お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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 ※その2から続きます

表富士自転車登山競走大会2007のコース



 午前10時38分。最初にスタートを切ったエキスパートの人たちから遅れること8分、ようやくUー50のスタートとなった。
 
 「転倒している方がいます! 注意して下さい」。私たちの前にスタートしたMTBが走り出してすぐ、こんなアナウンスがあった。どっと笑いが起こったが、人ごとではなかった。スタート地点は坂道。私の前の人もクリートが入らずフラフラ。おーい、早く行ってくれよー。こっちまでこけちゃうよ。
 
 スタート時の坂道発進の喧噪から抜け出し、さあ! って、みんな速いッス。もう追いつけない。さらに、後ろからどんどん抜かれる。「完走が目標」なんて言いながら、レースが始まっちゃえば、とりあえず前の人とは離れたくない。ちょっと頑張って回そう。
 
 あ~、もう心臓バクバク。息も上がってる。やばい。このペースじゃ、最後まで持たない。ようやく我に返りペースを落とす。でも「はっはっはっはっ」という苦しげな息づかいは変わらない。
 

 スタート直後。みなさん速いッス・・・
 
 集団も落ち着き、私も自分のペースを守って走っていると、今度は段違いのスピードで次々と抜かれ始めた。4分後にスタートしたUー40の人たちだ。ほれぼれするようなスピードに、もう驚くばかり。彼らはここが坂だってことを忘れてるんじゃないか?
 

 霧のなかへ消えていく選手たち
 
 結果的には、西臼塚から高鉢ゲートまでが一番辛かった。周りにあおられたせいもあるのだろうか? 3.5キロが果てしなく遠く感じた。後で計算してみると、この区間の平均勾配はなんと7.4%もあった。苦しくて当然だった。
 
 高鉢ゲートを曲がると、少し平坦になる。ここでこのヒルクライム唯一の時速20キロ台が出た。
 
 高鉢ゲートを入ってからも、次々と抜かれまくった。今度はUー30か。ダンシングでグイグイ上っていく。スタートから5キロ地点あたりでは、sudobanさんに抜かれた。顔を見たら苦しそうだったけど、力強く上ってどんどん私から離れていき、あっという間に視界から消え去った。あ~、これで会えるのは本当に最後だ。
 
 しかし、このあたりから私も徐々にではあるが先行する人たちをとらえて抜くことができるようになった。決してスピードアップしたわけではない。自分のペースで黙々と上っているだけだ。
 
 ただ抜けるのはMTBや小径車、そしてたま~にシニアや女性のローディー。同じカテゴリーの人はなかなか抜けない。
 
 その抜いた中にママチャリがいた。彼女は前カゴにディズニーランドで買ったと思われるポップコーンを入れて上っていた。すごかったなぁ、彼女。
 
 8キロ地点を過ぎるころから周囲に残雪が見えるようになってきて、富士山のヒルクライムだぞ~っという雰囲気をヒシヒシと感じ始めた。
 
 このあたりからは、もう抜かれることもほとんどなく、逆にペースが落ちてきている人たちを抜くケースが多くなった。抜いた人のゼッケンが300番台(Uー40のカテゴリー)だったりすることもあった。もちろん苦しさはあるのだが、不思議とペースを落とさず上れてしまうのだ。自分自身、調子が出てきたと思えるほどだった。
 
 その原因として、後になって考えるといくつか思い当たることがある。
 
 まず、ゴールとなる七曲駐車場までに激坂がなかったこと。傾斜は道志みちのような感じで、ヤビツの蓑毛手前、旧街道の七曲がりのような歩くようなスピードでしか登れない坂はなかった。霧で先の坂が見えなかったことも、気持ちが折れずに済んだ原因かもしれない。
 
 次に、道路規制のためインコースのきつい坂が避けられること。反対車線にはみ出ることは禁止されているが、センターライン付近までは膨らむことができる。私はそれほど速くないにもかかわらず、ほぼセンターライン付近をずっと走っていた。逆にスピードの遅い人たちは左端を走っていたので、疲れは倍増したのではないだろうか?
 
