つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

怒りの根源

2020-09-27 18:40:00 | としまえん問題

としまえん問題はまだ続いている。というか続けている。

としまえん閉園からそろそろ1か月。

「もう、いいじゃないですか」という声が届くようになった。

「諦めることも大事ですよ」という意見も届くようになった。

優しく私を諭(さと)そうとしてくれる皆さん、ありがとうございます。

でも、まだ私は「いい」とも「諦めるとき」とも思っていないのです。ごめんなさい。

 

なんで、こんなに腹が立つのか。

東京都さんなのか、練馬区さんなのか、西武さんなのか、伊藤忠さんなのか、ワーナーさんなのか。

誰だかはまだわからないけれど、なんでこんなに許しがたいのか。

自分でもよくわからなかったのだが、先日、秘書から、

「先生って、だいたい10年周期でお金度外視で突き進んじゃいますよね(笑)」

と指摘されてようやく気付いた。

今まであまり人には言わなかったけれど、そろそろ打ち明けてもいいように思うのでこの機会にブログに残しておこうと思う。

 

今から約10年前の2011(平成23)3月11日。

2万人以上の人たちの命を一瞬で奪った東日本大震災のあった日だ。

3月11日の地震からしばらくは「なんだか大変なことになっちゃったなぁ」程度の気持ちだった。

東北で亡くなった人のニュースを見たり聞いたり読んだりするたび、「気の毒だなぁ」とは思ったけど、だから「何かをしよう」というわけでもなかった。

いや、むしろ自分や自分の家族がかすり傷一つ負わずに元気に暮らせていることに心のどこかで喜びを感じてた。

度し難いクソ野郎だ。私は。

そんな私を、ある新聞記事が変えてしまった。

これ↓

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103220552.html

3月24日の朝日新聞夕刊の記事だ。

リンク先のサイトがなくなってしまうかもしれないので、以下に記事の一部を引用しておく。

『津波に襲われた同県南三陸町。30代の母親ががれきの中でうずくまり、泣いていた。「なんにも悪いことしてないのに。どうして……」

あの日、2歳の娘を寝かしつけ、山向こうの町に買い物に出て地震に遭った。山を越えて轟音(ごうおん)が響いてきたが車は動かず、坂道を走った。そこから先の記憶はない。

娘は翌日、自宅があった場所から400メートルほど離れたがれきの下で見つかった。消防団員が顔を拭いてくれていた。いつもの歯磨きのように、口を大きく開けて指で泥をかきだしてあげた。

震災3日後、がれきの中から、やっとアルバムを掘り出した。砂ぼこりが巻きあがる中、泥だらけのアルバムを胸に母親は泣き続けた。』

 

この記事を帰宅途中の地下鉄の中で読んで、私は人目を憚らずに泣いた。

地下鉄の車内で新聞を読みながら泣く40過ぎのオヤジ。

傍(はた)から見ればかなり異様な光景だったと思うけれど、今読んでも、涙が止まらなくなる。

当時、私の次男はまだ1歳半。

早めに帰宅できた時は、ようやく生えてきた小さな歯を食後に磨いてやるのは私の役目だった。

私の股の間に頭を埋めて、嬉しそうな顔で口をあーんしている次男。

虫歯にならないように、丁寧に丁寧に、小さな、数えるほどしかない次男の歯を磨いた。

同じ時に同じ国の違う場所で。

私の次男と年も変わらないわが子の亡骸の口から、泣きながら泥をかき出している母親がいる。

 

なんだ、これ?

なんでこんなことになってんだ?

 

母親が言ったように、彼女が誰を責めることもできず嗚咽の中で振り絞るようにそう言うしかなかったように。

「なんにも悪いことしてないのに、どうして」

 

その翌日から、私は被災地に送るための生活再建情報をまとめた手作りの冊子を作り始めた。

最初は一人で。

途中から、当時、私のまわりにいた司法修習生の有志数人が手弁当で情報収集・記事作成を手伝ってくれた。

タイトルは「復興のための暮らしの手引き~ここから/KOKO‐KARA~」

どんなに辛くても、苦しくても、同じ国の別の場所にあなたたちのことを考えている人間がいる。

だから、どんなに辛くて苦しくて逃げ出したくなるような場所でも、「ここから」立ち直ってほしい、という願いを込めた。

先般、日本における災害対策法務の第一人者の一人、関西のT先生から、

「平岩先生が作っていた暮らしの手引き。まだ、PDFであればネットで見れるんですよ!」

と教えて頂いた。

これ↓

http://www.ichiben.or.jp/shinsai/data/kokokara.pdf

https://hinansyameibo.blog.fc2.com/blog-entry-345.html

私と司法修習生たちが作った「ここから」はたくさんの方が被災地に持って行って避難所などで配ってくださった。多くの仮設住宅などにも置いてもらえたと聞いた。

最初は印刷から発送まで全部手弁当だったので、その当時の事務所の台所は火の車になった。

仕事そっちのけで冊子づくりに没頭する私を顧問先の社長さんたちは笑って応援してくれた。

秘書は「仕方ないですねぇ」と笑いながら発送作業を手伝ってくれた。

感謝してもしきれない。

「ここから」は多分、何万部も被災地に届けられたが、私は、あのわが子をなくした若い母親にこそ、届けたかった。

彼女は、ちゃんと悲しみを乗り越えて立ち直っただろうか。

新しい子どもを授かることはできただろうか。

 

今、安穏と毎日を生きている僕らは、あの日、命を落とした2万人以上の人たちに、わずか2歳で「なんにも悪いことしてないのに」天に召されたあの女の子に、そして、泣きながら娘の口から泥をかき出してやっていたあのお母さんに、一生かけて答えるべき責任を負ったのだと思う。

なんにも悪いことをしてなくても命を奪われるのが震災。それはどうしようもないことだ。

でも、震災で奪われる命を一人でも減らす努力をしなかったら、震災で人が亡くなるのは人災だ。

普段からの防災教育。

避難場所の整備。

広域防災拠点の整備。

何にもまして優先すべき課題だ。

将来助かる命と、あの日死んでいった命に対して、僕らが一生かけて果たすべき義務だ。

 

としまえんは広域防災拠点となる練馬城址公園に生まれ変わるはずだった。

そう説明されてきた。10年前から。

ところが、としまえんの跡地にはその半分近くの敷地を使って東京ドーム級のハリーポッター・スタジオツアーの建物が建つという。地上19mの巨大な箱。期間は30年間。

それが広域防災拠点としてどのような機能を果たすのか、誰も何も説明しないまま、今もとしまえんの解体作業は続いている。

練馬城址公園の広域防災拠点機能はハリポタ施設に敷地の約半分を譲ってしまったことで、どう考えても半減、あるいは事実上、骨抜きにされた。

「そうではない」という反論や具体的な説明さえ東京都も練馬区もしない。

あたりまえだ。

練馬城址公園に関するパブリック・コメントは来年1月。

東京都の公園審議会が答申を出すのは来年5月。

それまでは説明しようにも何も決まっていないはずだからだ。

だったら、なぜ、としまえんは着々と解体され、ハリーポッター・スタジオツアーの建物が建てられようとしているのだ。

 

