語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【選挙】【原発】維持にうごめく種岡成一・電力総連会長

2012年12月12日 | 社会
 (1)連合(会長:古賀伸明)は、解散発言の翌日、11月15日、民主党と「国政選挙に向けた連合と民主党の政策協定」を締結し、民主党支援を確認した。協定は、原発政策について次のように記す。
 <原子力エネルギーに代わるエネルギー源の確保、再生可能エネルギーの積極推進および省エネの推進を前提として、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減していき、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会を目指していく。>

 (2)連合は、労働組合だが、被曝労働者を生む原発を推進する立場にあった。その自己批判はいまだにないが、今年9月、「脱原発依存」をめざす方針を打ち出した。
 しかし、その方針も今回の政策協定も、いつ原発をゼロにするのか、あるいは原発を残すのか判然としない。玉虫色だ。
 連合内部では、原発問題については真っ二つに割れていた。中央執行委員会でも議論しにくかったらしい。野田内閣で「2030年代に原発稼働をゼロにする」という見解が出て、やっと合意に至った。【元連合系労組幹部】

 (3)連合は、方向性の違う2つの労組が一緒になってできた組織だ。
   (a)旧総評系・・・・永年、反原発運動を支援してきた。原水爆禁止日本国民会議を戦後長らく支援してきたのは旧総評だ。
   (b)旧同盟系・・・・原発を推進してきた。わけても、原発推進に力を入れているのが、電力会社の労働組合、電力総連(会長:種岡成一)だ。東京電力労働組合執行委員長などは、原発事故後に脱原発を掲げる議員を「裏切り者」と非難した。
 
 (4)連合で一応「脱原発依存」の方針が決定された今でも、電力会社労組では、政策協定の中に原発推進の内容を盛り込んでいるところもある。
 民主党議員は、労組依存度が高い。
 近畿地方選出のある候補者は、今回、(3)-(a)の労組と脱原発をめざす政策協定を交わしながら、一方で電力会社労組と原発推進の協定を結んでいる。

 (5)民主党内で原発ゼロをめざす議員の中には、今回の選挙で電力労組の支援をあえて受けない候補者もいる。
   (a)古川元久・前国家戦略担当大臣・・・・愛知県選出。中部電力労組からの推薦を辞退した。
   (b)脱原発を掲げ、電力労組からの推薦を辞退する民主党の候補者は、他にもいる。「脱原発法制定全国ネットワーク」【注】が議員会館で開いた院内集会では、電力労組からの原発推進「圧力」の具体的な報告が相次いだ。
 電力労組から推薦をもらう際に交わす政策協定には、原発推進が明記されている。それでは原発に反対することができない。仮に支援を要請して、対面で協定の文言に反対しては喧嘩になってしまうから、辞退した人はいるようだ。【民主党関係者】

 (6)甚大な被害を出しながら、原発推進をやめない労働組合は、働く者をどうやって守るのか。

 【注】「脱原発法制定全国ネットワーク

 以上、村上力(ジャーナリスト)「労働組合にもかかわらず原発維持にうごめく種岡成一会長」(「週刊金曜日」2012年12月7日号)に拠る。

 【参考】
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【選挙】安倍晋三の軽佻浮薄と無定見 ~経済政策~
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