神エホバの愛を定義する（その２）

　クリスチャン・ギリシャ語聖書で最も多く用いられているアガペー（Agape)とは、「愛を表わす、考える最も強力な語」と、聖書事典は記していることを先にお伝え致しました。

　アガペーは、原則に導かれた愛を指します。ですから、それは、他の人に対する単なる感情的な反応以上のものです。意味範囲がより広く、より深い考察と熟慮が基盤となっています。何にも増して、アガペーは全く無私のものです。一般にアガペーを「無私の愛」と呼ばれています。例として、ヨハネ３章１６節には、「神（エホバ）は世を深く愛してご自分の独り子（イエス）を与え、だれでも彼（贖いの死を遂げたイエス）に信仰を働かせる者が滅ぼされないで、永遠の命を持てるようにされたからです」（ヨハネ３：１６）。神エホバが独り子イエスを与えるほど深く愛された「世」とは何でしょうか。それは、神エホバが、罪と死から請け戻すことのできる人類一般社会です。その中には、罪深い生き方をしている大勢の人々も含まれます。神エホバはその一人一人を、忠実なアブラハムを愛されたのと同じように、個人的な友として愛されるのでしょうか（ヤコブ２：２３）。そうではありません。しかし、神エホバは、すべての人にご自分の太陽を昇らせ、恵みの雨を降らして愛ある親切の善を施しておられます（マタイ５：４５）。ご自分に大きな代償を求められてもそうされます。すべての人が悔い改め、歩みを神エホバの歩みに合わせるように変化することを願っておられます（ペテロ第二３：６．ミカ６：８）。現在、多くの人たちがそうしており、神エホバはそのような人々をご自分の友として喜んで受け入れておられます。

　しかし、アガペーを誤解する人たちもいます。それが、冷たい理知的な愛を意味する、と考えているのです。ところが実際には、多くの場合、アガペーには温かい個人的な愛情が含まれています。例えば、ヨハネが「父（エホバ）はみ子（イエス）を愛しておられる」と述べた時、アガペーの形態が用いられています。この愛は、温かい親子の愛情の伴う状態を表わしています。イエスが「父（エホバ）は子（イエス）に愛情を持っておられる」と言われたことにも注目してください。そこではフィレオーの変化形が用いられています（ヨハネ３：３５；５：２０）。多くの場合、神エホバの愛には、優しい愛情が含まれているのです。しかし、神エホバの愛は、単なる感情に左右されたりはしません。常に、神エホバの賢明で公正（義）の原則に導かれています。

　神エホバの特質のすべては、真正、完璧、魅力的です。それでも、神エホバの特質の中で最も魅力的なのは愛です。私たちを神エホバに引き寄せる点で、それ以上に強力なものはありません。

　聖書は愛を次のように説明しています。「愛は辛抱強く、また親切です。愛はねたまず、自慢せず、思い上がらず、みだりな振る舞いをせず、自分の利を求めず、刺激されてもいら立ちません。傷つけられてもそれを根に持たず、不義を歓ばないで、真実なことと共に歓びます。すべてのことに耐え、すべてのことを信じ、すべてのことを希望し、すべてのことを忍耐します。愛は決して絶えません。・・・」（コリント第一１３：４～８）。

　嬉しいことに、愛は神エホバの支配的な特質でもあります。どうしてそのように言えるのか、次回に「神は愛である」と、聖書が記していることについてお伝え致します（ヨハネ第一４：８）。引き続きお読み下されば嬉しく思います。

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