としまえんを避難場所に指定されていた6万4000人の近隣住民の方は今、大地震が来ても(練馬区の用意した避難拠点以外に)逃げ込む場所はない。

としまえん全体がバリケードで囲われてしまっているからだ。中は解体途中のがれきや重機。

どう考えても安全な避難場所ではない。

しかし、東京都は代わりの避難場所を6万4000人に通知することも、それ以前に指定することさえしていない。

「今すぐ、大地震なんて来るわけないだろう。強迫神経症かよ。」

でも、1995年(平成7年)1月17日の阪神淡路大震災も、2011(平成23)3月11日の東日本大震災も、みんながそう言ってるときにやって来た。そして、2つの震災で3万人近い方々が亡くなった。

わずか四半世紀のうちに2度の大地震で、3万人近くの方々が亡くなっている。

「今すぐ、大地震なんて来るわけないだろう。強迫神経症かよ。」

というすべての方へ。

「大地震が来ないわけないだろう。重度の健忘症かよ。」

 

結局、としまえんは、広域防災拠点になるはずの練馬城址公園の敷地の約半分をハリーポッター・スタジオツアーに30年間にわたって明け渡すことになり、この先、約2年以上、6万4000人の避難場所を奪っただけで閉園した。

しかも、「ハリーポッター・スタジオツアー」の建物は海外も含めて多くのマスコミで「テーマパーク」と報道されている通り(なによりワーナーさん自身がこれを認めている)、どう見ても遊園地あるいはこれに類するものだ。

Twitterでは詳しく説明したけれど、としまえん跡地は第2種住居地域に指定されているので、いったん、としまえんを解体してしまったら、もう、新しい遊園地は作れない。

だから、「ハリーポッター・スタジオツアー」は「博物館それに類するもの」として建築申請が出されようとしている。

マスコミが、いや、ワーナーさん自身が「テーマパーク」と認めている施設なのにだ。

 

Twitterでもはっきり宣言したが、私はハリーポッターの大ファンだ。

でも、これは違う。

こんな施設はいらない。

その手続きの姑息さ。

広域防災拠点化という、譲ってはならない大義名分をいとも簡単に金で売り渡した関係者の卑劣さ。

命にかかわることじゃないか。

9年前のあの日。

2万人を超える人たちが、2歳の女の子が、「なんにも悪いことしてないのに」と泣いていた母親が、僕らに教えてくれたことじゃないか。

 

としまえんは僕らの学校であり、先生だった。

としまえんで僕は子育ての仕方を教えてもらった。

古かろうが、客が少なかろうが、ぎりぎりの経営だろうが、スタッフがみんな一生懸命働いている遊園地で、みんなに愛されている遊園地で、子どもがどんな笑顔で笑うのかを教えてもらった。

子どもの相手に疲れ切った暑い夏の日は、子どもを見守りながら木陰のベンチで休んだっていいんだよと、大きな大きなクロガネモチの木から教えてもらった。

親がベンチで見守っているだけで、子どもはどれほど安心した顔で遊びまわるのかを教えてもらった。



学校であり先生であるなら、いつかは卒業だ。

それはいい。

でも、卒業する僕らに、としまえんはこう言って手を振って笑っていた(と思う)。

「私は役目を終えていなくなるけど、私の跡地がみんなの命を助ける場所に生まれ変わるんだから。

こんな本望なことはありません。

ありがとう」

としまえんの気持ちを、僕らの気持ちを、あの日亡くなったすべての人たちがくれた教訓を、まるであざ笑うかのようにとしまえんのアトラクションは次々に解体され、樹木は切り倒され、プールは潰されようとしている。

もしかしたら、私の活動の根本にあるものは他の方々とは違うかもしれない。

もちろん、どこかに移設して残せるアトラクションは残したい。

接ぎ木や挿し木や移植で命をつなげる木々は助けてやりたい。

広域防災拠点として役に立つならプールも残すべきだと思う。

しかし、本当にとしまえん跡地をみんなの命を救うための広域防災拠点として生まれ変わらせるなら、そしてそのためにどうしても必要なら、私はプールがなくなるのも、アトラクションがなくなるのも、何本かの木々が切られるのも仕方ないとも思っている。

私の中では、あの日、泣きながらわが子の口から泥をかき出し続けていた母親の涙の方が、アトラクションより、プールより、木々より、重いからだ。

まだ諦めるときじゃないと、私の心が言う。

あの日死んだ女の子のために戦いなさいと、としまえんが言う。

だから、なんど無視されようが、なんど否決されようが、手続きが許す限り、私は意見書を書き続けるし、陳情書を出し続ける。

人間だから、時には辛くなることもあるし、疲れて動けなくなる時もある。

でも、いつも思うのだ。

あの日、津波と泥に飲み込まれて命を落とした女の子の苦しさは私の比ではないと。

あの日、動かなくなった車を乗り捨てて走って山を越えようとした母親の疲れは私の比なんかじゃないと。

 


「練馬区まちづくり条例」に基づく意見書提出について

2020-09-25 20:40:02 | としまえん問題

昨日、「練馬区まちづくり条例」に基づく意見書の準備をTwitterで呼びかけたところ、多くの方々からご質問を頂いたので、こちらで説明しておこうと思う(Twitterでは文字数制限があり、私の文章力ではとても説明しきれなさそうなので)。

難しい法律用語はできるかぎり平易な言葉に置き換えた。

なので、もしかしたらその過程で誤解を招くような説明になってしまったかもしれない。

しかし、まずは法律の専門家ではない地域住民の方々や「自分も意見書を出したい!」とお考えの方々に興味も持ってもらい、かつ、手続きの概要を理解して頂くことが目的なので、詳しい内容については別途、直接、私にお問い合わせいただくか、「としまえん問題」で精力的に活動しておられる各議員、池尻さんや高口さん、とやさん、野村さんのブログやツィートをお読み頂ければと思う。

さて。

練馬区には「まちづくり条例」という条例がある(練馬区のHPで確認できる)。

大きな建物なんかを建てようとする事業者は、近隣住民への説明会をはじめとして色々な手続きを取らなければならないことになっている。

今回、としまえん跡地に建てられようとしている「ハリーポッター・スタジオ・ツアー」施設(以下「ハリポタ施設」)は、この「まちづくり条例」の適用を受ける建物だ。

 

「まちづくり条例」で事業者や練馬区が義務付けられている手続きは以下のとおり。

(  )内は「まちづくり条例」の条文だ。

 

