つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

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保育士試験の勉強法(学科試験編)

2023-01-04 00:05:00 | きっと勝つ〜受験生諸君!〜
前回の投稿や今年の年賀状にも書いたけど、昨年、保育士試験に合格した。別に威張るわけでもないのだが一発合格である。
エッヘーーーン!(大威張り)

試験勉強を始めたのは一昨年の11月末だったので、学科試験(9科目)の勉強期間は昨年4月の本試験までの約5ヶ月、実技試験(2分野)の練習期間は学科試験後から7月の本試験までの約2ヶ月だった。

断っておくが、わたしは保育士関連の教育を受けた経歴はないし、それらしき勉強をかじったこともない。「保育」という分野においてはまるっきりまっさら白紙のど素人門外漢だった。
0からのスタートで一気に最終合格したのだから、さぞかし門外不出の資格試験勉強ノウハウでも持っていると思われそうだが、
そんなものはない。

そんなものはないけれど、思った以上にわたしの周りには保育士試験を目指して頑張っておられる方がいらっしゃっることが分かったので、この際、わたしなりの勉強法を整理してこのブログで公開しておこうと思う。

ところが。
こういう記事を書くと、すぐ、
「門外漢って言ったって、そもそも司法試験に通るくらいなんだから私と違って地頭(じあたま)がいいんですよー」
とか、
「私は〇〇をしながら勉強しなきゃならないので時間がないんですよー。無理ですよー」
と「できない言い訳」をする人が必ず一定数、出てくる。

わたしは何が嫌いだと言って、何かを始める前から「できない言い訳」をグダグダまくしたてる人間ほど嫌いなものはない。
冷たいことを言うようだけど、そういう方は、以下の記事は読まなくていい。
そもそもそんな根性では始めたところで結果は知れている。
どうせダメなんだから、こんなブログ読むだけ時間の無駄だ。

あと、
「半信半疑だけど、取り敢えずやってみよっかなー」
という方も、とっととご退場を。
ヨーダも言っていたではないか。

No! Try not. Do. Or do not. There is no try.


精神論が長くなって申し訳ないが、資格試験の勉強、それもそこそこ合格率の低い資格試験(※例えば保育士試験の一発合格率は公表はされていないが10%以下だと言われている。)の勉強は、地頭の能力1、勉強のテクニック4、「何がなんでも合格する」というメンタル5くらいの割合だと思う。

前置きはこれくらいにして、わたしが実際にやった保育士試験(学科)の勉強法は以下のとおり。
ちなみに以下の勉強法が使えるのは、別に保育士試験に限らない。たいていの資格試験や中学・高校・大学の受験勉強、定期テストの勉強なんかにも使えると思う。それぞれの試験や自分の性格に合わせてカスタマイズしてみてください。

まず最初に、本番までの日数あるいは週数を確認して勉強の計画を立てよう(これ、必須)。
全体の計画も立てないで勉強を始めるのは、地図を持たずに旅に出るようなものだ。目的地に辿り着けずに途中で野垂れ死にするのが目に見えている。
勉強に使える時間は無限ではない。時間が限られているのなら、まずは「自分に与えられた時間は何週・何日・何時間か」を把握するのが計画の第一歩。当たり前か。

最初は週単位でひとつの科目を勉強するのが効率的。
何故か?
人間はすぐ忘れる動物だから。
少なくとも同じ科目を短期間、集中して、かつ、繰り返し勉強することで記憶への定着率を高めよう。
わたしの場合、勉強を始めた2021年11月22日から学科試験本番の2022年4月23日までは22週あった。
この22週で受験科目9科目を3回(3クール)回す。
ポイントは1週間に1日(日曜日とか)は「予備日」にして具体的な勉強の計画は入れないこと。
何故か?
風邪ひいたりするじゃん。突発的な用事が入ってどうしても予定通りにその日の勉強ノルマを消化できなくなることもあるだろう。そういう場合に備えて、1週間に1日、「予備日」を作っておく。万一、その週の予定が消化できなかったときは、この「予備日」で挽回するのだ。
ノルマが消化できていた場合は1週間分の総復習をする日が確保できる。

第1クールは2週間で1科目を潰す。
前半の1週間(予備日を除くと6日)は淡々と教科書を読もう。このとき蛍光ペンなどで教科書に線を引くのは厳禁。ひたすら教科書を最初から最後まで読む。
何故か?
その科目の何が重要で何がそうでないかも分かっていない初学者が適切な箇所に線を引けるわけがないから。
蛍光ペンを無駄に使って教科書を汚すだけだ。
教科書は、わたしはユーキャンの保育士講座のものを使ったけど、そこそこ名前の通っている資格試験学校とか出版社のものならなんでもいいと思う。ただ、「1週間で最後まで読み切る」のが前提だから何百頁もある大部なものは避けた方がいい。




