デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」 青木千鶴 訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
たいへん評判になった作品で、2011年いくつかのミステリ・ベスト10で軒並み1位になり、日本で映画化もされている。
主人公はニューヨーク・クイーンズ在住の小説家、といっても様々な名前、性別などを使い、怪奇、残虐、ポルノなどでなんとか続けている男。
そこに連続殺人犯で死刑間近の男から、一つのペンネームあてに手紙がくる。自分の告白をある条件のもとに小説にしていい、というもの。
面会するとその条件とは、こういう殺人犯には逆にファンとなった女性から手紙がくるらしいのだが、彼女たちに会って、彼女たちを主人公にした小説をその犯人だけのために書いてほしい、という変わったもの。
それに応じているうちに、その女性たちが次々と残虐な形で殺されていく。
はたして死刑囚は本当は無罪なのか、それともこの事件のからくりは、、、
というもの。
もとの事件の関係者の女性、主人公が金稼ぎに家庭教師をしている女の子が脇役として、進行を面白くしている。
この作品の斬新なところは、随所に出てくる作家論、小説執筆に関するいろんな悩み、事情などで、仕掛けとしては面白い。
ただ、その過程に出てくる小説の一部が、私はほとんど興味がないゾンビもの(というのかな)だったり、とにかく怪奇、そしてちょっと幼稚(わざとな)ものが多く、まあそこは飛ばし読みになってしまうから、評判ほどの感はない。
原題は The Serialist 、連載小説作家とでもいう意味だろうか。