(1)まず、事業者は練馬区が定めている事項を練馬区長に届け出る(52条1項)。

この届出の概要は、みんなが閲覧できるように公開されることになっている(52条3項)。

(2)届け出を受けた練馬区長は事業者に、説明会の開催方法とか説明会に呼ばなきゃいけない近隣住民の範囲なんかを教えてくれる(52条2項)。

(3)さらに事業者は所定の事項を記載した標識を工事現場に設置して、練馬区長にも「ちゃんと標識設置しました」と届け出なければならない。設置期間はすごく複雑なので省略。

この標識は、としまえん跡地のバリケードにちゃんと掲示されていた(53条1項2項)。

(4)事業者は標識を設置したら、設置の日から15日以内に近隣住民の方々を対象とした説明会を開催しなければならない。これが今月7日8日に開かれた説明会だ(54条1項)。

ここでいう「近隣住民の方々」っていうのは、としまえん跡地の境界線(要するにとしまえん外周を囲っていたフェンス)から100m以内に住んでる方々だ(52条1項(2)号)。

自己所有の家やマンションを持っていなくても、「住んで」さえいればいいので賃貸アパートやマンションに住んでてもOK。ある議員さんの説明では「事業を営んでてもOK」らしい。

(5)説明会の開催日が決まったら、事業者は説明会の7日前までに近隣住民の方々と区長に開催通知を送らなければならない(54条3項)。これもちゃんと通知されていたはずだ。

(6)説明会は9月7日8日に行われた。

「まちづくり条例」では説明会で近隣住民との「協議」を事業者に命じているが(54条4項)、事業者の説明⇒説明会参加者からの質問⇒事業者の回答という一連の流れで「協議をした」ことにされてしまっているのが実情だ。

日本語常識からかけ離れてるように思うが、今ここではその点を議論しても仕方ない。

 

【ハリポタ施設の建設手続は今この段階】

 

(7)事業者は説明会(の協議)が終わると、練馬区長宛に「協議申請書」というやつを提出しなければならない(55条1項)。

説明会でのやり取り(とその他の事項)を練馬区長に書面で報告しろ、ということ。

ただ、本日現在の情報ではまだこの書面は提出されてないようだ。

(8)区長は事業者から「協議申請書」を受け取ったら、書面を受け取った日から3日以内(土日祝日を除く)に書面の概要を公表しなければならない(55条2項)。

一応、「まちづくり条例」の規定では、事業者と区長は公表するまでに何か不備があれば協議するような建付けになってるけど、ほとんどこんな協議は行われたことがないようだ。

で、こっからが超重要。

(9)近隣住民は区長が「協議申請の書面」の概要を公開した日から7日以内(ここは土日祝日が除かれない!)に意見書を事業者に提出することができる!(区長にも写しを送り付けることになっている)(56条1項2項)

事業者の宛先は説明会資料にある「イム都市設計」さんだろう。

意見書の提出期間はたった7日間しかない。土日祝日含めてだ。

意見書が提出できるようになったら、下記練馬区のHPで案内されるらしいが↓

https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/machi/oshirase/02917319120111013140.html

たった7日だ。ボーっとしてたら意見書を受け付けてもらえなくなってしまう。

チコちゃんに叱られるだけじゃ済まない。

一応、練馬区議の高口議員さんが練馬区に対して「協議申請書が提出されたら教えて」とお願いしてくれてるらしいし、なるべく毎日、練馬区のHPもチェックしてくれるらしいので、高口議員さんのツィートは要チェックだ。先ほど挙げた池尻さんや野村さん、とやさんもツィートで教えてくれる可能性大。

もちろん、近隣住民以外の住民の人も「意見書」を出すことはできる。

ただ、そうした意見書は「まちづくり条例」に基づく意見書ではなく、事実上のお手紙・要望書の域を出ない。事業者が見解書で回答して来なかったとしても、少なくとも「まちづくり条例」上は手続き違反でもなんでもない。

ここは近隣住民の人たちが総力を結集して、史上最高の遊園地だったとしまえんのために、史上最強の意見書をバンバン事業者さんに送るしかない。

 

(10)これと並行して、練馬区長は「協議申請の書面の概要」を公表後10日以内(ここでは土日祝日は除かれている)に「ハリポタ施設の建設についての練馬区としての意見」を、必要があれば書面で公表することになっている(57条)。

でも、あくまでも「必要があれば」だ。期待はしない方がいい。

(11)事業者は近隣住民から意見書を出されたら、それに対する回答・反論の書面(見解書という)を意見書を出した近隣住民と練馬区長に提出しなければならない(58条1項2項)。

この事業者の見解書は練馬区長によって公表されることになっているから(58条3項)、誰でも意見書と見解書を通じたやり取りを見ることができる。。

(12)事業者と練馬区長が行うことになっている協議(上記(7))の期間は「まちづくり条例」では特に定められていないけれど、55条に続いて近隣住民と事業者の意見書や見解書のやり取りやその公開が定められている以上、意見書・見解書をまったく無視して事業者との協議を練馬区長が進めるとはちょっと考え難い。

もちろん、これまでの事業者と東京都・練馬区との蜜月関係を考えるとそのおそれもあるけれど、それでも

「時の練馬区長は練馬区民の意見をまったく無視して、事業者と名ばかりの協議をして、ハリポタ施設建設に突き進んだ」

という事実は残る。政治家としては悶絶死するほどの汚名だろう(こういう汚名を屁とも思わない政治屋さんも多いようだけれど)。

(13)練馬区長と事業者の協議が成立したときは、協議内容を記載した協定書を締結するになっている(59条1項)。

そして、協定書を締結できたか否かに関わらず、協議が終了したときは、練馬区長は「協議終了通知書」というのを事業者に渡して、その内容を区民にも公表するのだけれど、事業者はこの「協議終了通知書」を練馬区長から受け取った後でないと、建築基準法なんかの関係法令に関する申請や届出ができないことになっているのだ(59条3項)。

 

大急ぎでバーッと調べた内容なのでもしかしたら、小さなところに間違いがあるかもしれないけれど、とにかく重要なのは(9)だ。

説明会では時間も制限され、緊張してうまく聞けなかった疑問点や意見も書面にすることで整理できるし、ゆっくり自分の言葉で事業者に届けられる。

そして事業者はこの質問や意見には答える義務がある(もちろん、「木で鼻括ったような」回答の場合もある。)。

 

提出期間はわずか7日。練馬区のHPを毎日チェックしていても、高口議員さんがツィートで知らせてくれても、普段、文章を書くことに慣れていない人が7日間で「ハリポタ施設の建設に関する意見」を論理的に、説得的に意見書としてまとめることは不可能に近い。

今から準備しておくしかない。

だから、昨日のツィートで「意見書の準備を!」と呼びかけた次第である。

 

(追加)「としまえんの未来を考える会」というグループでは、まちづくり条例に基づく意見書以外にも、住民の意見・疑問・質問を事業者へ文書で届け、文書回答をもらう活動を行っている。

事業者に意見を届けたいならこちらのチャネルも利用すべきだ。

(説明会当日、事業者側もそうした住民の質問・意見には今後も対応する旨を回答してたらしい。黙殺はできないだろう。しかもここまで住民運動が広がりを見せている状況下ならなおさらだ。)

(追加2)「まちづくり条例」の手続きが終了すると次は「東京都紛争予防条例」の手続きが始まる。

こちらはまた池尻議員さんや高口議員さん、野村議員さん、とや議員さんがブログやツィートで情報を発信してくれるはず。チェックを!


