幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 解体

2012-05-23 05:38:50 | Weblog

 
 
  有機的統一がバラバラ
 
  目もあるし鼻もあるし脳もある
 
  でも、なにものも、僕が作ったんじぁない
 
  今まで気付かなかったけど
 
  気付くと、根底から解体する
 
  バラバラに崩壊する
 
  意味も、認識も、表象も
 
  既存の信念体系だった限界
 
  花も、空も、トカゲも
 
  本来は名付け得ず
 
  常識的には存在しない
 
  とてつもなく、あり得ない体で存在している
 
  人間の認識の範疇を遙かに逸脱して
 
  自律している
 
  願わくば
 
  もう僕には
 
  美しかない
 
  美の倫理に従って僕は生きる
 
  それは、この世の倫理に死ぬことである
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 詩を書く

2012-05-23 05:37:05 | Weblog

 
 
  詩人なんていう人間はどこにもいないのは、この僕が一番よく分かっているけど
 
  僕は詩人だから
  詩を書く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 在ることの意味

2012-05-13 04:35:45 | Weblog

 
 
  数学の、閉じた系の中で、
 
  自己言及している命題が無限にループしながら
 
  その系の外に
 
  意味を求めているとき
 
 
  ある意味
 
  なにもかもが無意味になって
 
  ただ、本能だけが最後に残った拠り所となって
 
  ある意味
 
  ロボトミーのオートマンとなったとき
 
 

  ぼくの思念は
 
  記憶から意味を紡ぎ出すことを拒否し
 
  逆に
 
  自由落下する虚無から
 
  認識を可能にする光を
 
  見出そうとして
 
 

  加速度と供に
 
  落下しながら
 
  あるいは
 
  上昇しながら
  
 

  まばゆいイメージの外に
 
  輝く光彩の外縁で
 
 

  もがきながら
 
 

  「あなたは此処に来た」という
 
  神託を聞くまぼろし
 
  うなされて、癒されて
 
 
 
  神秘が神秘のまま生まれて
 
  だれにも理解されないまま
 
  そこに、紛れもなく、在ることを
 
  自らの中に、自らに似たものとして在ることを
 
  はっきりと知る
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 すべて想定されていた

2012-05-13 01:25:45 | Weblog

 
 
  Aが死んで
  Bが死んで
  Cが死ぬ
 
  昨日は温泉に行き
  今日は散髪に行き
  明日は教会に行く
 
  そんな幸福なことはないように思われるけど
 
  ぼくは
  祈ればかなえてくれる神など
  信じてないし
  まったく誤謬のない聖書など
  信じてもいない
 
  ブッダも
  悟りもニルバーナもサマーディも
  だれかが達成した最高の境地など
  今のぼくには関係ない
 
  もちろんぼくだって
  現状に満足しているわけじゃないし
  今日が最高だったなんて思わないけど
  明日なにするか
  なにを考えるかなんて
  知りやしないし
  知りたくもない
 
  それなのに明日はまだ来ぬ未知ではなく
  だいたい想像できること自体が悲劇なんだ
  どんなに奇抜なことでさえ
  想定の範囲内だ
 
  ぼくには
  想定していなかったなんて言えることが
  ひとつもないことこそが悲劇なのだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 夜空の星

2012-05-11 02:04:00 | Weblog

 
 
  夜空の星は
 
  何万光年も彼方の巨大な恒星の光だと思っていたが、
  そうじゃなかった
 
  夜空に輝く光の点々は
  ただの、天球に描かれたいたずら描きだったのだ
 
  その証拠に
  夜空に輝く光の点は
  じっと天球に張り付いたまま動かない
 
  もし、あれが遠くの恒星なら
  きっと地面に落ちてくるはずだ
 
  同じ形のまま動かないはずがない

  何十年も
  ぼくが死ぬまで動かないはずがない