この表題の本は副題が「日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト」となっています。
苛烈な内容ですが、著者の洞察力の深さと、取材の確かさが随所に垣間見える傑作でした。
明治維新という日本人にとってのもっとも高貴で犯しがたい出来事、アンタッチャブルなこの「明治維新」という観念が最近になって様々な場面で見直されてきていますね。
我々があこがれと羨望を持って接したこの明治維新にまつわる様々な人物や出来事はいわゆる「司馬遼太郎」の幕末ものからなる司馬史観に集約され、同時に大河ドラマに代表されるようなその影響をもって虚と実がまるでこんがらがってしまっているんですね。
例えば「竜馬がいく」の坂本竜馬と実際の坂本龍馬はまったく異なる人間であることとか、司馬遼太郎氏の歴史認識や研究は高く評価していますが、何点かは完全否定しています。
そのひとつが彼の好きな吉田松陰に代表される長州、実はこれがとんでもない間違いだという、この本の主題ともいえる部分は確固たる認識の元に書かれています。
先に「昭和史」という本を読んでいたので、明治から昭和にいたるこの国の破滅的行為の大筋がよく理解できましたね。
うっすらとは思っていましたが著者が説く「官軍教育」を我々はずっと受け続け、歴史の真実からはかけ離れた感の知識を刷り込まれていたのは確かなようです。
まぁ、そんな事もあからさまになってきた現代は少しは進歩しているのかなぁなど穿った感想も持つのですがね。
情報や知識というものの本質の獲得にはまずメデイアというものは頭から信用しないという目線が必要になってきますね。
今でこそ判っていることですが、先の戦争、開戦前の各新聞の過激な啓蒙記事には目を覆いたくなりますものね。
現代でもそういうこと目の前に一杯現れてきていませんか。
酷い、誰が見てもメデイアの政治利用の様な現象どんどん現れていますよね。
今の我々は、インターネットという過去ににないメデイアネットワークで大小様々な溢れる情報、無条件に氾濫する情報の渦の中にいます。
まずはとにかくこれらをしっかりと取捨選択できる普遍の目を養い、同時に正しい正確な情報を得る為の知識や思考を深めることが肝要でしょうね。
そんなこと今更ながらに思いましたよ。
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