 さらに、ヒルクライムまでにほとんど体力を使っていない。いつも峠に到着するまでに何十キロも走っているのが普通なのだが、この日は体力のすべてをヒルクライムにぶつけることができている。
 
 最後に、前に目標となる人たちがいたこと。これは大きかった。1人で走っていたら、ここまで頑張れなかっただろう。
 
 そうだ。もうひとつ重要な要因があった。沿道に立つスタッフの方たちだ。その声援が萎えそうな気持ちを奮い立たせてくれた。
 
 特に終盤。「あと1キロ! 頑張れ!!」の声は嬉しかった。というのは、距離は11.5キロだと思っていて、声を掛けられる前に見たサイコンの表示が、残りまだ2キロ弱を示していたのだ。「ホント?」 思わず聞き返したよ。
 
 「残り800」。
 「残り500」。
 スタッフの声は神の声だった。
 
 カーブした後の道を見上げる。人の姿が見える。かすかだが、アナウンスの声も聞こえる。ゴールはあそこか! もうちょっとだ。最後の力を振り絞り、並走していた若いローディーを振り切る。
 

 ゴール付近。右側がゴール直後、左側が下山する選手たち
 
 そして歓喜のゴール! なのだが、反対車線には下山を待つ選手であふれかえり、ゴールの先には荷物を探す人の群れ。ゴールの瞬間は「4○○番!」と自分の番号を大声で言われただけで、なんだか雑踏の中へ突っ込んだだけのような感じがして、ちょっと拍子抜けだった。
 
 ゴール後は、心拍数は最高に上がり、葉山国際を上りきった後みたいだった。でも嬉しかった。足つきなしで完走できた!

  ◆サイコンによる記録(ヒルクライムのみ)
       距離 10.91km
       平均時速 11.6km/h
       走行時間 56分06秒
       
 タイムはリザルトを見ないで帰ったので、サイコンのもの。ただし、ゴール後、しばし放心していて止めるのを忘れていたので、もう少し速いかもしれない。でも、タイムなんてどうでもいい。
 
 最後まで霧が晴れることはなかった。雨もポツッとほんの少しだけ落ちた気がした。でも、泣き出すことはなく、気持ちのいいヒルクライムを楽しむことができた。
 
 「完走おめでとう!」。荷物を探し当て自転車のところに戻ろうとしていたら、先着していたバボイさんから祝福された。お互い完走ですねとガッチリ握手。最高に嬉しい瞬間だった。ありがとう、バボイさん!
 

 下山開始。あ、sudobanさんだ!
 
 ゴール地点が変わり、スペースが狭くなったこともあって「ゴールしたらさっさと降りろ」と散々言われていたので、ウインドブレーカー、ネックウオーマーを付け、グローブを厚手のものに変える下山の準備を速攻で行う。気温はそれほど低くなく、寒い感じもしない。これも助かった。
 
 下山を待っていたら「手が冷たくてブレーキが引けない人は、バスの中で休んで下さい」というアナウンスが聞こえてきた。コース途中にはバイクやタクシーの救護車が走り、最後尾には大型バスが回収車として走っていた。ヒルクライムは初めてなので何とも言えないが、運営はしっかりしていた気がする。
 
 下山していると、ママチャリの彼女が立ち漕ぎで必死に上っている姿が目に飛び込んできた。降りているみんなから「頑張れ~」と声がかかる。あの様子だと、きっと彼女は上りきっただろう。たいした根性だ。
 
 下りは200人ずつ、先導車について降りる。私は第2陣。「よくこんな坂を上ったよ」と感慨にふけりながらのんびり降りる。途中、沿道に立っているスタッフの方から「来年も来てね~」なんて声を掛けられる。え? 来年は元に戻って5キロ増えるんでしょ。どうしようかな? でも楽しかったしな~。困ったな。
 

