこにコメントしたらいいのかなと
思っていて、ここにたどり着きました。

イギリスで発見されたものが、ローマで展示?される
みたいなんですが、これ以上の詳細をご存知でしたら
教えてください。
テルミニ駅のギャラリーのようです。が11月21日
というところしかわかりませんでした。

http://www.ansa.it/site/notizie/awnplus/cultura/news/2006-11-10_11024655.html

今年の初めにフランスの教会で彼の作品と判明した
絵は
この九月から公開されているみたいですね。
年末の休暇でなんとか行ってみたいと思い、
パリの友人にもリサーチしてもらっているところです。
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さすがです! (Cojico)
2006-11-13 16:34:52
やはりヨーロッパへいらしてたんですね。書かれている順に地図を追っかけてみましたが、これは大変だったでしょう。相変わらず内容の濃い旅行をされていて、感心しました。

カラヴァッジョを核として、謙虚に熱心に深く深く古典西洋美術へ傾倒している花耀亭さんの姿勢に頭が下がります。

プラートでの”泣きついて特別に拝見させていただいた”という箇所では、私も以前同じようにした事があるので笑ってしまいました。エライ!

この報告だけでも十分楽しませていただいたのですが、また詳細を書かれるとの事、首を長くして待っております。

プラートのアルベルティ絵画館はその存在さえ知らなかったのですが、ここには、フィリッポ・リッピの絵も展示されているのでしょうか?いえ、そうでなくても、いつかここへ行き、絶賛の「荊冠のキリスト」を見たいと思いました。
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桂田さん (花耀亭)
2006-11-14 01:00:16
コメントありがとうございます。歳ですねぇ、さすがに疲れてしまいましたよ~(笑)
やはり絵は何度見ても良いものですね。その度に今まで気づかなかった新しい発見があったりします。今回も「エマオの晩餐」のテーブルクロスの他にも色々ありました。後でまとめられると良いのですが(^^ゞ

で、アンニバレ・カラッチのリアリズムにはCARAVAGGIOと共通するものを感じました。特に初期の庶民生活を描写した作品は生き生きとして今でも新鮮です。何でも写生していたという、画家魂を感じますね。CARAVAGGIOとともにバロックを切り開いたもう一人の巨匠に注目しても良さそうです。

プラートもぜひ機会を作って訪ねてくださいませ!でも、ジェノヴァ作品の後に観たので感動が大きくなってしまったかも(^^;;。ぜひ冷静な桂田さんの眼でご覧になったご感想に期待したいです。

それで、「聖ペテロと聖アンデレ」のニュース、ありがとうございます!!
以前、デニス・マーン氏たちが発見したとの報道がありましたが、ようやく真作と世に認められたんですねぇ。実はアリスさんのコメントを拝見し、この時期に再びニュースになるのはローマでの展示に合わせたのかも...なぁんて推測してみたり(^^;;;。このニュースを知っていれば、旅行をずらしていたのに...(涙)
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アリスさん (花耀亭)
2006-11-14 01:32:51
お久しぶりです!新しい掲示板を用意したのですが、なかなか時間が無くてUPできておりませんでした(^^;;;

で、アリスさん、ローマのテルミニ駅での展示情報、ありがとうございました!!11月21日からとは知りませんでした。ううっ、知っていれば...(涙)
でも、アリスさんはしっかりご覧になってくださいね。ご感想をお待ちしております(^^)/
検索してみたら、このローマでの展示の後、ロンドンでも3月から公開されるようです。
http://www.cbc.ca/arts/artdesign/story/2006/11/10/caravaggio-found.html

それから、フランスのCARAVAGGIOも興味津々ですね!全然情報通でない私は皆様に教えていただくばかりでお恥ずかしいです(^^ゞ。アリスさんのお友達情報に期待しております。アリスさん、お互い追っかけに頑張りましょうね(^_-)-☆
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Cojicoさん (花耀亭)
2006-11-14 02:09:27
本当に大変な旅でしたよ~(笑)。いつも観たいものしか考えていないので合理的な旅ができず、困ったものです。でも、充実感だけは味わえますね(^^ゞ

