メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

あなたのために

2007-05-03 21:44:54 | 映画
「あなたのために」(Where The Heart Is、2000年、米、120分)
監督:マット・ウィリアムズ、脚本:ローウェル・ガンツ、ババルー・マンデル、原作:ビリー・レッツ、音楽:メイソン・ダーリング
ナタリー・ポートマン、アシュレイ・ジャッド、ストッカード・チャニング、ジョーン・キューザック、ジェームズ・フレイン、ディラン・ブルーノ、キース・デヴィッド
 
まだ17歳の貧しい女の子がボーイフレンドとボロ車で町を出る。彼女は妊娠しているのだが、途中立ち寄ったウォル・マートで置き去りにされ、ホームレスのようにそこで隠れて生活しているうちに子供を産んでしまい、ウォル・マート・ベイビーがニュースになったせいで、篤志家の女性に助けれ、また何故か次々と男を変え子沢山になっている女性と友達になる。
 
アメリカのそれも田舎でないとこういう話にはならないだろうが、何かいい加減ですむものだから、悪い人はそれが出来、一方善意からの行いもストレートにうまくいくこともある。そんな中で大事な課題を見つけどう解決していくのか、そしてそのほろ苦さなどが、どう出てくるか、それが映画の見どころである。どこか「ガープの世界」をもうすこし軽くした感じだが、それだけ気楽に見られる。悪人は出てくるが、悪行そのものは見せないのもこの映画の特徴。
 
それだけならどうということはないかもしれないが、そこはこの少女をまだ十代のナタリー・ポートマン、そして子沢山の女性をアシュレイ・ジャッドという、誰が考えついたかという配役だから、見てみようという気になる。
 
ポートマンは日本の女優と同じくらい小柄で、このときが最も溌剌としていたのではないだろうか。アシュレイ・ジャッドはかなり長身だけれど、この「五線譜のラブレター」(2004)で魅力的なリンダ・ポーターを演じた女優が、なかなかしたたかな人であることもわかって面白い。ロックのマネージャー役は何故かこのタイプで好まれているジョーン・キューザックで、これはぴったり。
そこへいくと男の方は、彼、元彼、写真家など、まずまずというところだ。
  
少女とカメラ、5が不吉な数字であること、竜巻、図書館、司書、スーパーなど、細かいところも、あまり真面目な話ではなくても、いろいろと考えさせる要素となっている。
 
ビリー・レッツによるこの原作は、米国ではかなり有名なものらしい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする