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【1102/146:県警機動隊】機動隊1日体験入隊 隊員の熱意に触れる 

2011-02-15 23:50:44 | Weblog
【毎日新聞特集「現場から記者リポート」:機動隊1日体験入隊 隊員の熱意に触れる】

 ◇「実戦でのミス、命にかかわる」厳しい訓練に励む

 水難・山岳救助や大規模デモの鎮圧など、さまざまな現場の最前線で活躍する県警警備部機動隊(大津市御陵町)。このほど報道陣向けに行われた体験入隊に参加し、県民の安全を守るため鍛錬に励む隊員たちの姿を追った。【村山豪】

 県警警備部機動隊は、治安警備や大規模災害時に出動するため組織された部隊で、現在は23~60歳の36人が所属。普段は訓練をこなし、有事に備えている。

 体験入隊は、「機動隊の活動を知ってもらいたい」と、今年初めて開催。訓練の一部を、内容を軽めにして行うもので、参加者は女性記者2人を含む8人。奥村洋和機動隊長から「1日警備部機動隊員」の辞令をもらい、早速「出動服」と呼ばれる服装に着替えた。ヘルメットや靴、鉄の入ったベスト、手足を守る小手とすね当ても合わせると、重さは約10キロになる。着替えてすぐグラウンドへ移動。張りつめた空気の中、訓練が始まった。

 体操を終え、まずはランニング。ただのランニングではない。重さ約7キロ、飛行機の機体にも使われるジュラルミンでできた盾を左手に抱え、「左! 左! 左右!」「いち! いち! いちに!」と大きな号令をかけながら走る。「声が小さい!」「列を乱すな!」。叱咤(しった)されながら、15分で約2キロを走り切った。「村山さん、やりますね」。隊員の声に、左手のしびれを我慢しながら精いっぱいの笑顔を返した。

 続いて「盾操法訓練」。投石や鉄パイプの攻撃を盾で避ける訓練だ。「頭上!」。号令とともに盾を頭上にかざすと、10秒もしないうちに両腕が悲鳴を上げた。事前に見学したデモンストレーションで隊員たちが軽々と盾を操っていたのは、日ごろの訓練の成果なのだと改めて感じた。

 昼食休憩後、今度はロープを使用したレンジャー訓練に移った。高さ約2メートルと、実際(約11メートル)よりかなり低めに張られたロープでも、命綱1本では心細い。ロープにぶら下がり、右足と左足を交互に掛け替えながら、腕力と反動を利用して進む「モンキー」。始める前にレンジャー班の首藤茂樹・総括班長が「きつくて危険な訓練です」と話した通り、頭には血が上り、指も擦れて血がにじんだ。

 それでも、何とか無事に渡り切った。「この高さでは簡単でも、あの高さでは隊員でもなかなか進めませんよ」。そう隊員に言われて見上げると、はるか上空に赤いロープが揺れていた。これが訓練じゃなかったら……。「命を張る」という意味が少しは理解できた気がした。

 最後は、デジタルピストルを使った射撃訓練。10メートル先の的を狙って引き金を引くと、手元のパソコンに点数が出る仕組みだ。5発撃ち、50点満点中19点と、記者8人中3位の成績。過去に国体で入賞した隊員は40点をたたき出した。これまでとは違い、集中力を高める訓練だと感じた。

 終了後、へとへとになって参加した懇親会で、非常食や手作りのみそ汁を食べながら隊員たちと話した。ランニングで横を走ってくれた男性隊員(26)は、「厳しい訓練。嫌になりませんか?」という問いに「実戦では一人がミスをすると、他の隊員の命にかかわる。だから耐えられる」。別の隊員(25)は「初めから機動隊への配属を希望する人は多くない。でも、一度経験したら『また戻りたい』と言う人は多い」と話す。藤本博文副隊長も、4度目の機動隊勤務だ。