 水ケ塚駐車場・受付前の表彰台にて
 
 高鉢ゲートを左折し、少し上って水ケ塚駐車場へ向かっていると、sudobanさんに三たび出会った。「あと5キロあったら死んでましたね~」なんて話しながら、お互い心地よく降りていく。
 

 みそ汁サービス
 
 受付近くではみそ汁のサービスがあった。え~と、希望を言えばもっと量が多くて熱い方が良かったです。
 

 赤と青のFELT完走! sudobanさんお疲れ様でした
 
 sudobanさんとはここでお別れです。お疲れ様でした。スバルラインも頑張って下さい!
 
 自転車をバラして積み込む。ひと休みしながらリザルトが出るのを待とうと思ったが、なかなか発表されないので、リザルトを見ることなくそのまま帰宅した。御殿場ではまた雨が降っていたが、神奈川に入ると悔しいぐらいの快晴だった。
 
 初めてのヒルクライムレース。タイムは予想もつかなかったので何ともいえないが、雰囲気に乗せられて自分の力以上のものが出た気がする。ヒルクライムは辛いけど、こういうイベントってやっぱり楽しい。
 
 さて、次はどこを上ろうかな?
  
  ◆サイコンによる記録(前日の受付会場への自走+レース当日のスタート地点への移動など含む2日間の合計)
       距離 43.51km

       ※07年の通算 3853.07km
              ロード 2369.85km
              BD-1  1450.55km
              MTB  0036.35km
              
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コメント(11|Trackback()



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コメント
 
 
 
遅くなりましたが (Tony)
2007-04-25 20:41:33
完走おめでとうございます。
膝は大丈夫そうですね。

心から楽しんだ~って感じが伝わってきます。
それにしても、霧のダウンヒルは怖そうっす。
 
 
 
思わず手に汗 (モリ@reonpapa)
2007-04-25 21:49:36
完走おめでとう御座います。
初めてのヒルクライムレース参戦だったのですね。
ちょっと驚きです。

レースの緊迫感が良く伝わってきて思わず自分がエントリーしているレースを想像してしまいました。
僕は6/3に走るのですが、膝の調子も今ひとつで一度もレースを想定して坂を登った事が無いのでちょっと不安を感じているのですが、あまり気負っても仕方ないので、タイムのことなんか考えないで初めてのレースを楽しむ方に気持ちを切り替えて参加してみようと考え直しました。

また来年もエントリーしちゃうんでしょうか(^^)
 
 
 
初ヒルクライムレース (Tak)
2007-04-25 22:34:56
やっぱり緊張しますよね。でもイベントを楽しんだ様子がよく伝わりました。兎に角雨にならなくて良かった。雨の富士山の下りはそれはもう悲惨ですから。
 
 
 
なんだか、楽しそう (ヒロ)
2007-04-25 22:59:09
こんばんは、ヒロです

本当はもっと苦しかったのでしょうけれど
読んでいると、なんだか楽しそうですね。

いけません。ちょっと参加したくなっているかも。(笑)
 
 
 
ありがとうございます! (境川のmasa)
2007-04-26 03:36:01
>Tonyさん
ヒザはまったく気になりませんでした。
あの痛みは何だったんだろうって感じですね。

初めてのヒルクライムだったのですが
Tonyさんみたいに、信じられないスピードで上る人ばっかりでした。
みんな速いッス。困ったもんです(笑)

霧のダウンヒルは幻想的でいいッスよ。
それに対向車は絶対来ないし、前に人が一杯いるのでついていけばいいだけですから。
快適でした。

>モリ@reonpapaさん
ヒザの具合と相談しながら、とにかく自分のペースで上ることかな~と思います。
スバルラインは長いし、きついところもあるので、無理しないで楽しんで来て下さい。
でも、一人じゃなく、周りに一緒に上る仲間がいると思うと、意外と頑張れるもんですよ!
昨年の夏に単独で上ったエントリーがありますのでご参考にでも・・・。
http://blog.goo.ne.jp/imeay1868/e/03571bc10cf4df8b5c5bb5f5842e29a4