で、Cojicoさんも「泣きつき」経験者でしたかぁ(笑)。後には引けませんし、もうお願いするしか...。ラテン系の方たちは人間的ですよねぇ(^_-)-☆

それから、アルベルティ絵画館にはフィリッポ・リッピ作品もありましたが、プラートのドゥーモにもリッピの素晴らしいフレスコ画があります。ちょうど昼休で聖堂が閉まっており、泣く泣くあきらめました。Cojicoさん、ぜひ機会がありましたら、ちょっと絶賛しすぎの(^^ゞ「荊冠のキリスト」とリッピ作品を訪ねてみてくださませ♪
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ローマっー (アリス)
2006-11-14 21:28:59
管理人さんは、お盆や正月以外にお休みが取れる
みたいなのでうらやましいです。私は料金ピークの
時にしか長期では休めず、なかなか展覧会に合わせて
スケジュールが組めないため、旅行記はうらやましい
限りです!!

ローマの展示は一月末までのようです。
が、このニュースを知ったのはすでにパリ往復
チケット発券済み後・・・なんとかローマまで
日帰りででも行きたいところです。なんて言うと
周りの人々は「それって展覧会見るために
成田~ソウルを日帰りするようなもんじゃない」と
呆れるんですが、でも行きたいスイッチ入ったら
行っちゃいますよね~。
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アリスさん (花耀亭)
2006-11-15 00:58:02
料金ピーク時は確かにキビシイですよね!私の職場はお互いに調整しながら連休を設定できるので恵まれているかもしれません。

>でも行きたいスイッチ入ったら行っちゃいますよね~。

アリスさん、とっても良くわかりますっ!スイッチが入ったら行くしかかりませんよね!!
どうぞ、パリ⇔ローマで、無事テルミニ展をご覧になってきてください。荷物をお友達に預ければ身軽に移動できますよね。

実は私も最初イタリアだけの旅を予定し、チケット予約済みだったのですが、やはりデュッセルドルフ展が見たくなり急遽日程を変更してしまいました。そのために成田→パリ→デュッセルドルフになりロストバゲージ(涙)だったのです。見たいスイッチが入ると、お互いどんなルートでも行っちゃうようですね(笑)

アリスさんがローマとフランスのCARAVAGGIOに会えますよう祈っております(^^)/
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カラッチ展 (いづつや)
2006-11-15 10:47:37
Juneさん、ご無沙汰してます。またまたカラヴァッジョ展をみにヨーロッパですか。羨ましいですね。

頻繁に行われるカラヴァッジョの展覧会をみますと、いかにカラヴァッジョの人気が高いかがうかがえますね。私も4月ローマの教会の前に並ぶ人をみて、それを実感しました。できることならまた、ローマへ行って見逃した作品のフォローをしたいのですが、隣の方の希望もありますので、そうもいきません。

カラッチの絵もいいですね。いつかまとまった数をみたいと思ってるものですから、ボローニャのカラッチ展は興味深々です。

11日の新聞に英王室の物置にカラヴァッジョの絵があったことが報じられましたが、その値段が114億円だそうですね。凄い絵が眠っていたものです。その絵が11/21からローマで開催されるカラヴァッジョ展で公開されるようなのですが、Juneさん詳しい情報を教えてください。
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いづつやさん (花耀亭)
2006-11-16 01:56:31
こちらこそご無沙汰しておりました(^^ゞ
ローマの教会には行列ですか!欧州のCARAVAIO人気は凄いですよね。私も毎年展覧会追っかけるのも大変です(ふぅー...溜息)
で、いづつやさん、いっそのこと奥様をCARAVAGGIO好きにしてしまいましょう(笑)。CARAVAGGIOの素晴らしさをぜひぜひアピールしてさしあげてくださいませ(^_-)-☆

それで、カラッチ展ですがローマにも巡回するようです。カラッチって勉強熱心でとても器用な画家だと思いました。今回の展覧会でイタリア・バロックの二大功労者の作品を観ながら、バロック成立について勉強できたような気がします。
それから、フィレンツェの某レストランで食事してきましたよ。日本では高価過ぎますから(^_-)-☆

さて、ローマのCARAVAGGIO展ですが、私も調べあぐねております(^^;;

ゲストのアリスさんから頂いた情報によると...
 期間:2006年11月21日~2007年1月末
 場所:ローマ テルミニ駅(駅ビル内)

展示内容の詳細については私も良くわかりません。ハンプトンコート作品だけでなく、他の真作提案された作品も展示されるのではないかと推測しています。ローマに行かれる予定のアリスさんレポートに期待しているところです。
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