東京都知事宛の意見書~としまえん問題~

2020-09-19 20:03:03 | としまえん問題

東京都震災対策条例に基づく都知事宛の意見書です。

なんとか連休最終日に間に合いました。

第1稿をブログで公開してわずか数時間のうちに、「ここを直した方が」「この意見も入れたほうが」「ここ、誤変換です」(!)等々、数えきれないくらいのご意見を寄せてくださった数えきれないくらいの方々。ここでお名前は書けないけど、ありがとう。

弁護士になって書面を書いていてこんなに嬉しく、勇気づけられたことはなかったです。

この意見書は、私の意見書じゃない。

意見書案にコメントをくれた方。いいねをくれた方。リツィートしてくださった方。リアクションしなかったけど、「いいじゃん、いいじゃん。がんばれよー」と思ってくれた方。

全員で書いた意見書です。

意見書は東京都知事宛に原本を、都民ファーストさん宛に写しを、それぞれ郵送しようと思っています。

私一人が吠えたところで、意見書は都知事室と都民ファースト事務所のごみ箱行きだと思う。

でも、意見書の作成にかかわってくれたすべての人たちが共同意見者として署名してくれたら?

それが10名だったら?100名だったら?500名だったら?

意見書の全文を以下に公開しますが、提出用の意見書は9月29日まで全国のセブンイレブンでプリントアウトできます。予約番号は28646597。

読んでみて、ちょっとでも「そうだよな。今は、ちょっと作業を止めて話し合う時だよな。」と思ってくれたら、セブンイレブンでプリントアウトして最終頁(10頁)にお名前と住所を記入して、

〒160-0017 新宿区左門町6-10-4F ネクスト法律事務所 弁護士平岩

まで送ってください。

近所にセブンイレブンがない、という方。

hiraiwa@nextlaw.jp

まで「都知事宛意見書データ希望」とだけ書いてメールいただければ、PDFファイルを添付して返信します。

条例で都知事に意見ができるのは「都民」に限られてるので、東京都民の皆さんへのお願いです。

声を上げても何も変わらないことの方が多いけれど、声を上げ続けることは無駄ではないと思う。

声も上げなかったら、無になってしまう。

(この記事のカバー写真は8月31日夜。としまえんの正門が閉じられた瞬間のものです。)

(以下、意見書全文。誤字・誤変換等については随時、修正してます。なお、署名用紙部分は割愛しているので、セブンイレブンでプリントアウトを!)

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東京都知事 小池百合子 殿

東京都震災対策条例第43条第1項及び同条2項に基づく意見

令和2年9月 日

意見者(代表)氏 名:

住 所: 

連絡先:

共同意見者他  名

(別紙共同意見者・意見賛同者連名表のとおり) 

意  見

1.(1)都市計画練馬城址公園(以下「練馬城址公園」)の具体的な整備計画が策定され、かつ、(2)東京都、練馬区、西武鉄道㈱、ワーナーブラザース ジャパン㈱及び伊藤忠商事㈱の5社によって締結された本年6月12日付け都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書(以下「覚書」)第6条第2項に定められた「第4条に定める練馬城址公園の機能の実現の一翼」がどのような形で図られるのか(覚書の表現を借りれば「配慮」されるのか)が明確になるまでは、東京都震災対策条例第47条第1項本文に基づき貴職より避難場所として指定されているとしまえん遊園地(以下「としまえん」)の施設解体撤去工事及び覚書第6条第1項に定めるスタジオツアー施設等の建設工事を見合わせるよう、覚書の全当事者に強く働きかけるとともに、

2.避難場所として今後も継続して指定されるであろう練馬城址公園の具体的な整備計画について、練馬区民及び東京都民から幅広く意見を徴集し、これを整備計画に可能な限り反映させるべきです。

理  由

1.本年8月31日、その跡地を練馬城址公園として整備するために閉園したとしまえんが「(練馬)区民にとって大切な場所である」ことについては今更論じるまでもありませんが(なお、本年6月19日付けで練馬区議会議長から貴職宛に提出された地方自治法第99条に基づく「都市計画練馬城址公園の事業化に関する意見書」にも同一の表現がありますが、その後、貴職及び東京都がかかる練馬区議会議長の主張を否定された事実は見当たりません。)、としまえんは練馬区民のみならず、東京都民全体にとっても「大切な場所」でした。

このことは、としまえん閉園後に、「練馬城址公園の広域防災拠点としての機能が実現されることが担保されるまでは、としまえんの施設解体撤去工事を見合わせて欲しい」、「せめてとしまえん内のプール施設だけは存置して欲しい」、「としまえん内にあったカールセル・エルドラドを含む歴史的にも高い意義を有するアトラクションを残して欲しい」といった各種の署名活動に対して、練馬区民のみならず多くの東京都民(なお、署名者は現在、他府県にまで広がり、数千名にのぼっております)が賛同し、署名をしていることからも明らかです。

 

2.これに加えて、SNS上では、「そもそも広域防災拠点としての練馬城址公園を整備するにあたって、としまえん内のアトラクションをすべて解体撤去する必要があったのか?」、「広域防災拠点としての練馬城址公園を整備するという説明だったのに、何故、としまえん跡地の半分近くに、としまえんのアトラクションを遥かに超える大きさの巨大なスタジオツアー施設等が建てられるのか?」、「スタジオツアー施設等が練馬城址公園に隣接して建てられて、果たして練馬城址公園の広域防災拠点の機能は当初の想定通り確保できるのか?」といった疑問の声が数多く上がっております。

 

3.練馬城址公園の広域防災拠点機能以外に、頭書意見で述べたとおり、としまえんを含む「豊島園」は、現在でも貴職による東京都の避難場所に指定されております(以下では特に必要のない限り、「としまえん」として表記します。)。

  避難場所として指定されている区域面積は228,116㎡、避難有効面積97,668㎡、避難地区の割当は春日町1丁目の一部、貫井1~5丁目、向山1~4丁目、中村1~3丁目、中村南1~3丁目、中村北1~4丁目の全20町丁、避難計画人口は63,669人、一人当たりの避難有効面積は1.53㎡、最遠距離は1.9kmと公表されていますがが、実際の大地震時・火災発生時には、としまえんの知名度、練馬区のほぼ中心にあるという立地条件等から、当該避難地区以外からも多くの練馬区民・東京都民がとしまえんを目指して避難してくる事態が想定されます。