で、来年?
きっとエントリーしちゃいそうな気がしてます(笑)

>Takさん
前夜はホテルでやることもなくて10時前には寝たのですが、午前2時に目が覚めてあとは悶々としてました(笑)。もう緊張しまくりでした。

そうそう、昨年の富士ヒルクライムは雨で大変でしたね。
雨にならなくて本当に良かったです。下りも楽しめました。

>ヒロさん
楽しいッスよ!
ゴールした瞬間に、苦しさなんて全部忘れちゃいます。
参加費払って前泊して、走るのはたった11.5キロなんですが、こういうイベントはブルベとはまた違った達成感がありますね。決して上るのが速いとかそういうわけじゃないんですが、ヒルクライムにもはまっちゃいそうです。
長野とか新潟でヒルクライムのイベントはまだまだあります。ぜひ!
 
 
 
お疲れ様でした!! (バボイ)
2007-04-26 07:57:18
いやぁ~、楽しかったですね。あのスタートの前の緊張感は普段では味わえないものですね。
おいらはきっと来年も出るでしょう。しかし、ヒルクライムって正しく自分との戦いだと
再認識しましたし、課題も明確になりました。
また、どこかでご一緒しましょう!!
 
 
 
お疲れ様でした (境川のmasa)
2007-04-26 16:04:57
>バボイさん
会場でお会いできて嬉しかったです。
おまけにゴール後まで!

楽しいレースでしたね。順位は別として(笑)
初めてのヒルクライムレースで、いろいろな方の走りを見て、私も勉強になりました。
6月のスバルラインはブルベとバッティングしたので出場できませんが、きっとまたどこかでご一緒できるでしょう!
 
 
 
おつかれさまでした。 (sudoban)
2007-04-26 20:39:52
おつかれさまでした!
途中の「あと800mです」って、沿道のスタッフから声を掛けられましたけど、あの時点で僕のサイコンでもあと2km弱あったので、あれ~ホント?っておもっていたんですよ。(笑)
楽しかったですね。!
残雪と霧の中、富士を登るなんて経験あまり出来ないですからね~ v(^。^)v
 
 
 
雰囲気 (yuzito)
2007-04-26 23:38:42
 僕は一昨年のMt.富士に参加したのですが、やはり雰囲気のおかげで実力以上の力が発揮できたような気がします。スタッフのサポートや他の方の一生懸命な走りが嬉しかったり感動的だったりして、こういうイベントに出るのって楽しいんだなと心から思いました。
 今回はほんとにお疲れさまでした。masaさんのこの3つのエントリーを読んで、僕もどれかひとつくらいヒルクライムレースにエントリーしておけば良かったって後悔しちゃいました。そういう気にさせられた素晴らしいエントリーでした。
 
 
 
お疲れ様でした! (境川のmasa)
2007-04-27 04:42:09
>sudobanさん
あの「あと800」の声は天使の声でしたね(笑)
あそこから最後の力を振り絞りましたから。

お互い、富士山を満喫しましたね。ホントに楽しかったです。
で、来年も行きますよね。5キロ伸びますが(笑)
 
 
 
雰囲気に乗せられましたね (境川のmasa)
2007-04-27 04:43:01
>yuzitoさん
ひとりで上っていたら、こんなタイムでは上れませんね。
途中で足ついてますね、きっと。
もちろん、ひとりでのんびり上って回りの風景の楽しむっていうのもいいのですが
こういうイベントで走るのも、また違った意味で楽しいですね。
ママチャリに負けるか、って思ったり(笑)

えっと、9月にあざみライン上るイベントがありますよ。
私は行きませんが(笑)、yuzitoさんにはぴったりのヒルクライムかと・・・。
 
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