幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 頭蓋骨

2004-11-14 04:08:44 | Weblog

  自分の頭蓋骨を手に持って この目でしげしげながめてみたい

  わき上がる灰色の雲に 視界をさえぎられ
  眼球の奥に 閉じ込められてしまった 誰もいない部屋

  空っぽの コップのような ぼくの頭蓋骨
  あなたにプレゼントしたら 喜ぶだろうか?
  あなたは何に使うだろうか?

  蝋燭を中に灯し 涼しい秋に 行灯にしたり
  頭頂を輪切りにし 杯にして 水を飲んだり

  ぼくだったら
  オブジェがわりに ひもで天井からぶら下げる
  木魚がわりに 棒でたたいてみる

  地球儀がわりに くるくる回して
  あなたなら どこに行くのだろうか?
  目の穴から鼻の穴を通り抜けるもよし
  ひび割れた球の中に じっと閉じこもるもよし

  それでも
  そのとき
  ぼくは 
  そこに いない

  頭のない自分が 自分の頭蓋骨を手に持って
  ぼろぼろにくずれた眼球 不在の目で
  それを
  見て
  いる /いない? /できない!

  あなたも
  もう この世に いないから
  火で焼かれて 灰になり
  あふれるほど 無になったから



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