 

4.ところが、現在、としまえんの跡地は、同遊園地の施設解体撤去工事と、それに続くスタジオツアー施設等の建設工事のために工事用バリケードで覆われ、敷地内には工事関係者以外、立ち入りできない状態となっております。

すなわち、仮に、明日、大地震・火災が発生したとしても、少なくとも上記63,669人(実際には割当避難区域外であっても、としまえんへのアクセス容易性から同地を避難場所として目指して避難してくる人々。この中には私も、私の家族も含まれます。)が「避難すべき避難場所に入れない」という異常な事態になっているのです。

しかも、この状態はスタジオツアー施設の工事が完成する2023年まで継続します。

5.上記4のような事態が生じることは、どんなに遅く見積もっても覚書が締結された本年6月12日には容易に想像できたはずでした。

しかるに、上記割当避難地区の住民には、現在に至るまで、としまえんが避難場所として使用できなくなったこと及び代替避難場所の案内について、手紙1通、チラシ1枚送られてきておりません。

SNSで公開されている情報によれば、池尻成二練馬区議会議員が東京都の所管に上記状況を伝えて東京都の対応を確認したところ、概略、

「避難場所の指定はするが、次の定期的な避難場所の指定までは当該避難場所の維持管理は東京都の責任ではない。としまえん遊園地が避難場所として使用できなくなったのであれば代替避難場所は練馬区の責任において用意されたい。東京都としては相談にはのる」

との回答をされたとのことです。

 東京都知事である貴職が指定し、東京都が進める練馬城址公園整備と、東京都が署名当事者となっている覚書に従って進められるスタジオツアー施設等の建設工事のためにとしまえんが避難場所として使用できなくなっているにもかかわらず、です。

 

6.東京都震災対策条例第47条第1項本文、同条例施行規則第23条の文言を無視するかの如き東京都所管の上記回答には唖然とせざるを得ませんが、問題は、そもそも、「代替避難場所を予め準備し、割当避難地区の住民に告知する」という基本的かつ必要最低限の手順すら踏むことなく、「広域防災拠点」と銘打った練馬城址公園の整備とスタジオツアー施設等の建設に邁進しているという、練馬区民・東京都民の生命・身体の安全を軽視した東京都の姿勢にあります。

 

7.われわれ練馬区民、なかんずく、としまえんを故郷の一部のごとく愛してきた利用者は、「防災・人命救助の観点から、としまえんを閉園して広域防災拠点の機能を持つ練馬城址公園を作るのはやむを得ない」と誰もが納得してきました。少なくとも、現在、としまえんの閉園とスタジオツアー施設等の建設に対して異議を唱えている人々の中にも、無条件に「としまえんを閉園するな」と主張している方は見当たりません。

誰もが皆、「広域防災拠点の新しい公園としてとしまえんが生まれ変わるなら」と納得していたのです。

ところが、本年6月19日に突如(それまで西武鉄道㈱はとしまえん閉園について否定し続けていましたし、東京都もとしまえんの閉園について何らの発表もしていませんでした。)、としまえんの閉園が発表された後も、練馬城址公園を具体的にどのように広域防災拠点として活用するのかといった議論や情報はまったくと言っていいほど東京都からは発信されませんでした。われわれ練馬区民・東京都民に与えられた情報は「世界で2つ目のハリーポッター・スタジオツアー施設が作られる。高いインバウンド効果が見込める。」という「広域防災拠点」とは何の関係もない経済的な話ばかりでした。

としまえん閉園後、2日間にわたってスタジオツアー施設等の事業者(以下「事業者」)による説明会が開催されましたが、その説明会においても「いかにスタジオツアー施設等が素晴らしいか」が説明されるだけで、「そもそもスタジオツアー施設等は広域防災拠点としての練馬城址公園と具体的にどのような連携を図るのか」は何一つ説明されませんでした。

覚書第6条第2項において、スタジオツアー施設等の事業者は「第4条に定める機能(Bに「広域防災拠点機能」が明記されています。)の実現の一翼を担うことに配慮する」と定められているにもかかわらず、です。

 

8.事業者の苦しい立場も理解できます。

そもそも、現時点において、練馬城址公園の整備に関する具体的な計画は何も確定しておらず、確定してもいない「計画の実現の一翼」をどうやって担えというのか、そんなことを聞かれても困る、まずは東京都にどのように広域防災拠点としての練馬城址公園を整備するのか決めてもらってくれ、ということでしょう。実際に、それに類する発言が説明会の席上で事業者から出ていたと聞き及んでいます。

 

9.としまえん閉園後に起こった住民運動において上がっている主な疑問は例えば、以下のようなものです。

① 東京都が約束していた「練馬城址公園の広域防災拠点化」という話はどうなったのか?

② スタジオツアー施設等は練馬城址公園の広域防災拠点機能を阻害しないのか?

③ 震災時、近隣住民はスタジオツアー施設等の内部に避難できるのか?そもそも、そこは安全な場所なのか?

④ 1日1万人が来場するというスタジオツアー施設等を避難場所として近隣住民が使うことは現実問題として不可能なのではないか?

⑤ としまえんを避難場所として指定されていた者は、万一、スタジオツアー施設等の完成前に大地震・火災が発生したら、どこに避難すればいいのか?

 

10.現在、公表されている練馬城址公園の整備計画審議スケジュールでは、来年1月頃に中間まとめと都民意見の募集(パブリックコメント)、同年5月頃答申、となってます。

としまえんの解体撤去とスタジオツアー施設等の建設は、この都民意見の募集が終わる来年5月の答申まで待つべきです。

いったん、作業を止めることで、考え、議論し、検討する時間が得られます。

東京都と練馬区と事業者のみという限定された人たちだけの「スタジオツアー施設の誘致ありき」という議論ではなく、「としまえん跡地を、東京都民の命を救うための練馬城址公園に生まれ変わらせよう」と考える人たちの議論です。

考え、議論し、検討する時間があれば、多くの人が納得し、多くの人に愛される「としまえんの思い出とレガシーを備えた、広域防災拠点としての練馬城址公園」が作れます。

スタジオツアー施設等の建設が不可避であったとしても、そのような議論を経て生まれた練馬城址公園と一体のものとして、練馬城址公園の「機能の実現の一翼を担う」(覚書第6条第2項)スタジオツアー施設等が作られれば、周辺諸国からの観光客だけに愛される施設ではなく、地元住民にも東京都民にも愛されるスタジオツアー施設ができます。

