「実技・ドローイング時での制作の注意点」
1. ➡ 普通の美大受験予備校では、イーゼルと言う画架にカルトンという木炭紙サイズやB3が使用できる中判ダブル、あるいはB3サイズのベニアパネルに画用紙を水張りして、木炭や鉛筆を使用してデッサンします。そうすると、通常は腕一本離して描くことになります。
※美大入試ではデザイン系はデッサンは、B3イラストレーション(画用紙・ケント紙)が配布され3時間等の制限時間内で制作します。想定デッサンや支給物の構成デッサンや立体構成などが出題されます。東京芸大のように実際の建築物を真冬の屋外でデッサンと水彩着色で正確に描くという、客観的描写が出題される大学もあります。
2. ▶ところが、早稲田建築のAO入試2次ドローイングや一般入試のドローイングなどでは、配布解答用紙がA3サイズであり、さらにその解答用紙が画用紙ではなく、ケント紙です。この意味はとても大きな意味がありますので、基本的な事ですが、前にも何回も注意する事として書いてありますが、再度ここにも述べておきます。
1.まず、サイズがA3で小さい。なぜかと言うとこの解答用紙の下には、原稿用紙のマス目が印刷されています。これは320語です。さらにその下には採点欄と整理番号、受験番号と氏名を記入する欄があります。だから実際にドローイング(想定デッサン)の作画画面はたぶん30×30cmではないかと思います。
※このサイズは私のようなアナログ時代の第一次ベビーブーマー世代には、たぶん同じような忘れられない音楽をプレイヤーで聴いた時の、音楽のジャケットデザインが思い浮かびます。むろん私のように1968年に美大のグラフィックデザイン科に入学した世代では、胸を焦がして当時高いLPレコードをバイトして買ったり失恋時に聴いた一生残る、タイトルもあるでしょう。しかし、それは紛れもないイメージを表現した”貴重な美術・デザイン作品”だったのです。”ジャケ買い”という用語もありました。
3. さて、本題に戻りますが、ここで1つもう1つの問題が隠されています。それは、”受験生が一生懸命描いている画面と、本人の目と解答用紙都の距離の問題があります” 極めて短い制限時間120分で、出題問題への自分なりの解答を320文字で書くこと。それとその意図を”鉛筆と言う描写用具での素描絵(ドローイング・想定デッサン)’では、画面がA3サイズで、ケント紙という鉛筆デッサンではとても描きにくい素材(手の甲でこすれて画面が汚くなります….)と、イーゼルと異なり、机上でのデッサンというか、ドローイングですので、画面と受験生の目の位置がとても近くなります。だから、その場で席を立つ事はできないので、できるだけ自分のドローイングを両手で持ち垂直に立てて、できるだけ離して見てください。
▶そうすると、下記に書きました、
「レオナルド・ダビンチの若い画家へのアドバイス」の意図が理解できると思います。
芸術 : 少し後ろに下がって見るのもいい。
そうすれば絵は小さく見え、一度に見える範囲は広がる。
手足の均整がとれていないことや、
物の調和がとれていないことや、
物の色の調和が悪いこと、などがすぐに
分かるだろう。
➡ 追伸: ずいぶん前に社会人と美大に進学したOB,OGと共に、パリから60kmも離れた17世紀のラレーと言う村の古城に1週間泊まり、さらに離れたジャンヌダルクや、中世がそのままのサンリス村やゴッホのオーベールの教会で有名なオーベール村で、一日、みんなで好きなだけ好きなところで写生を書きました。
高 橋 順 一