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平成24年7月1日育児・介護休業法全面施行 増加している労使トラブル

2012-06-05 17:50:54 | Weblog
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5月31日 厚生労働省は、平成23年度に都道府県労働局雇用均等室で取り扱った
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談と、
紛争解決の援助申立・調停申請の受理状況について取りまとめました。

その結果、平成23年度に労働者や事業主などから雇用均等室に寄せられた相談は 計10万8,575件
改正育児・介護休業法が施行された平成22年度に比べ、事業主からの相談が減少したものの、
依然として10万件を超える相談が寄せられています。

3法(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法)に関連する労働者と事業主のトラブル(紛争)
については、それぞれの法律に基づく都道府県労働局長による紛争解決の「援助」や、
調停会議による「調停」の対象となります。
これが、平成23年度、申立・申請受理件数は合わせて1,025件で、前年度より69件増え、
初めて1千件を超えました。

詳細はこちらから
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002bvc9-att/2r9852000002bvdq.pdf

育児・介護休業法は、男女共に子育てや介護をしながら働き続けることができる雇用環境を拡充するため、
育児・介護休業法が改正され、平成22年6月30日施行されました。

都道府県労働局雇用均等室で取り扱った育児・介護休業法に関する相談件数は76,918件で、
うち労働者からは10,415件でした。
上記でも述べたように、全体の件数は平成22年よりも減少しているものの
育児・介護休業法に関する相談件数は前年度(10,193件)より増加しています。
労働者からの相談内容では、育児関係では育児休業に係る不利益取扱いが1,444件と
前年度に引き続き最も多くなっています。

いよいよ、従業員数100人以下の事業主においては、これまでその中の一部の適用が猶予されてきた
育児・介護休業法が、平成24年7月1日から全面適用となります。
7月に全面適用となる制度の概要について見ていきます。

(1)全面適用となる制度の概要
 従業員数100人以下の事業主にも、以下の3つの制度が適用になります。
1. 短時間勤務制度(育児)
3歳未満の子を養育する従業員が希望した場合に、1日の労働時間を原則として6時間とする
短時間勤務を認める制度

2. 所定外労働の制限(育児)
3歳未満の子を養育する従業員が申し出た場合に、所定労働時間を超えて勤務させることができない制度

3. 介護休暇
要介護状態の家族の介護やその他の世話を行う従業員が申し出た場合に休暇を付与する制度
なお、休暇の日数は要介護状態の家族が1人であれば年に5日、2人以上であれば年に10日。
1日単位で休暇を取得することができる。

(2)施行前に行っておくべき事項
労働時間や休暇に関わるものであることから、
 制度を利用できる従業員の範囲
 利用した場合の給与の取り扱い
 利用する際の手続き
これらを就業規則等に記載をしておく必要があります。
厚生労働省の規定例(簡易版)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/03.pdf

(3)労使協定を締結することで、一部の従業員を制度の対象から除外することができます。
日々雇用される者が対象外となるほか、1については
1日の所定労働時間が6時間以下の者以外、すべての従業員がその対象となります。

●労使協定を締結することにより、対象外とすることができる従業員
1)短時間勤務制度(育児)の適用除外とすることができる従業員
 A  勤続年数が1年未満の従業員
 B  1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
 C  業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と
   認められる業務に従事する従業員
 ※ただし、このCに該当する従業員を適用除外とする場合は、代替措置として以下のうちの
いずれかの制度を講じる必要があります。
(a) 育児休業に関する制度に準ずる措置
(b) フレックスタイム制度
(c) 始業・終業時間の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)
(d) 従業員の3 歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

2) 所定外労働の制限(育児)の適用除外とすることができる従業員
 A  勤続年数が1年未満の従業員
 B   1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

3) 介護休暇の適用除外とすることができる従業員
 A  勤続年数が6ヵ月未満の従業員
 B  1週間の所定労働日数が2日以下の従業員


平成4年4月1日にスタートした育児・介護休業法もこの4月で施行から20年を迎えました。
規定の整備率も上昇し、女性の取得率に関しては49.1%(平成8年)から87.8%(平成23年)と
著しい上昇を見せています。

しかしながら、今回適用となる短時間勤務制度(育児)などは、従業員にとって多様な働き方を実現
することが可能な半面、従業員100人以下の企業にとっては大きな負担になる場合も少なくありません。
労使トラブルがさらに増加することも懸念されます。
今からでも、制度の内容を十分に理解し、準備を整えておくことが重要です。

厚生労働省パンフレット
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h23_9.pdf

鈴木社会保険労務士事務所