パブリックコメントを通じて得られた意見によって、現在のプール施設の一部存置の有効・有益なアイディアが得られるかもしれません。そもそも、大容量の水を貯留できるプールが震災時・火災時に被災者・避難者のためにどれほど重要な役割を果たすかは想像に難くありませんし、少なくとも、そのような観点から「プール存置」を検証することは広域防災拠点及び避難場所としての練馬城址公園という面からは決して無駄でも、一部の人の心情論にとどまるものでもありません。

歴史的にも重要なとしまえんのアトラクションの一部を練馬城址公園内に存置できる方策が見つかるかもしれません。

限られた人たちだけで議論して策定された整備計画より、より、練馬区民に愛され、東京都民に愛される練馬城址公園を作ることができます。

 

11.スタジオツアー施設等を誘致・運営していく事業者としては、「既に事業者間での必要な契約も締結されており、この点については東京都も了解している。いまさら計画を変更したり、遅延させることは莫大な損害を発生させる。」として当初の予定通りの着工・開業を強く望むでしょう。

しかし、事業者と東京都では置かれた立場も、その肩に背負っている責任も異なります。

営利追及のために最も効率的な手法・工程を取るのは民間の事業者の権利です。

しかし、東京都と練馬区は、都民・区民に対してその生命・身体の安全を守る義務を負っています。その義務履行のためにどのような施策をとるのか、その施策に手続的な、あるいは、内容的な瑕疵はないのか、その施策のために何が犠牲になったのか、その犠牲は受忍限度内のものであるのかを丁寧に説明する義務もあります。

事業者の営利追求権以上に東京都と練馬区が都民・区民に対して負っている生命・身体の安全保持義務・施策説明責任の方が重要であることは今ここで論ずるまでもありません。ご自身の身を、国でもなく、企業でもなく、都民のために捧げようと決意されて都知事職にある貴職であれば十分ご理解されているはずです。

 

12.いみじくも、先般、都民ファーストの会の東京都議会議員が「10年間、膠着状態にあった公園整備計画を昨年から自分が間に入って動かした」とTwitterで告白されました。同時にこの議員は「あなたはどれだけとしまえんに行っていたのか、経営にどれくらい貢献したのか(と言いたい)。懐かしんだり惜しんだりするのはタダだし、誰でも出来る」ともツィートされました。

真実、スタジオツアー施設の誘致がこの議員の功績によるものかどうかはわかりません。そんなことは問題ではありません。しかし、2つ目の「懐かしんだり惜しんだりするのはタダだし、誰でも出来る」との発言。これほどわれわれ有権者を愚弄した発言を、私は寡聞にして知りません。

広域防災拠点機能を持つ練馬城址公園の整備が進まなかったのは、われわれ練馬区民・東京都民の責任ではありません。それは東京都庁の関係所管の責任であり、東京都議会議員の責任であり、そして、貴職を含めた歴代の東京都知事の責任です。そして、その責任を負っているすべての方々の給与、歳費、報酬。大きなお金を動かすことのできる議員や区長、貴職にとってみればあるいは「はした金」かもしれませんが、それらはすべて、われわれ練馬区民・東京都民が必死に働いて納めた税金です。

われわれはとしまえん閉園について、スタジオツアー施設の誘致について、その具体的な計画について、練馬城址公園との関係について、そして、スタジオツアー施設が広域防災拠点・避難場所に対してどのような役割を果たしてくれるのかについて、何一つ知らされてきませんでした。知らされたのはただ、「としまえん閉園」と「スタジオツアー施設誘致」という2つの事実だけでした。そして、その事実に意見を述べる機会も、異を唱える機会すら与えられないままに今、としまえんの解体工事が進められています。「民間事業者間の契約だから」というたった一つの理由で。

われわれは、ただ感情に流されて「としまえん閉園」を「懐かしんだり惜しんだり」しているのではありません。中には自分の思いをうまく表現できない人もいらっしゃいます。そういった方の言葉は、もしかしたら議員にも貴職にも、「単なる感情論、心情的なとしまえん閉園反対意見」としか聞こえないかもしれない。

しかし、そういった方々は、否、私も含めて現在、としまえん閉園とスタジオツアー施設の建設に疑問の声を上げている人々は、「94年間も愛されてきたとしまえんを閉園して作られるはずだった練馬城址公園の半分がスタジオツアー施設になるという。それは広域防災拠点、避難場所という観点から、われわれの命を守ってくれるという目的から、本当に正しい事なのか? としまえんの閉園は本当に意味があるのか?」と問うているにすぎません。練馬区に、東京都に、そして貴職に対して、です。

くだんの議員は、最近になって、「お尻に火がついてから動かしたため、ドタバタで調整を進めている状態」「いずれにせよ、説明が足りていなかった」「「開発先行」の印象を与えてしまった」「計画が固まっていくプロセスでいかに地元の意向を反映させるか、事業者に汲んでもらうか」「ご意見・ご要望を頂きた」い、とTwitter上に反省の投稿をされました。

私は、この議員の「タダだし、誰でも出来る」発言については深い憤りを覚えましたが、「お尻に火がついてから動かしたため、ドタバタで調整を進めている状態」「いずれにせよ、説明が足りていなかった」「「開発先行」の印象を与えてしまった」「計画が固まっていくプロセスでいかに地元の意向を反映させるか、事業者に汲んでもらうか」「ご意見・ご要望を頂きた」いという発言を高く評価します。この議員の告白ほど、としまえん閉園と、それに続く練馬城址公園とスタジオツアー施設等の現状を的確に表現した告白を、私は他に知らないからです。

この議員の認められた通りなのです。練馬城址公園とスタジオツアーの関係は、「ドタバタで調整を進めている状態」であり、「説明が足りていなかった」のであり、「開発先行の印象を与えてしまっ」ており、練馬区民・東京都民を無視して、情報をシャットダウンして進められてきてしまったものでした。

しかし、まだ間に合います。スタジオツアー施設等の工事は着工しておらず、としまえんの施設解体は完了していません。今、少しだけ立ち止まることで、これまでの問題点を検証して、将来に向けた建設的な議論をする時間が得られます。練馬区民・東京都民を参加させた形で、です。

 

13.既に2023年開業を目指して進められている民間事業者のスタジオツアー施設等の建設を、たとえ一時的であれ中止するように要請することは、たしかに貴職としては権限的にも心情的にも困難を極めるかもしれません。

しかし、今の練馬城址公園とスタジオツアー施設等の計画は、多くの(というよりほとんどの)練馬区民・東京都民の目には「インバウンドという経済的効果のみを重視したハリーポッター・スタジオツアー誘致がまずありき。練馬区民・東京都民の命に係わる広域防災拠点としての練馬城址公園の整備という本来の目的は、練馬区民・東京都民を排除した密室の議論の中でいつの間にか形骸化させられてしまった」としか映っていません。

