16(月)、県議会自民党議員団建設部会の一員として、西紀ダム(篠山市)と与布土ダム(朝来市)の視察調査に参加した。自民党議員団では建設部会をはじめ、各部会で政務調査を行っているが、今回は建設部会が2回にわたって実施するダム工事現場の視察調査の一回目だった。
政権交代後、八ツ場ダムに象徴される全国のダム計画の凍結によって、兵庫県内でも与布土ダムなどの工事が、来年度予算がどうなるか分からないということで止まってしまうという事態が起きている。与布土ダムは本体工事の入札が中止(9月10日)となってしまった。すでに工事が進められつつあるダムが建設途中でストップするという異常事態は、八ツ場ダム建設に関する連日のテレビ報道などで国民の大きな関心事となっているが、県内のこうした事例を現地調査によって実態を把握しようとしたものだ。
西紀ダムは京都府との境に近い篠山市栗柄の滝の尻川(由良川水系)に建設されている。目的は洪水調節と水道用水の確保、農業用水の安定化などで、地元ではこれまでにも度重なる洪水被害にあっており、またダム完成を前提にした水道施設工事もほぼ完了していることから、あとはダム本体工事に入るのみという状態だった。地元の区長さんや地権者の方からダム建設への強い願いを聞かせていただいた。また、地元篠山市選出の小西議員や下流域にあたる丹波市選出の石川議員からもダムがなければ、河川改修工事を行わなければならず、ダム建設以上の金がかかってしまう、などの指摘も出された。
与布土ダムは、円山川支流の与布土川上流に建設中のダムで、総工費約120億円で、平成25年度完成の予定。説明の行われるダム本体建設現場まで急流に沿って狭い道路をのぼっていった。地元の与布土では、これまで度重なる洪水で家屋や橋梁、耕地の流失などの大きな被害にあっており、そうした洪水調節と水道水や農業用水などを安定的に確保する渇水対策を目的とするダムである。現場には多くの地元住民の皆さんも立ち会われ、地元の強い思い、願いを聞かせていただいた。ダム建設の必要性については地元の一致した意見であり、「ダムは要らない」(10月末に現地視察した県会みどりの風と大学名誉教授ら)といった無知、無責任、地元無視の意見や見解に対しては「ええかげんにせえよ」「ここに10年住んでからものを言え」といった怒り、憤りの声も聞いた。ダム建設はまさに地元住民の切実な声、念願なのである。
西紀、与布土の両ダムともすでに工事は40数%進捗しており、どちらもダム本体工事にとりかかる段階にある。ここで工事がストップしてしまうこと自体、洪水や渇水に対する地元住民の安全、安心が確保できないことになるばかりか、これまでの長い年月にわたるダム建設までの努力が報われず切り捨てられてしまうことになる。
与布土ダム現場では、部会の田中議員や黒川副部会長、地元選出の藤本議員からもダム建設に向けた強い意見が出された。説明を受けたあと、工事現場を視察しながら地元の方々の声を聞くこともできた。この思いはやはり現地でしか実感できないものだった。9月定例県議会でもわが会派の長岡議員(赤穂市・赤穂郡)が千種川支流の鞍居川に建設される金出地(かなぢ)ダム建設について、さらに決算特別委員会では山本議員(建設部会長、高砂市)が与布土ダム建設について建設継続、早期完成を強く訴えている。