幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

これから話すこと

2014-05-29 01:29:23 | Weblog

あなたは頭がいいから

僕が話すことも理解できるだろう

僕は死神に取り憑かれていた

今でも完全には回復していないから

こんなざまだ

でも、話を聞いてくれて感謝するよ

他の、例えば、あの女なら

こんな話をしたら笑い出すだろう

あの女には、リアリティがないから

笑うことができるんだ

でも、もし本当に理解したら涙しか出てこないだろう

ところで、僕は怠惰なんだ

恐ろしく怠惰だから

わざわざこんな作り話

作ることなんて面倒でやりゃしないよ

ただ、夏になれば蝉が鳴き出すようにも

当たり前のことなんだ

そんなことにも気づかないから

あなたにだけは話しをするんだ

あなたは賢いからね









この世の終わり

2014-05-29 00:59:33 | Weblog

この世が終わるって?

俺には、もうとっくに終わってるよ

もう何千回も!


この世の日常は

すでに終わった地獄の沙汰だ

それを天国に変えようとしても

できるのは気分だけ

そんな気分になって

自分をごまかせるだけ


だったら、ありのままの地獄を見て

これは、少なくても、天国じゃないと

正直になることから始めるべきだ


少なくても、ここは地獄で、天国じゃない

そのくらいのこと

ハエくらいの脳味噌があればわかること


ハエは、汚物に群れる

腐ったものを貪る

ハエくらい正直な奴はいない


だから、ハエは、

この世が終わった後の世にもいるし

まだ終わらない世界にもうようよしている


何千回、何万回も

もう既に

常に

この世は、終わり続けている


終わる世界にフォーカスするのだ

始まる世界にではなく


そうすれば

ハエか幽霊くらいには

賢くなれるだろう






















死に損ない

2014-05-29 00:42:27 | Weblog

彼は病気だ

もう助からない

金もないのに

あんなに大きな仏壇買ったから

そこに入るはめになったんだろう


あの男、何かに取り憑かれている

それが、俺にも乗り移ったのか

最近いいことがない


死ぬ前にAVが見たいんだって

身分証も持ってないくせに

どこのレンタルビデオ屋でも

貸してくれないのは当たり前だ

だから俺に借りに行ってきてくれと言う

死に損ないが!


人生の終わりに

あんな醜態さらしたくはないと

俺はつくづく思った














思い出

2014-05-27 01:31:26 | Weblog

思い出は追いかけて来ない

待ってても追いつけない

だから走っても迷い子になってしまうだけ

ただ過去からやって来て

ぼくを何処かわからないところに連れて行く

それまで静かに待っているしかない

今まで一度も喋ったことのない少年が

急に饒舌になったように

おもむろに裏路地にぼくを誘い

どうなるのか見ている

じっと突っ立ったまま

そのときぼくは思い出したよ

あの二人組の少女

夜汽車に乗ってやって来た

でもぼくは黙っていた

太陽が地平線の向こうに沈んでいったから

夜汽車が

思い出のように走ってきたんだよ












666

2014-05-27 00:29:01 | Weblog

6の6乗

車のナンバー

ぼくの髪の毛

脳は既に壊れてしまった

スマホの光で

眠剤飲んでも

不眠症

僕が高原に住んでいた頃

川は流れ

木立は揺れていた

6の6乗の6乗

仏教経典

ぼくの身体

頭は既に壊れてしまった

耳に付けたスピーカーで

眠剤飲んでも

不眠症

ぼくが山に住んでいた頃

風は唸り

夜は暗かった

6 6 6

あの人は役者であの人と本当は同じ

あの人はキチガイで

本当は、二番目か三番目

一番にはなれない

葬式にかける曲が決まった

ビートルズのヤーブルース

だれでも猿を飼っている

頭の中に隠しているけど

裏が表になって

大量逮捕に大量死刑だ

宇宙人は三人いる

化け物と美人と人形だ

セクシーな宇宙人は

姿を現さない

だから、ああ、あ、あ、あ


The back becomes the face and

It is the mass death penalties for an arrest in large quantities

There are three aliens

It is a doll with a monster and a beautiful woman

A sexy alien

She does not appear

Therefore is like that;, oh,A,A,A



アレ

2014-05-27 00:20:25 | Weblog

やっぱりアレだな

アレしかないよ

今、僕に必要なのはアレ

アレしかないよ

アレだよアレ

After all it is that

There is only that

It is that that is necessary for me now

There is only that

That is that

無価値

2014-05-27 00:06:01 | Weblog

自分は無価値だ

自己啓発セミナーに行ったって

無価値な自分は、無価値な自分のままだ

その理由くらいよく知っているよ

金を持ってないんだ

無一文なんだよ

だから俺は

誰からも相手にされない

無価値なんだ

俺自身が

無一文なんだよ

こんな人間に誰が寄り付いて来る?

誰もいやしないよ











でも

2014-05-26 00:16:46 | Weblog

ぼくには、帰る家も寝る所もなかった

父も母もいなかった

手を差しのばしてくれる人も…

だから、デザートなんかもちろん食べたこともないし

デパートにだって行ったことはなかった

デートだってしたこともないし

でも、デカダンスを決め込んでいたわけではなくて

ただ、何も出来なかっただけ

でも、反社会的でもなかったから

デモに参加しようと思ったこともない

そんな僕と、

ほんの少しだけでも付き合ってくれて、

ありがとう

でも…






海辺

2014-05-24 01:31:07 | Weblog

海辺に来ています

夜中の浜辺です

波が打ち寄せては引いていきます

風が吹いています

ごうごうと音がします

それ以外何も聞こえません

砂に足が埋ります

波に引かれていきそうです

忘れています

あなたのことも私のことも

でも本当は忘れていません

あなたのことも私のことも

そろそろ行こうかと思います

それとも泳ごうかとも思います

でも、夜だから何も見えません

溺れたらどうしようかと思います

でも、溺れてもいいかもと思います

どっちにしようか迷っています

迷いながら、突っ立っています

風が吹いています

波が打ち寄せては引いていきます

















ただ明日が来るだけだから

2014-05-24 00:49:36 | Weblog

今日が終わろうとしている

昨日が終わったように

永遠なんてあり得ないけど

あるとしたら

ただ想いを胸にしまい込むだけ

大きな池の水面に立つさざ波

木立の間を吹き抜ける風

下を見て歩いた急な下りの階段

なかなか暗くならない夕方の空に浮かぶ雲

それら全てが終わったのなら

もう待つことはできない

昨日を待っても

ただ明日が来るだけだから

ただ明日が来るだけだから








秋になったら

2014-05-24 00:23:48 | Weblog

窓枠に雨が叩きつける

僕の慟哭のように

この世の裁判はすべて茶番だけど

無期懲役を宣告されるなら

少しはましなのだろう

僕は何処に収監されるのだろう

ちょうどこんなふうに

嵐が雨を叩きつける小さな窓がある

高い塔の天辺の部屋

きみがそこを選んでくれたのなら

僕にとっては天国よりましだと思えるのに

地獄しか知らない僕には

天国がどんな所か知りようもない

秋になったら窓辺に蜻蛉も飛んで来よう

そんなことせめても想像することが

慰めにもなるけど

あなたが窓辺に現れることはないのだから

僕はなにを待って時をすごせばいいのか

誰か教えてほしい

秋になったら窓辺に蜻蛉も飛んで来よう

でも、そんなこと想像してみたところで

失った時間はもう二度と戻っては来ないのだから