インバウンドでお金を稼ぐことももちろん重要です。しかし、新型コロナの世界的流行という未曽有の災害に直面して、私たちはインバウンド産業がいかに脆弱なものかを見てしまいました。

政府や地方自治体がどんなに経済的な援助をしても、東日本大震災で故郷や家を失った人たちは幸せな生活を取り戻すまでに長い長い時間をかけなければならないということも私たちは知っています。

お金だけではない。故郷とか思い出といったものが、人が人として幸せに生きて行くためにどれほど大切か、ということも私たちは知っています。

 

14.犬猫殺処分0を公約に掲げられた貴職が、63,669人の避難場所を奪うような計画を率先して進めてはなりません。

としまえんは既にテレビ等で報道されている通り、たぬき等の小動物やこどもたちが大好きなカブトムシなどの昆虫の貴重な生息場所でもありました。人間の身勝手な都合で殺処分される犬猫の命に思いを馳せることのできる貴職が、スタジオツアー施設等の建設のため、貴重なとしまえん内の樹木を伐採し、小動物や昆虫の住処を奪い、生態系を破壊することに関与すべきではありません。  

新型コロナ感染拡大を止めるために政府と対立してでも独自の規制を貫き、民間事業者である飲食店に営業自粛を繰り返し訴え続けた貴職です。事情を話し、理を尽くして、スタジオツアー施設等の建設の一時中止を事業者に説得することもできるはずです。

どれほど税金の無駄遣いだと叩かれようとも、「安全ではあるが、安心ではない」と突っぱね続けて築地市場の豊洲移転を延期させた貴職です。「経済効果は高いかもしれないが、区民・都民の納得と信頼が得られていない」として、としまえん施設の解体・撤去工事を一時中断し、スタジオツアー施設等の建設を見直すようすべての関係者に働きかけることもできるはずです。

「としまえんの閉園やスタジオツアー施設等の建設」に疑問を呈し、異を唱えている人たちは、誰一人、広域防災拠点の必要性を否定していません。「広域防災拠点の機能を持った練馬城址公園の整備」には誰も反対していないのです。

また、スタジオツアー施設の誘致には反対をしている人たちも「ハリー・ポッター」というコンテンツが嫌いなわけではありません。むしろ、多くの人々は「ハリー・ポッター」をとしまえんと同じように愛しているのです。

それなのに「スタジオツアー施設等の建設反対」の声がここまで広がってしまった。「としまえん閉園反対」の声がここまで大きくなってしまった。

目的や目指すゴールには誰もが賛成しているのに、そこに至るまでの工程に多くの人が怒り、反対の声を上げている。

このような他に類を見ない不可思議で歪な状態を是正しないままスタジオツアー施設等や練馬城址公園の整備を強行すべきではありません。

そんなことをしても、東京都も練馬区も西武鉄道㈱もワーナーブラザース ジャパン㈱も伊藤忠商事㈱も、何よりとしまえん遊園地とハリー・ポッターと、この2つを愛している日本中・世界中のファンも幸せになれません。

お金は儲かるかもしれませんが、失うものが大きすぎます。

密室で計画し、説明を避け、「もう決まったことだから、10年前から決まっていたことだから」と練馬区民・東京都民の気持ちを顧みることなく頭ごなしに事業を強行してしまうことで失う練馬区民・東京都民の信頼・信用は30年では取り返せません。

国でもなく、企業でもなく、「都民ファースト」として、まず都民に寄り添おうと党名を掲げた貴職が、そのよう決断をすべきではありません。

 

結  語

以上を踏まえて、東京都震災対策条例43条3項に基づき、東京都知事におかれては、頭書意見を速やかに施策に反映されることを強く希望します。

以上

 


プールの存続~としまえん問題~

2020-09-17 15:51:27 | としまえん問題

今日は「としまえんプールの存続」について考えてみたい。

 

「としまえんのプール」といえば、毎年夏にテレビのニュースで「プール開き」の取材映像として必ず一度は目にする場所。

世界初の流れるプール。

「プール、冷えてます」の秀逸な広告。

近隣に住み、一年を通してとしまえんに遊びに行っていた者(=私)の目から見ると、

としまえんって、夏のプールの売り上げで1年分の赤字をすべて補填してたんじゃね?

と思うほどの集客数。

加えて。

今後、としまえんが広域防災拠点としての機能を果たしていく中において、「巨大な水がめ」となっているプールの存在が果たす役割は計り知れない。

周辺地域に火災が発生した際には頼もしい消火水槽になるだろう。

浄水器を何台か設置すれば、プールの水は瞬時に生活用水に使える水になる。

避難してきた人の食事、トイレ、シャワー。使い道は無限だ。

プールの水の気化熱でどれほどあの地域のヒートアイランド現象が緩和されていたことか(実際、我が家は数年前まで夏の夜でも涼しい風が入って来ていた。)。

閉園前、としまえんはプールに魚を入れて冬季は釣り堀として営業していた。

だったら、今後もそれを踏襲して、プールに食べられる魚を入れておけば、冬季に災害があったときは避難してきた人に急場の食料も提供できるだろう。

こりゃあ、存続だろう。

てか、ハリポタ施設とか作らないでその平坦な敷地を防災拠点、避難場所として整備して、プールは残した方が今の何倍も「防災」という目的に資するような気がするのは私だけか?

実際、としまえんの正門前には、としまえんが閉園して以来ずっと「プール存続」の署名活動をされている方々がいる。

聞けば、集まった署名は2000名を越えて3000名が視野に入ってきたらしい。

プール存続派の方々(としまえんのプール・自然を守る会)の主張は、

「せめてとしまえん100周年まで、あと6年はプールの存続を!」

なにを遠慮しちゃって!

みんな奥ゆかしいんだから。

ハリポタ施設は30年間、石神井川の北に鎮座ましまするという。

プールが防災拠点において果たすと思われる役割は上記のとおり。

だったら、

「少なくともハリポタ施設がある限り、としまえんプールも存続を!」

でいいと思う。

いいよね?

 

もちろん、仮にプールを存続できたとしても、その運営をどこがやっていくか、という問題はあるだろう。

株式会社豊島園に運営を引き継いでいただく、という選択肢もあるだろうけど、私は、いっそ「練馬区立としまえん区民プール」として練馬区が運営したらどうかと思う。

赤字にならないなら(これまでの集客を見ていると、むしろ黒字では?と思う)練馬区が運営を行っても「ワイズ・スペンディングじゃない」などと文句言われることはないだろう。どっかの都知事さんから。

指定管理者制度を使ってもいいかもしれない。

「運営したい!」と言ってくれる業者さんが複数いれば入札で委託先を決めてもいいかもしれない。

このあたりのことは「としまえんのプール・自然を守る会」の方々も当然、考えておられるはずだろうけど、残念ながらチラシなどはスペースの制限があるから、そこまで詳しい説明ができていないみたいだ。

なので私がここで彼らの考えを(勝手に)代弁しておく。

仮に「いやぁ、そこまで考えてませんでした」というなら、本日付で私の上記提案をご参考にしていただくってことで。

やり方はいくらでもあるはずだ。

 

ところで。

あるところから伺ったお話では、実は、

「練馬区谷原にある老朽化してきた練馬区立総合体育館を取り壊して、新しい総合体育館をとしまえん跡地に建てたらどうだろう」

という構想が(主として自民党系の議員さんの間で)あったらしい。

まじっすか?