ユーキャンの教科書は科目別になっていて、1冊150頁〜200頁程度だったと思う。180頁なら1日30頁読み進めば6日で読み終わる計算だ。30頁くらいなら風呂に入りながらでも読めるだろう。実際、わたしは風呂の中で読んでいた。
複数科目が1冊にまとまっているタイプのものもある。それでも全然OK。要は、1週間で1科目分を読み切れればいいので。

ここでひとつだけ大切なことを。
教科書を読むときは無理矢理でもいいので「感動しながら」読もう。
感動といっても、
「へぇー、保育士ってこんな細かいことまで覚えとかなくちゃなんないのかぁ」
とか
「教科書に書いてあることは建前論だよなぁ。この制度ってすげぇ使いづらいし」
とか
「この学者、変な名前ー(笑)」
という程度で全然OK
何故か?
人間は興味のないものは覚えられない生き物だけど、脳は簡単に暗示にかかるので、意図的に「興味を持ったふり」をするだけで、(イヤイヤ読んだときより)記憶に残りやすいからだ。
ちなみにこの通読時は「暗記」をする必要はない。
その科目で何を勉強するかがおおよそ把握できて、それはどれくらいの分量で、その知識はどんな具合に構成されてるのかが頭に残れば充分だ。

最初の1週間で教科書を最初から最後まで読んだら、2週目は問題演習に取り組もう。
「え?いきなり?まだ単語とか人名とか暗記してないのに?」
とビビるなかれ。
保育士試験は全科目マークシートなので重要単語とか人名を正確に暗記している(書ける)必要はない。知識が多少(かなり)あやふやでも選択肢の組み合わせで解けてしまう問題もある。
問題演習は過去問を使う。1日1年分。
あまり古い過去問は制度が変わっていたりするので科目によっては使えないこともある。直近5年分くらいで十分だ。
よく、「同じ知識は聞かれないから過去問やっても無駄」などとしたり顔で言ってる輩もいるけど、完全に資格試験の勉強方法を勘違いしている。そうでなければただの知ったかぶりのお馬鹿さんだ。

資格試験で問われる知識には明らかな偏りがある。
「全く同じ問題文」は出題されないけれど(※実はそうでもない。2022年前期の「子どもの食と栄養」では数年前の選択肢と全く同じ選択肢が出された。)、「同じ知識」は何度も何度も形を変えて問われる。
何故か?
出題者・問題作成者からすれば、「この資格の合格者なら、せめてこれだけは知っておいて欲しい」という知識は聞かざるを得ない。
ところが資格試験の問題数は限られている(保育士試験なら1科目20問)。この限られた問題数で、聞かなければならない知識をなるべく網羅的に出題しなければならないのだから同じ知識を問う問題が何度も出題されるのは必然だ。
それに加えて、資格試験の問題作成者は100%「先例主義」。過去のレールや枠組から外れた斬新な問題や知識を問うような問題を作ることは(法令や制度が新たに創設でもされない限り)そもそも監督官庁が許さない。
保育士試験は1科目20問なので、1日20問の過去問を解く。過去問は各種のサイトで簡単に手に入る。ほとんどが無料だ。



ここで合格点(保育士試験なら60点)を取れなくてもまったく気にしなくていい(意外に選択肢の組み合わせと、前の週に読んだ教科書の朧(おぼろ)げな記憶で60点くらい取れてしまったりすることもあるのだが。)。
ただし、間違った問題や、自信を持って正誤を判断できなかった選択肢には×印を付けて問題番号を蛍光ペンでマークしておく。



大切なのは答え合わせをする時に、1問1問、丁寧に解説を読んで(解説がなければ教科書の該当箇所を探し出して)、「この問題で問われている知識は何か?どんな知識を持っていればこの問題は解けたのか?」を確認すること。
「必要な知識」が確認できたら、教科書の該当箇所を蛍光ペンでマークしておく。横の余白には過去問の出題年度と問題番号を書いておく(自分に分かる略語でOK)。例えば平成30年度後期第10問なら「H30K⑩」という具合に。この作業だけは全力でかつ丁寧にやろう。



教科書とは別に要点整理ノートなどは作らなくていい。というより作らない方がいい。時間の無駄だ。ノートにセコセコ書き込む時間があるなら、その分、教科書を繰り返し読んだ方がいい。
どうしても整理した知識をメモとして残しておきたければポストイットなどを使って教科書に貼り付けておく。
もちろん、教科書の記述だけではよく分からない箇所があれば他の参考書やインターネットで理解できるまで調べる(例えばユーキャンの「保育実習理論」の中の音楽理論の説明は、わたしには少々分かりにくかった。写真のポストイットはググって調べた内容をわたしなりに整理したものだ)。



