メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

マイ・フェア・レディ

2014-04-03 16:05:16 | 映画

マイ・フェア・レディ(My Fair Lady、1964米、173分)

監督:ジョージ・キューカー、原作:バーナード・ショウ、脚本:アラン・ジェイ・ラーナー、作曲:フレデリック・ロウ、音楽監督・指揮:アンドレ・プレヴィン

オードリー・ヘップバーン(イライザ)、レックス・ハリスン(ヒギンス)、スタンリー・ホロウェイ(イライザの父)、ウィルフレッド・ハイド=ホワイト(ピカリング大佐)、ジェレミー・ブレット(フレディ)

 

このあまりにも有名な映画を見るのは初めてである。すでにトップスターであったオードリー・ヘップバーンが演じるものとしては、見てがっかりしたらどうしようという危惧があったかもしれない。

 

ミュージカルとしては1956年の初演、日本では1963年から東京宝塚劇場で上演、ロングランとなった。イライザは江利チエミ、ヒギンスは高嶋忠夫、この年か翌年に家族で見に行っている(こういうことはめずらしかった)。

 

こうしてみると丁寧に作られている。台詞がオリジナルでもこんなに多かったのか、映画としてはちょっと長いけれど。

 

さてオードリー・ヘップバーン、歌は吹き替えということは声質でもわかるけれど、私はこの種のものではそんなに問題とは考えない。むしろ台詞の声、特にレディに仕上げられる前のちょっとガラッパチのところがとてもいい。考えてみるとあの「ローマの休日」も含め、この人はお転婆なところがある役が多かったし、それが合っていた。

 

映画公開の年で35歳、レックス・ハリスンは54歳、話をよく考えるとちょっと無理がある。劇中イライザは21歳くらいということだし、ヒギンスも独身主義者が最後主義を変えるかも、というのは、、、

 

このドラマ、階級社会を前提に、それでもそのおかしいところを皮肉り、エンディングでカタルシスを与える。英国でないとこの構図は無理だろう。よく考えれば偽善ではあるが。

 

今回見る気になった一つはアンドレ・プレヴィンで、彼が入ったピアノ・トリオでこのミュージカルをテーマに作ったジャズ・アルバムがヒットし、私も持っていて、最近聴きなおしたところだった。

そして確かめたら意外なことにアルバムはミュージカル初演の年に作られており、その8年後、この映画の音楽担当がアンドレ・プレヴィン、うかつにもこれは知らなかった。

 

編曲とオーケストラの指揮をやっていて、それが上記ジャズアルバムの後というのは面白い。指揮はさすがにうまく、じっくり聴いているとロウの作曲が全体の統一感も含めよくできていることがわかるし、主役クラスの周囲のいろんな人たちの歌声もバランスよく聴き取れる。

 

ところでプレヴィンは音楽関連でオスカーを4回とっている。あのジョン・ウィリアムスが5回だから、それに迫るのだが、そういう印象がないのはその後クラシックで大成功しているからだろうか。

 


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