ミッドナイト・イン・パリ (Midnight in Paris 、2011西・米、94分)
監督・脚本:ウディ・アレン
オーウェン・ウィルソン(作家)、レイチェル・マクアダムス(婚約者)、マリオン・コディヤール(アドリアナ)、キャシー・ベイツ(ガートルード・スタイン)、エイドリアン・ブロディ(ダリ)、コリー・ストール(ヘミングウェイ)、カーラ・ブルーニ(美術館ガイド)
小説家に一歩踏み出そうと一作かかえて婚約者とその両親とパリに来た脚本家、通常のパリの魅力、観光にはあまり興味がなく、ほかの人たちとすれちがう中、あるとき1920年代のパリにタイムスリップしてしまう。
そこにはフィッツジェラルド(スコット&ゼルダ)、ヘミングウェイ、コール・ポーター、ダリ、ピカソ、彼らのアイドルのアドリアナがいて、この時代にあこがれる作家はのめり込んでいく。
ガートルード・スタインに原稿を見てもらい多少自信をつけるが、最後の戻り方は見てのお楽しみというか、アレンの世界観、人間批評になっているといえるだろう。
つぎつぎと登場する著名人に目を奪われすぎるきらいはあるけれど、よく考えればマンハッタンの悩める作家、それも創作と女にという設定の発展系、映画として娯楽面で成熟したものといえなくもない。相変わらず台詞は多いが、あまり疲れない。
それとなにしろここにはアレン本人は登場せず、オーウェン・ウィルソンを起用したのが成功の一因かもしれない。一時期は精神的に危機的状態にあった彼がこうして元気に演じているのを見るとよかったとほっとする。
なにしろオーウェン・ウイルソンは、ベン・スティラーなんかとよくおばか映画に出ていて、ずいぶん楽しませてくれた人で、見た感じは明るい2枚目であり、今回も、あの小柄で老けて風采があがらないアレンが、インテリのクリエイターであることを武器になにかと問題を起こすという典型とはちがった面白さである。
もっとも、あのアレンの特に女性に対するいじけているけれど強引といったイメージがないだけ、インパクトには欠けるところはあるかもしれない。
パリの風景はセンスよくちりばめられている。街の色調が多少黄味がかっているのはアレンの意図だろうか。他のコンテンツに出てくるパリの映像と比べてもこうだから我が家のTVのせいでもないだろう。あのサクレクールがここではあまり白くないし。