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因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

中野成樹+フランケンズ、の短々とした仕事3   『夜明け前後』

2008-06-14 | 舞台
*W・サローヤン原作『おーい、救けてくれ!』誤意訳・演出中野成樹 公式サイトはこちら 江古田ストアハウス 公演は16日まで

 演劇上演が最初の約55分で、10分の休憩をはさんで5分くらいの音楽コーナーがある。演劇の後半は乞局の下西啓正によるオリジナル台本部分が上演されるという少々変った構成の公演であった。

  ☆このあたりから未見の方はご注意ですね☆

 中野成樹+フランケンズの舞台に、この1年半あまり夢中で通っている。今回は自分のその気持ちが空回りしてしまったのか、いささか腑に落ちず不完全燃焼であった。原作『おーい、救けてくれ!』に対する中野の思い入れを充分に感じ取ることができなったせいだろうか。舞台半分を覆う五寸釘や、俳優の手によって色調の変る照明、前述の下西台本などが、自分の中で有機的につながっていかない。1時間足らずの上演時間なのに舞台に集中できない。2月の『よくないこと』の記事を読み直すと、舞台そのものよりも日大の教授、学生を巻き込んだ試みについて字数を割いており、やはり自分はこの作品じたいをまだ理解できず、ちゃんと見ていないのであろう。

 オリジナル曲『夜明け前後』は、中野がバイト先で知り合ったという石橋レイの作曲で、舞台上手に数台のキーボードを並べ、フランケンズの面々がそれを弾く、いわば「合奏」形式であった。中野は中央に座って指揮をとる。これは意外な趣向であった。当日リーフレットに石橋レイの文章が掲載されており、「(曲の感想は)人によって全然ちがう感想を持っているんではないでしょーか?だからこの曲のほんとうの姿は僕もわからないんです」とあって、まさにそんな曲であった(って、どんな曲だ)。ふんわりとやわらかで、ちょっととぼけた味わいがある。それを俳優さんが4人で片手ずつ弾いている。これが『夜明け前後』の舞台にとって効果的であるとか、どのような意味があるかとか考えるのは野暮であろう。原作の『おーい、救けてくれ!』のことも、今回中野成樹のしようとしたことも、ほんとうのことはまだまだ自分にはわからないことがよくわかった。続けて何本もみて、何となくわかった気になっていた自分への、「わからないことの自覚」を与えられた時間であったのかもしれない。

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