ただし、情報を集約するのはあくまでも1冊の教科書に。
これを5日間(=5年分)繰り返す。
本試験でよく問われている知識が書かれている箇所にはマーカーとともに「H30K⑩」「R2Z⑤」「R3K⑧」などと出題年と問題番号がたくさん書き込まれたはずだ。書き込みがたくさんある箇所ほど、その科目の重要な部分。
これで過去問の出題傾向と、問われた知識の情報が整理され、重要な部分にのみマーカーが引かれた、世界で一冊の自分だけの「超教科書」ができあがった。しかも、その過程で過去問で繰り返し問われた箇所は何度も読み返して書き込みを繰り返しているはずなので嫌でも覚えてしまう。
月曜日から金曜日までこの作業をひたすら繰り返したら、6日目の土曜日は過去問ではなく資格試験学校などが出している練習問題を解いてみよう。おそらく本試験の合格基準点くらいは取れるようになっているはずだ。
以上が第1クール。9科目×2週間=18週。本番まで残り4週。
この第1クールがいちばん大変だが、同じ科目を勉強し続けてそろそろ飽きが来る2週間目に科目が切り替わるのでなんとか前に進めるはず。



第2クールでは1科目を1日で回す。
1週間に1日、必ず予備日を作っておくのは第1クールと同じ。
第2クールでは1科目1日のペースなので教科書をゆっくり読んでる暇はない。
第1クールで解いた過去問(と資格学校の練習問題)の「間違った問題」「自信を持って正誤を判断できなかった選択肢」だけを再度、解いてみる。第1クールで間違った問題には×やマーカーを引いてあるから、やるべき問題は瞬時に見つかるはずだ。
解き終わった後の作業は第1クールと同じ。解説をじっくり読んで知識を確認して、教科書の該当箇所も読み返す。
第2クールでも間違った問題には再び×印を付けておく。



「じっくり読む」という意味がよく分かっていない人のために説明しておくと、「じっくり読む」というのは「ゆっくり読む」とか「繰り返し読む」というのとは違う。
教科書や解説を1文ずつ分解して、「最初の1文に書いてあることは知ってたし理解してた」「第2文に書いてあることも知ってたし理解してた」「あれ?第3文に書いてある知識は覚えてなかった。これを覚えてればこの問題は解けたんだ!」という、その問題を正解するために必要な、けれど自分に欠けていた知識を解説から見つけ出す、という作業が「じっくり読む」ということ。
以上が第2クール。9科目×1日=9日。本番まで残り2週。

第3クールも第2クールとやることは同じ。
1科目を1日で回す。
やるのは第2クールでも間違えた問題(××が付いている問題)を解き直す。
解き終わった後の作業は第1クール、第2クールと同じ。
9科目×1日=9日。

第3クールは本番の2日前までに終わらせる。
本番前日は、翌日の受験科目の総復習。
新しいことには絶対に手を出さない。
総復習といってもやることは教科書のマーカーが引いてある箇所の読み返しと、×の多い過去問の解説・教科書の該当箇所の読み返しくらい。
これまでに何度も何度も読んだ箇所なのでかなりのスピードで読み返せるはず。

そして本番当日。
どうせ見返せもしないのに山のように問題集や参考書やノートを持って行っても腕が疲れるだけだ。
持っていくのはこれまでの勉強の過程が全て書き込まれた、自分だけの「超教科書」一冊
(もちろん他に受験票とか筆記具は必携)。

試験前に資料を読み返すことのできる時間は実際にはあまりない(試験官の説明があったり、トイレが混んでて時間がかかったり、予想外に早く「筆記具以外はカバンにしまってください」と言われてしまったりするので)。
10分程度を目安に「超教科書」をバーっと見返す。ここでは何かを「覚える」のではなく、精神安定剤がわりに「あー、こーゆーのあったあった」となんとなく思い返すだけ。その教科書は地獄の第1クールを経て「過去問でよく問われている箇所」「たまに過去問で問われる箇所」「過去問で問われたことなど一度もない箇所」が一目で分かるようにマーカーが引かれ書き込みがされた世界で一冊の自分だけの「超教科書」だ。一冊の全体を見返すには10分もあれば充分。「過去問でよく問われている箇所」「たまに過去問で問われる箇所」だけ見ればいいのだから。

以上で試験勉強法はおしまい。
楽ちん過ぎる?
とんでもない。
ここに書いた勉強法を雨の日も風の日も、仕事が忙しかろうが、クライアントに忘年会に誘われようが、新型コロナワクチンの副反応で38.5℃の発熱が出ようが、淡々と5ヶ月間やり切るのは正直、大変だった。
ただ、神に誓って、わたしはここに書いた勉強法以外のことはしていない。
全くの門外漢・初心者がここに書いた勉強法を半年弱続けた結果はこれ↓



もちろん、ここに書いた勉強法が全てではないし、もっと効率的な勉強法は山ほどあるだろう。
ただ、どんな試験を受けるとしても、最初に引用したヨーダの名言が全てである。

No! Try not. Do. Or do not. There is no try.

(そうではない。「やってみる」のではない。「やる」か「やらないか」じゃ。「やってみる」はいらん。)

このブログを読みに来てくださった保育士試験(あるいはその他の資格試験)を目指しておられる方が、今年、最終合格されることを心から祈っています。