それメチャメチャいいアイディアじゃないですか!


今の総合体育館の場所はすべての電車の駅から等距離で遠く、目白通りという交通量の激しい道に面していて子どもたちが気軽に行くには少々危ないところだ↓




としまえん跡地なら。

西武線と大江戸線の豊島園駅の目の前。

練馬駅からだって徒歩圏。

バス便もある。

目の前をたくさんの車が走る道路もない。

なにより、体育館だ。存置するプールと併用して使えば、どれだけの避難民の食糧を備蓄できるか。

どれほどの避難民に避難場所や一時的な宿泊場所を提供できるか。

その効果は図り知れない。

その体育館の周りにカルーセル・エルドラドを存置して。

樹木も伐採しないで今のままできる限り残して。

石神井川畔は綺麗な遊歩道に整備して。

 

おーい、自民党の議員さんたち~!

東京都さんに屈することなく、今からでも新練馬区立総合体育館&プール構想を実現してくださいよ〜


練馬区宛の陳情書~としまえん問題~

2020-09-16 16:27:56 | としまえん問題

練馬区宛(正確には練馬区議会議長宛)の陳情書の内容に賛同してくださった方々の署名が集まったので、今朝、練馬区役所に提出に行ってきました。

私の事務所に郵送or持参してくださった署名は518名分。

中には受付〆切の昨日夜、バイクを飛ばして駆けつけてくれた人もいた。

「万一、郵送で間に合わないと困るから」とわざわざご自身で事務所のポストに投函していってくれた方もいた。



 

練馬区の議会事務局に持参して、「518名分あります」と申告したら、担当の方が、

「いえ。平岩さんの陳情書に賛同します!と直接、区役所に署名を持参された方が60名いらっしゃいましたから合計で578名ですね」

泣きそうになった。

 

明日は、練馬区の議員さんたちの会派訪問というのをやる予定。

あまりよく分かってないのだが、要するに陳情書を出した名義人が議員さんたちを直接訪問して、「よろしくね」とアピールする最後の機会、ということらしい。

よし。まかせろ。しゃべくり倒してきてやる!

でも根は小心者の平和主義者なので議員さんに塩対応されたら寂しくなってその場で死ぬから。

ウサギか!

 

さて。

このブログでは「としまえん問題」について練馬区の責任も追及しているけれど、実際のところは、

「練馬区はほとんど蚊帳の外。むしろ東京都にバカにされた被害者の側面が強いんじゃないか」

とさえ思っている。

今回、練馬区議会議長にも陳情書を出して「しっかり東京都と事業者に申し入れしてくれい!」とお願いしたわけだが、実は今年の6月19日、練馬区議会は議長名義で東京都知事に対して、「都市計画練馬城址公園の事業化に関する意見書」というのを地方自治法第99条に基づいて提出していた! ↓

https://www.city.nerima.tokyo.jp/gikai/kaigi/r2/dai2teirei/0202iken/022iken1.html

 

地方自治法第99条はこういう規定。

「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」

要するに練馬区も、今回の問題が練馬区に住む(特にとしまえん周辺に住む)住民の公益に関するものだと認識していたのだ。6月19日の時点で。

 

で?

東京都の対応は?

練馬城址公園とハリポタ施設に分断され、今後数年間、工事関係者以外の立ち入りが制限される「としまえん」は東京都知事が指定した「避難場所」としての機能を事実上、喪失することになる。

「避難場所」というのは、地震火災から住民の命を守るため火災が鎮火するまで住民が避難する場所だ。

東京都の資料によれば、避難場所として「豊島園」を指定されている地域の住民の数は64,000人。

以下では池尻議員が再現した東京都の所管とのやり取りが正確であることを前提に話を進めたい。

いや、池尻議員を疑うわけではないが、あまりに常軌を逸した内容なので、にわかには信じがたいのだ。

避難場所の問題について池尻議員が東京都の所管に問い合わせた際のやり取りをいちいち文字にして打ち込んでると指先が腐りそうなので詳細は池尻議員の9月15日のツィートを読まれたい。これだ ↓

https://twitter.com/ikesans

こいつ・・・いや、もとい。この所管の方がおっしゃっているのを要約するとこうなる。

「64,000人分の避難場所が使えなくなったのはしかたない。

東京都の責任じゃない。東京都は管理義務はないので。

代替の避難場所をどこにするかは練馬区で考えろ。

東京都としては相談には乗ってやる。」

あ、今、指先が腐った。


おーい。

東京都の公園を作るのに、東京都も当事者として覚書に署名したハリポタ施設作るために、東京都知事が指定義務を負ってる避難場所がなくなったんだよー

東京都の所管の方。もう一度、東京都震災対策条例第47条と同条例施行規則第23条を読まれたい。

 

人としての最低限の礼節も命へのリスペクトの欠片(かけら)もないこの傲慢さ。

64000人の練馬区民の命を犬猫のごとく見下して平然としているこの役人根性。

いや、犬猫の方がまだましだろう。

小池都知事は保健所での犬猫殺処分0を公約に掲げていたからね。

犬や猫は殺しちゃだめだけど、64000人が震災時の火災で焼け死のうと東京都の知ったことではない。それは練馬区の責任だ。

あ、わかった。この人きっと犬猫星からやって来た宇宙人なんだな。

あるいはバルタン星か。

 

なんで練馬区から革命が起きないんだ?

 

先ほど紹介した東京都知事宛の意見書の中の言葉。

「我々区民にとって大切な場所であるとしまえん」

「地域住民及び地域経済に十分配慮」

「地域との共存・共栄に積極的に取り組む」

「区民への丁寧な説明と意見聴取」

「慎重で丁寧な対応」

「住民合意」

なーんにも聞いちゃいねーよ。東京都は!

 

東京都議会議長宛の陳情書も既に提出済みだが、この陳情書への署名は10月6日到着分まで受け付けてます。

送っていただいた署名は責任を持って私が都庁に届けます。

署名用紙は全国のセブンイレブンのコピー機で9月23日23:59まで印刷可能。

予約番号は98626958


僕らが野良猫や野良犬のように殺される前に、署名を送ってもらえないだろうか?

送り先は

〒160-0017 東京都新宿区左門町6-10 渋谷ビル4階 ネクスト法律事務所

弁護士 平岩利文 宛