 短時間ではあったが、隊員たちの熱い心意気に触れるには十分な時間だった。奥村隊長から「真摯(しんし)な態度で、まじめに取り組んでくれて感心した」という講評もいただいた。今回の貴重な体験を今後の報道に生かしたい。

(2月15日付け毎日新聞・電子版:21日付け朝日・電子版なども報道)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20110215ddlk25040507000c.html

【連帯育む訓練 機動隊パワー/記者1日体験】

(写真:記者もロープ渡りに挑戦した=大津市御陵町)

 暴動の鎮圧や災害救助など、危険性の高い最前線を活躍の場とする「県警機動隊」に記者が1日体験入隊をした。そこには「県民の安全を守る」という強い意志を持って訓練に励む隊員たちの姿があった。(中村亮)

■7キロの盾持ち駆け足・「モンキー渡り」・・・

 8日朝、大津市役所近くにある県警機動隊の庁舎を訪れた。目に入ったのが「祝 一日体験入隊!」と書かれた手作りの横断幕。猛者たちの「歓迎」を想像し、思わず身震いした。

 この日の訓練は報道機関向けで、日ごろ警察を取材している新聞やテレビの記者ら8人が参加。早速、隊員らと同じ出動服に着替えてグラウンドへ出てみると、待っていたのは、重さ約7キロのジュラルミン製の盾を持っての「駆け足」だった。

 かけ声を出し、4人一列で15分間のランニング。少しでも遅れると、後ろから盾でつつかれる。何とか走りきり、へたり込む記者の横で隊員たちは涼しい顔。それもそのはず、「走るのは現場に早く着くためで、機動隊の仕事は走り終わった後にある」と藤本博文副隊長。訓練では1時間以上走ることもあるという。

 続いては「盾操法」。号令に合わせて、全員で一斉に盾を横に構えたり、頭上に掲げたり。隊員らが軽々と操る姿を見て、「これぐらいなら」と思ったのもつかの間、両腕はすぐに悲鳴を上げた。隊員の叱咤(しっ・た)にも思うように動かせない。ちなみに機動隊の基本は「連帯責任」。暴徒に対し、団結しないと自分ばかりか仲間の身にも危険が迫る。全体がそろわないからと、何度もやり直しを命じられた。

 午後からは災害救助のレンジャー体験。高さ11メートルの2本の鉄塔の間に張られたロープを、隊員はこともなげに渡って見せる。記者は2メートルほどの高さに張られたロープで悪戦苦闘。ぶら下がって進む「モンキー渡り」で右足のふくらはぎがつり、あえなくリタイアした。

 県警機動隊は男性ばかり36人。「他府県と比べると小所帯だが、全員がすべてのことをこなし、隊員同士の連帯感も強い」と奥村洋和隊長は胸を張る。体験した訓練以外にも、水中での捜索や爆発物の処理、有毒ガスによるテロへの対応など活動の場は多岐にわたる。訓練中は厳しい言葉を投げかけてきた隊員たちも、終了後は笑顔で接してくれた。爆発物処理を担当する隊員(30)は「現場の連係ミスは県民の危険に直結する。厳しい訓練は隊員同士の強い絆にもつながっている」と話した。機動隊の「強さ」の一端を垣間見ることができた。

 「明日は起き上がれないくらい体が痛いはず。若くない人はあさってかな」と奥村隊長。33歳の記者には見事に2日後、筋肉痛がやってきた。
  ×  ×  ×
 「出動要請は、いつかかるかわからない」。隊員らの言葉を思い起こす「事件」はすぐに起きた。10日午後1時ごろ、甲良町の自動車部品製造会社から「敷地内のフェンスに不審な消火器がある」と通報があった。駆けつけた機動隊爆発物処理班が確認すると爆発物ではなく、普通の消火器だった。大事には至らなかったが、取材した出来事をいつも以上に実感を持って受け止めることができた。

(2月21日付け朝日新聞・電子版)

http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001102210003




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