1.5億円。その重さ15キロ。そして1億円拾得事件を考え、民主主義を考える

2021-05-19 14:18:46 | 日記
 一億円拾得事件というものがあった。1980年4月25日、東京都中央区銀座で一般人が1億円を拾った事件であり、今もってお金の落とし主は不明のままとなっている。このことが全国に報道され、拾った本人は一躍時の人になった。一方で、自宅には電話や手紙が殺到し、脅迫も受けたため警備員を雇って11日間自宅を警備したというとまであったことを記憶している人少なくなったと思う。
 では1億円とはどれだけのものか。ある銀行が「1億円とはどれだけのものなのか。お金を価値を考えてみよう」というイベントを企画し、子どもたちにその束を持たせてみた。重さは約10キログラム、その重さに驚いている子どもたちの映像も流れたことがある。

 さて、ここで取り上げるのは1億5000万円である。銀座で拾得した金額の1・5倍である。大型選挙違反事件として、広島県選挙区の河井克行元法相と、その妻の河井案里元参議員の検挙とその裁判をめぐる中で当時の自民党本部より1.5億円の資金がわたされたことが公判の中でも取り上げられた。それは国民の、とりわけ広島県民の不信と大きないかりとなって今日まで続いている。
 そして、河井案里氏は有罪判決を受け失職、さらに夫・河井克行氏も有罪の判決が想定されている中で、あらためて1.5億円の資金拠出をめぐる自民党内部の恥部が報道されている。

 自民党の二階俊博幹事長は5月18日午前の記者会見で、令和元年の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、有罪が確定した河井案里元参院議員陣営に対する1億5千万円の資金提供の関与について、自からの関与をあらためて否定したことについて報じられている。そして「党全般の責任は私にあることは当然だが、個別の選挙区の選挙戦略や支援方針はそれぞれの担当が行っている。私は関係ない」と。それに対し、現地自民党広島県連からは説明責任を果たすよう二階氏に求めたばかりであり、批判が噴出したと報じられている。事件の総括をめぐる党内のすきま風が強まっている。                                     
                       (5月18日・朝日新聞)

 さらに問題の支出については、17日に関与を否定した二階氏側は広島選挙区の担当者として当時の甘利明選対委員長の名前を挙げている。その甘利氏は18日、国会内で記者団に「1ミリも関わっていない。もっと正確に言えば1ミクロンも関わっていない」と言い切った。          
          (5月18日・20時35分配信・時事ドットコムニュース)

 では金庫を開けたのは誰なのだろうか。
 小さいときに「講談の本」が好きであった。その中の一つに石川五右衛門がある。五右衛門はある夜、聚楽第の太閤秀吉の寝所へ忍び込んで盗もうとしたのが「千鳥の香炉」である。五右衛門がまさに忍び寄らんとしたときに、この香炉が鳴り出して五右衛門は捕らえられたくだりがある。
 「講談者、見てきたようにものを言い」ということが言われているが、大泥棒とは言え、どう考えても「時の大御所」の寝所までたどり着くとは思われない。
 そんなことを考えて、自民党内の内紛を見るのだが、こと「選挙違反」とのかかわりを考えると、それは民主主義の骨幹を否定するものであり、「自民党お家問題」と見るわけにはいかない。その1.5億円という巨額なお金が、自民党への精助成金であるとすればまさに国民の血税である。
 「それは自民党内部の紛争でしょう。どうぞ勝手に争っていてください」というわけにはいかない。
 「桜を見る会」しかり、「森友学園問題」しかり、政治に金銭に絡むものであり、もみ消さないで欲しい。そして国民の前に明らかにしてほしいものである。


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