幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 長髪の詩人

2010-01-27 01:57:45 | Weblog

 
 
 長髪の詩人が歩いてくる
 
 なにを考えているのかわからない
 
 たぶんなにか考えているんだろう
 
 眠そうな目をしている
 
 夢でも見ているのだろうか
 
 近寄らない方がいい
 
 近寄らない方がいい
 
 
 
 小鳥に歌いかけている
 
 無邪気に子供っぽく
 
 それが不気味だ
 
 大の大人が
 
 小鳥に歌いかけている
 
 小鳥に歌いかけている
 
 
 
 評論家を罵倒している
 
 評論家は今にも泣きだしそうだ
 
 大声で怒鳴りつけている
 
 そこまでやることはないのに
 
 そこまでやることはないのに
 
 
 
 大声で笑っている
 
 歯並びの悪い歯
 
 歯並びの悪い歯
 
 
 
 裸になっている
 
 踊り出すのだろうか
 
 踊り出すのだろうか
 
 
 
 近寄らない方がいい
 
 近寄らない方がいい
 
 
 
 長髪の詩人が通り過ぎる
 
 
 
 もう二度と戻って来ない
 
 戻って来ない
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 

 流星の雨

2010-01-11 15:39:50 | Weblog

 
 
 どういうことか
 
 まったくけんとうもつかない
 
  
 モーテルのコインランドリーで
 
 白いスニーカー洗ってたら
 
 あっちから歩いてきたのは
 
 見るもスリムな白い宝石
 
 
 今日がなんの日だか知ってる?
 
 しし座流星群の日
 
 あたしと見る?
 
 って本当の話?
 
 
 背がぼくより高いから
 
 180位あるんじゃないか
 
 デカすぎるけど
 
 悪い気はしない
 
 ここはカリフォルニアだから
 
 たしか
 
 ハリウッドも近いんだったよね
 
 彼女、行けばいいのに
 
 きっと目立つよ
 
 少なくともぼく一人は
 
 ファンになるよ
 
 
 モーテルの広場に夕陽が射して
 
 埃っぽい匂いがしてくると
 
 空が紫とオレンジを混ぜたジュースみたいに輝いて
 
 彼女は遠くを見る目をして
 
 カッコいいなって思った
 
 
 ぼくなんて目じゃないってことくらいわかるけど
 
 どうして声かけてくるんだよ
 
 男の仲間がいて
 
 カツアゲするつもり?
 
 それでもOK
 
 だってぼくは無一文
 
 このモーテル代で使い果たした
 
 明日はヒッチハイクするつもり
 
 明日はヒッチハイクするつもり
 
 
 ぼくの部屋?
 
 そうだね、もうすぐ洗濯も洗い上がるしね
 
 きみは何を洗っているの?
 
 おっと失礼
 
 そんなこと聞いたらダメだよね
 
 
 ぼくの部屋に来たってなんにもないよ
 
 もちろんモーテルの部屋だから
 
 たぶん、きみの部屋と同じはずだよ
 
 ところできみは誰と泊ってるの?
 
 女友達? 家族? それとも彼氏?
 
 ああごめん
 
 そんなこと訊いたらプライヴェート侵害だよね
 
 
 ねえ、もう洗い上がったみたいだよ
 
 行かなくていいの?
 
 きみの部屋に
 
 え?
 
 何か食べに行くって?
 
 この辺になにかあるの?
 
 こんな砂漠の真ん中に
 
 
 おいしいハンバーガー食べさせてくれる店までドライヴ
 
 きみが運転するの?
 
 あのキャデラック
 
 
 そんなに脚が長いなんて
 
 そんなに髪が金色なんて
 
 そんなにいい匂いがするなんて
 
 ぼくはもう我慢できないよ
 
 もう我慢できないよ
 
 
 ストップ、ストップ
 
 ねえちょっと路肩に止めてよ!
 
 だって走りながらじゃ危ないだろ
 
 いくら誰も走ってない道だからって
 
 
 誰も走ってない道
 
 誰も走ってない道
 
 
 きみの肩ってすべすべの水晶玉みたい
 
 きっと未来が映っている
 
 きっと未来が映っている
 
 
 だれがきみを
 
 
 だれがきみを
 
 
 ぼくじゃだめ?
 
 もしもキスしたいって言ったら
 
 Yes or No ?
 
 Yes or No ?
 
 
 
 空に雨が降っている
 
 光の雨
 
 まるできみの魅力が
 
 夜空から降り注いでるみたい
 
 あれが流星?
 
 それともきみの涙?
 
 それともきみの汗?
 
 
 
 空に雨が降っている
 
 光の雨
 
 まるできみの魅力が
 
 夜空から降り注いでるみたい
 
 
 
 ぼくはそれを受け止める
 
 ぼくはそれを受け止める
 
 ぼくは窒息しそう
 
 ああ、窒息しそう
 
 激しく降る雨
 
 流星の雨
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 意味もないのに大切なこと

2010-01-05 22:04:19 | Weblog

 
 
 たまにはわけもわからずゆくえをくらませて
 
 まるであのよにきえたよに
 
 あなたのへやにあらわれて
 
 いきなりきすして
 
 おどろくかおがみてみたい
 
 
 
 もしいま
 
 あのおおきなみずうみのちゅうしんで
 
 そこにしずんでしまったら
 
 あなたのおもいをひとりじめ
 
 できるなら
 
 かみにいのるくらいおもわれて
 
 おもわれておもわれて
 
 
 
 いまどこ?
 
 ぼくはここ
 
 いつもここ
 
 いつも いま ぼくがいるところ
 
 そこから脱け出すこともできずに
 
 
  
 しってる
 
 あなたのこと
 
 わらう
 
 なぜわらうか
 
 しってるから
 
 わらっていてほしいから
 
 おどろかす
 
 おどろいたまるいめ
 
 みたいから
 
 
 
 オワラナイ
 
 オワナライヨルダカラ
 
 ヨゾラノ
 
 テンタイノ カイテンモ
 
 トマッテル
 
 ソンナヨルダカラ
 
 マドカラソトヲミルト
 
 ウタイタクナル
 
  
 いみもないのに
 
 
 イミモナイノニ